能登半島地震で傷ついた黒部峡谷鉄道のトロッコ電車が、今年10月1日についに全線で走り出す。終点・欅平駅までの運行再開は3年ぶり。そして翌10月2日からは、富山県の新たな観光の目玉として期待される「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放も始まる。新田知事が「本県の悲願とも言える」と語るこのルートは、ひとり25万円のツアー商品まで用意される本格的な観光資源だ。

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落石で損傷、3年間の一部区間運行を経てようやく全線へ

鐘釣橋
鐘釣橋
鐘釣橋
鐘釣橋

黒部峡谷鉄道のトロッコ電車は、2024年1月の能登半島地震により大きなダメージを受けた。宇奈月駅から約14キロ上流に位置する鐘釣橋に落石が発生し、橋が損傷。それ以来、運行は宇奈月から猫又駅までの一部区間に限られていた。

その間、黒部峡谷鉄道は橋の復旧工事と落石防止工事を着実に進めてきた。そして7月3日、工事の目途がたったとして、10月1日から終点の欅平駅までの全線運行を再開すると正式に発表した。

総務部長の青島郁男氏は「いろんな事業者の皆さんに協力をいただいて、ここまでたどり着けた。感謝にたえないと思っている」と述べ、関係者への感謝を口にした。そのうえで「10月の全線運行再開まで計画通り進めて、期待に応えていきたい」と力強い言葉で意気込みを示した。

欅平駅は立ち入り制限あり、猫又駅は乗降不可に

欅平駅
欅平駅

全線再開の朗報がある一方で、注意が必要な点もある。欅平駅周辺では現在も法面の補修工事が続いており、完了は来年の予定だ。そのため、駅周辺の多くのエリアは引き続き立ち入り禁止となる。これに伴い、欅平で乗降できる人数は制限される。

猫又駅
猫又駅

また、運行が一部区間にとどまっていた期間中、特別に乗降が認められていた猫又駅については、10月1日以降は通常どおり乗り降りできなくなる。訪問を計画している人は、こうした制限を事前に確認しておきたい。

2024年から延期されていた「キャニオンルート」がついに始動

黒部宇奈月キャニオンルート
黒部宇奈月キャニオンルート

トロッコ電車の全線運行再開の翌日、もうひとつの大きな動きがある。「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放だ。

黒部宇奈月キャニオンルート
黒部宇奈月キャニオンルート

このルートは、黒部峡谷鉄道の終点・欅平駅と黒部ダムを結ぶ関西電力の物資輸送路で、全長は約18キロ。普段は電力設備の保守作業に使われているルートで、一般には非公開だった。ツアーでは、竪坑エレベーターやインクラインといった専用車両を乗り継ぎながら、黒部川の電源開発の歴史を体感できる。

当初は2024年6月の開放が予定されていたが、能登半島地震の影響で延期となっていた。それがようやく今年10月2日から実現する運びとなった。

新田知事は「本県の悲願とも言える、黒部宇奈月キャニオンルートがついに始動する運びとなった」と表明。さらに「キャニオンルートツアーの始動は、地域に新たな活力と賑わいをもたらし、宇奈月地域全体の魅力をさらに高めていく。心の復興につながる大きな一歩になる」と、震災からの復興という文脈においても大きな意義を強調した。

ひとり25万円のツアー、今月23日から販売開始

キャニオンルートを体験するには、大手旅行会社を通じたツアー商品を利用する。販売開始は今月23日からだ。

ツアーの一例として、東京からの2泊3日のプランが紹介されている。富山県西部の観光も組み込まれており、交通費・宿泊費・専門ガイドの費用などを含めてひとり25万円。決して安くはない価格設定だが、普段は立ち入れない秘境ルートを専門ガイドとともに体験できるという希少性が、その価格に表れている。

立山黒部アルペンルートとの周遊も視野に

キャニオンルートの開放によって期待されるのが、国内外で人気の立山黒部アルペンルートとの周遊だ。二つのルートを組み合わせた周遊観光が実現すれば、富山を訪れる観光客のさらなる増加が見込まれる。

新田知事は「今年は10月からのおよそ2カ月の開放となるが、来年に向けてインバウンド向けの本格的なプロモーションを進めたい」と述べ、海外からの誘客にも意欲を示した。また「今回を大きな契機として、県内全域の周遊観光の促進につなげたい。富山の元気が北陸の元気につながるよう努めていきたい」とも語り、地域全体への波及効果を期待した。

震災を乗り越え、ようやく実現の見通しが立った全線開通とキャニオンルートの始動。この秋の黒部・宇奈月は、復興と新たな出発の象徴的な舞台となりそうだ。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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