石川県志賀町の海岸に昨年クリスマスに漂着した巨大なホース。長さ約150メートル、重さ推定300トンにもなる"黒い怪物"は、およそ半年間、住民に不安を与え続けてきた。その正体は中国製の浚渫(しゅんせつ)パイプで、撤去費用は5000万円に上ると見積もられている。所有者不明のまま始まった撤去作業の現場と、安堵する住民の声、そして作業の課題を取材した。

海岸の“黒い怪物”撤去へ

志賀町西海風無の海岸
志賀町西海風無の海岸
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穏やかな海が広がる志賀町西海風無の海岸。その景観を損なうように、真っ黒な巨大物体が横たわっている。 この物体の漂着が確認されたのは、去年の12月25日。クリスマスにもたらされた、招かれざる客であった。

県によると、その約1週間前の12月17日には、志賀町役場から「ホースが漂流している」との連絡が入っていたという。 その正体は、海底の土砂を撤去するために使われる中国製の浚渫パイプだ。長さはおよそ150メートル、直径は最大で2メートル、重さは推定300トン。触ってみると弾力のある素材で、一部からは白い繊維のようなものがのぞいている。

あまりの大きさと重さからすぐには撤去できず、漂着からおよそ半年が経過した。ようやく今月24日から、本格的な撤去作業が始まった。

「なんか気持ち悪かった」住民を悩ませた“不気味な音”

半年もの間、海岸に居座り続けた巨大ホースは、地域の住民にとって大きな不安の種であった。 海岸沿いに住む人は、当時の心境をこう語る。「早く撤去してくれればうれしいなと思います。なんか気持ち悪かったです」

このホースは海岸に流れ着く前、何日か周辺の海を漂っていたという。その際には不気味な音も聞こえてきたそうだ。
「何日か漂っとったんですよ、その間へ入ったりして。なんで、あー、嫌な音するなーと思って、ボコボコボコボコして」

景観を損なうだけでなく、得体の知れない音で住民を悩ませていた巨大ホース。撤去作業が始まったことで、ようやく安堵の声が聞かれた。
「なんか1個(船に)積んだの見たら、え、あ、案外早く撤去できるんかなと思って、ちょっと安心しました」

正体は中国製パイプ、撤去費用5000万円の壁

住民を安心させるための撤去作業だが、その道のりは簡単ではない。まず大きな壁となったのが、その費用だ。撤去にかかる費用は、約5,000万円と見積もられている。

これほどの規模の漂着物でありながら、持ち主はまだ分かっていない。そのため、撤去費用は公費でまかなわれることになる。県によると、国の補助金を活用することで、県の持ち出しはおよそ200万円になるということだ。

今回の撤去作業は、巨大なホースをそのまま動かすことが困難なため、分割して運び出す計画が立てられた。まず、近くの富来漁港で準備作業を実施。ホースを陸揚げする際に港のコンクリート舗装などが剥がれないよう、地面に20枚ほどの鉄板を敷き詰めた。

巨大ホースとの格闘 台風シーズン前に…現場の課題

準備を終え、いよいよ始まった本体の撤去。作業は地元の業者が担当し、まずバーナーを使って巨大なホースを約14メートルの長さに切断していく。そして、切断した塊をクレーンで吊り上げて台船に積み込み、近くの港まで運ぶ。

 現場監督を務める南建設の辻口忠夫さんは、作業の期限についてこう語る。「今月いっぱい。台風前になんとかここを撤去して、向こうの(港で)陸揚げをやりたい」
しかし、現場では思わぬ問題が発生していた。
「今困っているのは、この中に大量の水が入ってるのを出すのに、あれ朝から穴あけたんやけど、まだ水出てるでしょ。できらんぐらいや」

ホースの内部に溜まった大量の水を排出する作業に、時間を要しているのだ。困難な作業が続くが、辻口さんは「住民の不安を払拭したい」と力を込める。

処分業者によると、今月中にも海岸からの撤去は完了する見込みだ。港に運ばれたホースは、さらに細かく切断された上で白山市内の処理場に運ばれ、一部はリサイクルされるという。半年間にわたって地域の景観と安全を脅かしてきた"黒い怪物"が、ようやく姿を消そうとしている。

(石川テレビ)

石川テレビ
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