長崎港の入り口に立ち、半世紀以上にわたって航海の安全を見守ってきた「岬の聖母像」が、移転を余儀なくされようとしている。
信仰のシンボルとして国の内外から巡礼者が訪れるこの像に、いま何が起きているのか。
地盤がえぐれ、巨大な岩が転がる
長崎市神ノ島地区の沿岸にたたずむ「岬の聖母像」。
高さ4.7メートル、重さ800キロの堂々たる像だ。
しかし今、像が立つ地盤が崩落し、えぐれた状態になっている。
地面には地盤から落ちたとみられる巨大な岩が転がっている。
長崎市によると、元々の地盤の弱さに加え、雨や風、波にさらされたことで浸食が進んだものとみられている。2026年3月上旬に崩落が確認されて以降、市は安全確保のため周辺の立ち入りを禁止している。
宝のように、皆さん大事にしている
最初の像は1948年、キリスト教の宣教師フランシスコ・ザビエルの渡来400年を記念して設置された。
その後、雨や風により劣化が進んだため、36年後の1984年に現在の2代目に建て替えられた。
イタリア人の神父が1年かけて制作したもので、当時は高さ、重量ともに日本一の規模といわれていた。
信者たちは清掃や草刈りなどを行い、長い間地域全体で像を大切にしてきた。
地元の信者・木場田友次さん(88)は、像の存在について「信者にとってやはり信仰の中心のシンボルのひとつ。だから、ここを通るときは必ず頭を下げて、アヴェ・マリアを唱えながら歩く。宝のように皆さん大事にしている」と語る。
海外からも巡礼に訪れる聖地
設置から約80年。岬の聖母像を目指して、今では国の内外から多くの人が訪れている。
カトリック神ノ島教会の山内啓輔主任司祭は、「海外の方でも巡礼で登ってお祈りをする方が多くいる」と話す。
信者の多くが残したいという声を上げており、山内司祭も基本的に残したいという皆さんの意見を受け、残すために動いていくと話す。
2026年度中の移転完了を目指す
像を管理するカトリック神ノ島教会は、信者の声を聞きながら移転先を検討している。
早ければ2026年度中の移転の完了を目指しており、費用はクラウドファンディングや寄付でまかないたい考えだ。
半世紀以上にわたり長崎港を行き交う船と人々を見守ってきた聖母像が、新たな場所でその役割を続けられるか、地域の信者たちの願いが込められている。
(テレビ長崎)

