クマの出没が相次ぎ、人身被害への不安が高まる中、秋田市の国際教養大学の学生が立ち上げた企業「BearBell」が開発したアプリ「クマップ」が7月13日に本格運用を開始する。利用者の位置情報に応じてクマの目撃情報を自動で通知する仕組みが特徴で、地域住民の安全確保に役立つ“デジタルのお守り”として期待が集まっている。
学生が挑むクマ被害対策
国際教養大学の学生が設立したBearBellは、クマによる被害を防ぐ新たな仕組みづくりに取り組んでいる。
その中心となるのが、2024年10月から開発を進めてきたクマ出没情報共有アプリ「クマップ」だ。
BearBellの服部悠大代表は、7月13日午前10時からアプリの運用を開始すると明らかにし、「まずは秋田県からスタートし、今後は岩手、青森、宮城、福島など東北各県へと展開していきたい」と話す。
必要な情報を自動で届ける仕組み
クマップの最大の特徴は、利用者が自ら情報を探しにいかなくても、危険情報を自動で受け取れる点だ。
アプリでは最新のクマ目撃情報を地図上で確認できるほか、利用者自身が目撃情報を投稿することもできる。
投稿時には日時や場所、頭数、クマの動きなどを入力し、その内容をAIが確認。最短約5秒で情報が反映され、利用者へ通知される。
さらに、自宅や学校、職場など日常的に利用する場所を登録しておけば、そのエリア周辺でクマが目撃された際に即座に通知が届く。
服部代表は「自分の位置情報だけでなく、大切な人の位置情報や守りたい場所の周辺情報も自動で受け取れる。そこがほかのサービスにはない強みだ」と強調する。
家族や地域で危険を共有
クマップには、家族や友人とグループを作成できる機能も備わっている。
グループ内で危険情報を共有することで、離れて暮らす家族や子供、高齢者の安全確認にも活用できる。
クマの出没情報を個人だけでなく、家族や地域全体で共有できる仕組みは、被害防止につながる新たな取り組みとして注目されている。
実証実験で見えた手応えと課題
本格運用に先立ち、6月1日から1カ月間にわたり実証実験が行われた。参加したのは大学関係者や地域住民など約70人だ。
利用者からは、「秋田市の情報は既存サービスで受け取れるが、他の市町村へ出かけた際の情報は分かりにくい。クマップは画面を開けばすぐ確認できるので使いやすい」といった評価が寄せられた。
一方で、高齢者などからは「ダウンロードやインストールの意味が分からない」「AIには少し怖いイメージがある」といった声もあったという。
利用者の声を反映し改良
実証実験で得られた意見を受け、BearBellはアプリの改良を進めた。
新たに、クマのキャラクターが操作方法を説明する案内機能を追加。デジタル機器に不慣れな人でも利用しやすいよう工夫を重ねた。
服部代表は「クマップは日常の様々な場面で、必要なタイミングに必要な形で通知が届く仕組み。防犯ブザーのような“お守り”としてダウンロードしてほしい」と利用を呼びかける。
秋田から東北全域、そして全国へ
クマップは7月13日から秋田県内で運用が始まる。BearBellは年内に東北6県への展開を目指しており、その先には全国展開も見据えている。
クマの出没が社会課題となる中、学生たちの発想から生まれた新たなサービスが、人とクマの安全な共存への一助となるか注目される。
(秋田テレビ)

