健康経営、福利厚生、人材確保とさまざまな観点から社員食堂に力を入れる企業が、福井県内でも増えています。ただ安くて美味しいだけでなく、会社の成長にもつながっている坂井市内の企業の社員食堂を取材しました。
坂井市丸岡町にある織ネームメーカーの松川レピヤン。衣料品などに使われる織ネームを手掛けるこの会社では、社員が健康で安心して働ける環境づくりに力を入れています。
原渕由布奈アナウンサー:
「その取り組みの1つが、社員食堂です。まるでカフェのような開放的な空間です」
4年前に本社を新築した際、社員食堂を新たに設けました。
キッチンでは午前中からランチを準備。野菜や肉などをふんだんに使い調理が進めます。
この日のメニューは、メインの牛丼に、甘辛く煮た厚揚げ、そうめんの汁物などボリューム満点で、1食350円。物価高が続く中、社員にとっては家計の助けにもなっています。
献立表を見てみると、ちょっと気になる文字がありました。
原渕アナウンサー:
「リカちゃんの玉ねぎ、みきちゃんのインゲンって書いてある。みーちゃんの新じゃが・・・これは何ですか??」
松川レピヤン村本照美さん:
「従業員が家で作ったものを持って来てくれたり、いただきもので食べきれず持って来てくれたりするんです」
従業員の家庭で育てた野菜をもらうことも多く、美味しい料理にして出そうと気合いが入るんだとか。「新じゃがなので美味しいと思う。旬のものを必ず入れるようにしてメニューを考えている」と村本さん。
村本さんは、勤続30年以上。
創業メンバーの1人で、“みんなのお母さん”的な存在です。退職後、食堂のリーダーとして再雇用されました。
他のスタッフも、さまざまな部署を経験したベテランばかり。社員ことをよく知る人たちが、毎日の食事を支えています。
昼休みになると社員が続々と集まってきました。
社員:「温玉付きだ!」
食堂スタッフ:「そう、今日は温玉付きよ」
「いい味でおいしいです!この美味しいご飯を食べられると思って午前を乗り切れる」「毎日あったかいご飯がたべられるって幸せ」と社員たちのモチベーション向上にもつながっています。
実はこの社員食堂、社員の健康を支えるだけが目的ではありません。約40年前、4人で始まった松川レピヤンは、今や130人が働く企業に成長。工場が増え、社員同士が顔を合わせる機会が減る中、交流の場としてこの食堂が作られました。
松川博美相談役は「うちは、めちゃくちゃコミュニケーションが強くて深い会社ですが、工場が離れたことによって少しずつ普通に戻ってしまうのが嫌で。たくさんの社員が一堂に会する場所がどうしても欲しかった」といいます。
何気ない会話や部署を超えたやり取り。食堂には、狙い通り自然とコミュニケーションが生まれています。
食堂の運営を外部に委託するのではなく、さまざまな部署を経験した従業員が担っているというのは、実は珍しいケース。コミュニケーションを活性化したいという目的があったため、食堂設立に当たり譲れない条件だったそう。悩みを抱える従業員のよき相談役にもなっているようです。
「食堂のスタッフや部署のリーダーたちが職員たちに声をかけるきっかけにつながっていけば、日常の中で理想的なコミュニケーションが取れるのではないかと思っている」と松川相談役は語ります。
こうした取り組みなどが評価され、健康経営を行う優良法人の中でも上位500社に贈られる「ブライト500」にも認定されました。
お腹を満たすだけではなく、心の距離も近づける社員食堂が、ものづくりの現場を支えています。
