国内のイカの水揚げの約4割を占めるスルメイカ。その漁に、いま異変が生じている。全国有数のイカの水揚げ量で知られる北海道函館市では、6月1日の漁解禁後もほとんど水揚げがなく、去年に続いて初競りが中止となる異常事態に。福井県内でも不漁が続いており、スーパーの鮮魚コーナーからスルメイカの姿が消えつつある。
越前漁港では水揚げが前年同時期の7割に
地元で獲れた新鮮な魚介類が並ぶ県内のスーパー。イカもあるが、すべてマイカ。
担当者によると、スルメイカは獲れる量が少なく値段も高くなるため、この日は仕入れていないという。
県内産スルメイカの水揚げのほぼすべてを担う越前漁港でも状況は厳しい。5月から本格的に始まったスルメイカ漁だが、5月の水揚げは約12トン、去年の同じ時期の約7割にとどまった。

漁業者からも低調ぶりを嘆く声が。「全体的には去年よりあんまり獲れていない」「平均にしたら、今年はちょっと悪いほう」。その一方で「北海道では2、3匹というような状況らしい。ここらへんはまだいい方かも」と口にした。
環境、高齢化…複雑な要因が絡み合い不漁に
越前漁港ではこの時期、イカ漁と定置網漁がメインとなる。そのため、スルメイカが獲れないと漁業全体の収益に直結する。
漁業関係者は「ちょっと厳しい…5月・6月にイカが獲れれば漁協も潤うのだが」と書き入れ時の不漁の影響を語った。

漁業関係者によると、県内のスルメイカ水揚げの減少には、複数の要因が絡み合っているという。主なものとして▼海流の変化による生息地の変化▼増加するマグロのエサとして食べられる▼漁師の高齢化によるイカ釣り船自体の減少が挙げられる。
沖合を回遊しながら成長するスルメイカは環境変化の影響を受けるだけでなく、漁業者の高齢化や後継者不足によって漁船そのものが減っていることも、水揚げ量が減少する要因となっているという。
中東情勢も追い打ち―原油高で県外漁船が来なくなった
さらに今年は、別の要因も追い打ちをかけている。原油高だ。スルメイカ漁は、光で引き寄せるために大型のライトをたく。このライトの発電に大量の燃料が必要なのに加え、スルメイカは日本海の沖合を広く回遊するため、漁場まで長距離を移動する船が多い。
原油高で操業コストが膨らむ中、漁業関係者は「5月・6月は県外からのイカ釣り船が結構入っていたが、その船が減っている。青森、北海道からわざわざここまで来て操業しても、水揚げがなさそうなら来ないでしょう」と語る。
全国的な不漁が続く中、福井県内で水揚げされたスルメイカも、需要の高い県外へと出回る分が増えているという。そのため、地元のスーパーでさえ入手が難しくなっているのだ。

海流の変化、マグロによる食害、漁師の高齢化、そして中東情勢に端を発する原油高。多くの逆風が重り、「庶民の味」として親しまれてきたスルメイカが手に入らなくなってきている。
