「大雨警報が出ました」と聞くと、多くの人が「すごく強い雨が降るんだな」という感覚を持つのではないでしょうか。しかし実は、大雨警報は単に「激しい雨が降る」ということだけを理由に発表されているわけではありません。
新しくなった防災気象情報の仕組みと、意外と知られていない「大雨警報」の本当の基準について、防災士でもある福島テレビの斎藤恭紀気象予報士が分かりやすく解説します。
雨が降るだけじゃない
斎藤予報士が実施したアンケートでは、「大雨警報は、主に“2つの原因で発生する災害”の危険性が高まる時に発表されます。このことを知っていますか?」という質問に対し、以下のような結果が出ました。
●知らない:76.1%
●知っている:23.9%
なんと約8割近い人が、大雨警報の正確な意味を知らないということが分かったのです。
大雨警報の本質は、「雨が強く降ること」そのものよりも、「その雨によって、大災害が起きる危険性が高まっている」という警告にあります。
2つの原因とは?
台風6号が福島県に接近した2026年6月3日のケースを見てみましょう。今回いわき市で発表されたのは、浸水害の危険を知らせるものでした。これが発表されるのには、主に2つの原因があります 。
(1)下水道から水があふれるなどして浸水する危険性(内水氾濫)
短時間に大量の雨が降ることで、街の排水機能や下水道の処理能力を超えてしまい、道路や建物が水に浸かってしまう危険性です。
(2) 中小河川の川があふれて浸水する危険性(外水氾濫)
大きな川だけでなく、身近にある小さな川や泥川などの水位が急激に上昇し、周囲の住宅街などに水があふれ出す危険性です。![]()
発表のポイントは浸水被害
つまり、大雨警報において重要なポイントは「水があふれる(冠水・浸水する)危険があるかどうか」という点なのです。
新川で何が起きた?
実際に大雨警報が発表された際、福島県いわき市内を流れる「新川(しんかわ)」では、まさにこの「中小河川の水位上昇」が起きていました。
午後、新川の水位が上昇し、危険度分布(キキクル)の地図上で「赤色」に変化。これが「洪水の警戒レベル」に達したため、周辺で氾濫が起きやすい非常に危険な状態であるとして「大雨警報」が発表されたのです。
その後、雨が弱まるにつれて水位は徐々に低下。堤防の危険ラインを下回るまで水位が下がったことが確認されたため、大雨警報は解除されました。
新・防災気象情報の豆知識
新しくなった防災気象情報では、命を守る行動を促すために「レベル」がついた情報が発表されるようになりました(レベル3=警報、新設されたレベル4=危険警報、レベル5=特別警報など)。
このレベルが導入されるのは「河川氾濫」「土砂災害」「大雨」「高潮」の4つ。
「大雪や暴風などにはレベルがつきません。なぜなら、大雪や暴風の時は『家にいた方が安全』だからです。一方で、大雨や土砂災害、河川氾濫などは『別の場所に避難することが必要になる災害』だからこそ、避難の目安となるレベルが設定されているのです」と斎藤予報士は解説します。
「大雨警報」という言葉を聞いたときは、ただ「雨が激しいな」と思うだけでなく、「自分の身の回りの道路や、近くの川から水があふれる危険、あるいは土砂災害の危険が迫っている」という意識を持ち、最新の情報に十分注意を払うようにしてください。
(福島テレビ)

