2020年の7月豪雨や去年8月の記録的大雨など過去、熊本県に甚大な被害をもたらしてきた『線状降水帯』が2日朝、阿蘇地方に発生しました。
小国町の杖立温泉では川の氾濫で旅館が床上浸水するなど被害や影響が出ましたが、これまでのところ、けが人の情報は入っていません。まずは昨夜からの雨を振り返ります。
昨夜からけさにかけての雨雲の動きです。昨夜9時前、気象台は熊本県を対象に『線状降水帯半日前予測』を発表しました。
その後、長崎や佐賀にかかっていた活発な雨雲が南下。気象台は午前1時半ごろ熊本地方を、午前3時前、阿蘇地方を対象にそれぞれ『線状降水帯直前予測』を発表します。
【大津 善彰カメラマン】
「午前3時の阿蘇市です。風と雨脚が強くなってきました」
そして、午前3時19分、気象台は阿蘇地方に「線状降水帯が発生した」と発表。災害発生の危険度が急激に高まります。県内に線状降水帯が発生したのは、去年9月10日以来です。
未明から明け方にかけて、阿蘇郡南小国町で1時間に73.5ミリなど、県の北部を中心に非常に激しい雨を観測。
6月30日の降り始めからの雨量は、阿蘇市乙姫や山鹿市鹿北で200ミリを超えました。
【中原 理菜アナウンサー】
「杖立温泉を流れる筑後川です。午前4時過ぎに氾濫しました。現在は水かさは減っていますが、ゴーッという音を立てて、茶色い濁流が流れていきます」
国交省によりますと、午前4時20分、阿蘇郡小国町を流れる筑後川の杖立橋付近で氾濫が発生。国交省は一時、警戒レベル5の『氾濫発生情報』を発表しました。
【中原 理菜アナウンサー】
「筑後川が氾濫し、旅館の看板の下のラインまで水が上がったということです」
筑後川左岸にある温泉旅館『葉隠館(はがくれかん)』。1階部分が床上浸水し、畳なども被害を受けました。さらに温泉を汲み上げるポンプも壊れてしまい、旅館の命ともいえる温泉の湯が出ない状態です。
『葉隠館』は2020年7月の豪雨でも同じような被害を受け、休業を余儀なくされました。
【葉隠館 権藤 芳春 代表】
「午前3時ごろに目を覚ましたが、そのあとサイレンが鳴った。大体、水害の時には川の音が変わる」
(6年前にも被害を受けたが)
「川辺に住んでいるから仕方ない」
一方、南小国町の黒川温泉。
杉養蜂園では、雨によって裏山から削られた土が店の入口から流入。商品や機械類に被害はありませんでしたが、2日は臨時休業となりました。
また、温泉街を流れる筑後川の源流、田の原川が増水し、自治会が運営する『穴湯』が壊滅的な被害を受けました。
【黒川温泉観光協会 北里 竜紀 副会長】
「ドアがあって、おそらく水圧で壊れて流されてしまったのかな。ここ10年ぐらいで3回目。2度ほど浸水して、4~5年前に再建した」
黒川温泉観光協会は、このほかの被害状況を確認中です。
一方、県の北部でも土砂崩れや倒木などの被害が相次ぎました。
荒尾市内では川のそばでこんな光景が・・・。
【西村 勇気アナウンサー】
「荒尾市上井手、関川のほとりです。流れは茶色く濁って速くなっています。川岸に目をやると、土砂が15メートルほどにわたって流出しています」
荒尾市を流れる関川でも水位が上がり、川岸の斜面が崩落。土砂が川に流入しました。
【近くに住む人】
(普段、この川はどんな川?)
「雨が降ると水位が高くなる場所で、令和2(2020)年の豪雨のときはこの家はギリギリだったんですけど、川の向こう、田んぼは全部、(水に)漬かりました」
荒尾市役所によりますと、上流の川岸はブロックなどで補強されていますが、今回、崩れた箇所は土で固めてあった場所だということです。
ここからさらに川の上流、南関町に移動すると民家のそばで異変が…。
【西村 勇気アナウンサー】
「南関町豊永です。民家の裏にあります斜面が崩れています。土砂と水が染み出している状況。流れ出した土砂は民家の敷地まで押し寄せています」
そばでは役場の職員も心配そうに調査に当たっていました。
また、同じ南関町内では、大雨の被害を目の当たりにする現場が…。
【西村 勇気アナウンサー】
「南関町長山を流れる関川です。高さ5~6メートルはあろうかという護岸。ブロックで補強されているが、完全に川の方に落ち込んでしまっている状況です」
勢いを増した川の流れの影響でしょうか、ブロック塀は完全に崩壊。農道の下の土がえぐれ、各種の配管やガードレールの支柱がむき出しになっていました。
熊本県によりますと、この大雨の影響で、床上浸水が小国町で1棟、床下浸水が小国町、阿蘇市、和水町でそれぞれ1棟の計3棟となっています。
【大津 善彰カメラマン】
「大雨で地盤が緩んだ影響でしょうか、道路が大きく壊れ、車は通行することはできません」
小国町下城にある農道では、路面にひびが入ったり、はがれたりする被害が出ました。
【星野 佐和 記者】
「倒木の撤去作業が進められています。山の斜面が崩れ、木が根っこごと倒れているのが分かります」
また、熊本市によりますと、午前8時ごろ、北区植木町の市道で、「倒木により車が通れなくなっている」と通行人から市に連絡がありました。付近は約3キロメートルにわたって、一時、全面通行止めとなっていましたが、正午ごろに解消されました。
交通機関にも影響がありました。JR九州によりますと、鹿児島本線の荒尾~植木間と豊肥線の肥後大津・大分~中判田間で始発から運行を見合わせましたが、鹿児島本線は午前7時半ごろ、豊肥線は午後1時ごろにそれぞれ再開しました。
梅雨前線は南へ下がり県内で激しい雨が降る恐れはなくなりましたが、気象台によりますと、4日(土)から5日(日)にかけては 梅雨前線が九州北部付近まで北上し、大雨になる恐れがあるということです。
そして、もう一つ気になるのが、けさ南の海上で発生した台風9号です。今後、「非常に強い」勢力まで発達しながら、西へ進む見込みです。5日後、来週火曜日までの風の予想を見ると、南の海上に強く大きな渦が見られます。この台風の動きにも注意が必要です。
