大阪市西成区・あいりん地区にそびえる「あいりん総合センター」の解体工事が始まった。
閉鎖から7年、日雇い労働者の街のシンボルとも言われたこの建物が、ついに歴史に幕を下ろす。
■巨大な建物の歴史が閉じる
地上13階、地下1階。敷地面積はおよそ2万3000平方メートル。
その巨大な建物が、重機の音とともにその歴史を閉じようとしている。
朝から複数の重機が動き、長年この街に立ち続けた建物の解体が正式にスタートした。

■1970年から50年以上 労働者たちの”拠点”だった
あいりん総合センターは1970年に開設された。
職業安定所や病院などが入り、仕事を求める日雇い労働者と求人業者が連日行き交う、活気ある場所だった。
にぎわいが続いたのはリーマンショックのころまで。その後、耐震性の問題が浮上し、建て替えが決まる。

■「建物から退去を命じます」 2019年の閉鎖、そして占拠
建て替え決定を機に、地元の人々と大阪府・市との衝突が繰り返されるようになった。
2019年のセンター閉鎖の日には、労働者など約300人が抗議。シャッターの真下に座り込む人々の姿もあった。
館内アナウンスが「建物から退去を命じます」と告げる中、怒りの声が飛び交った。
反対の人:おれら3時から仕事探してるんや、ええ加減にしろ!
閉鎖後も敷地にはホームレスの人々が寝泊まりし、大量の荷物とともに不法占拠の状態が続く。

■「吉村くそ!」 おととし12月、強制執行
事態が動いたのはおととし(2024年)12月のことだ。
大阪地裁がホームレスを立ち退かせる強制執行に踏み切り、現場は一時騒然となった。
「きょういきなりやで、吉村(知事)くそ!」と声を上げた人、「野宿してる人を追い出して!」と訴えた人と、現場は騒然となった。
しかし不法占拠していた人たちは、大阪府などが用意した近隣施設へ案内され、敷地は解体工事に向けた準備へと移っていく。

■跡地には就業支援施設と多目的施設が建設予定
解体工事が始まったあいりん総合センターの跡地には、大阪府が運営する就業支援施設と、地域住民のための多目的施設が建てられる予定だ。
50年以上にわたって日雇い労働者の街のシンボルであり続けた建物は、今、新しい街の姿へと生まれ変わろうとしている。
(関西テレビ「newsランナー」2026年6月9日放送)

