8日から富山空港の愛称が「富山高山すし空港」に変わった。世界的に知名度の高い「すし」と、人気観光地「高山」を組み合わせたこの名称は、インバウンド獲得を狙った大胆な試みだ。しかし、実際に富山を訪れた外国人観光客に感想を聞いてみると、「かなりバカバカしい」と切り捨てる人がいる一方、「すしが入っているから多くの人が興味を持つだろう」と歓迎する人もあり、賛否両論があった。

「すし」と「高山」でインバウンドを狙う
今回の愛称変更の背景にあるのは、海外からの観光客を富山へ呼び込むという明確な戦略だ。「すし」は世界中で通じる日本語のひとつであり、「高山」は外国人旅行者にも人気が高い岐阜県の観光地。この2つのキーワードを空港名に盛り込むことで、富山への関心を高める狙いがある。
実際、肯定的に受け止めた観光客からはこんな声が聞かれた。

台湾からの観光客は「いい名前だと思う。このあたりに来たらどこに行くか、何を食べるかが分かりやすい名前」と話し、観光案内としての機能を評価した。また別のアメリカ人観光客は「違和感はない。富山を検索しやすくなると思う。私も寿司が好きだし」と語り、ウェブ上での認知度向上という側面にも好意的な反応を示した。

「なぜ普通に富山空港のままにしないの?」

一方、辛辣な意見も少なくない。あるアメリカ人観光客は「かなりバカバカしいね。日本には寿司なんていくらでもあるから、寿司にちなんだ空港が必要とは思えない。紛らわしい。なぜ普通に富山空港のままにしないの?」とばっさり。高山とすしを入れる必要性に疑問を呈した。
オランダからの観光客も「富山にある空港だから高山を入れるのは違う」と指摘しつつも、「色んな人に発信できるのはいい、すしを入れるのもいい」と複雑な心境を語った。

批判の声は外国人観光客にとどまらない。BBTが8日にウェブで配信した記事に対し、読者からも多くのコメントが寄せられた。
「高山に行くには不便だし空港近辺には寿司メインの飲食街もない。この名前に釣られてきた観光客から不平不満が出ると思う」という懸念や、「せめて公募にすればよかったのではないか。富山なのに高山?県民の声は聞いたのか」という疑問の声も上がった。
一方、前向きに捉える意見もある。「富山空港はこれくらい振り切ってインバウンドを取りに行くという決意表明なのだろう」というコメントは、この愛称変更を一種の覚悟の表れとして読み解いている。
課題は「二次交通」 高山まで電車で3時間以上

名称変更と並んで気になるのが、交通アクセスの課題だ。富山空港から高山へ移動する場合、現状では一度富山駅へ出る必要があり、鉄道で高山まで3時間以上かかる。「空港から高山までは1本で行けない」という指摘が読者コメントでも多く見られ、「二次交通の利便性を高めるべき」という声が相次いだ。

空港名に「高山」を冠した以上、その期待に応えるアクセス環境の整備が急務となる。名前だけが先行し、利便性が伴わなければ、かえって観光客の失望を招きかねない。
富山・岐阜の連携へ、10日に両県知事が懇談
こうした状況を受け、10日には富山県の新田知事と岐阜県の江崎知事が懇談し、新しい空港愛称や今後の連携策について意見を交わすとみられている。富山と高山という2つの地域をひとつの空港名でつなぐ以上、両県が足並みをそろえた取り組みが不可欠だ。
「富山高山すし空港」という名称が真にインバウンド拡大につながるかどうかは、名前の話題性だけでなく、交通インフラの整備や地域間連携の深化にかかっている。賛否渦巻く中での船出だが、富山の「振り切った決意」が実を結ぶかどうか、今後の動向が注目される。
(富山テレビ放送)

