福島第一原子力発電所では6月1日午前11時28分、2026年度2回目(通算20回目)の処理水の海洋放出を開始した。6月19日までの19日間で約7,800t(タンク約8基分)の処理水を海水で薄めて海に放出する計画で、想定トリチウム総量は約1.3兆ベクレル。

福島第一原発1号機から3号機の原子炉の中には、事故で溶け落ちた核燃料が固まった“燃料デブリ”が存在する。“処理水”はこの燃料デブリなどに地下水や雨水などが触れることで発生する“汚染水”から大部分の放射性物質を取り除いたもの。海洋放出は2023年8月に開始され、これまで19回の放出で合わせて約14万9,000t(タンク約149基分)の処理水が放出されている。

処理水の放出は、敷地を圧迫する1000基あまりのタンクを減らし、廃炉のためのスペースを開けることが大きな目的のひとつ。2026年5月14日の時点で、処理水等の貯蔵量は放出開始前から約7%減少している。貯蔵されている水の中には処理水放出の基準を満たす前の“処理途上水”も含まれている。

処理水の海洋放出は、放出前の水をためる水槽と海水面の高低差を利用して海に流れるようになっているため、海面が高くなって水が逆流してしまう恐れがある場合や、設備の安全性を確認すべき場合には放出を停止することが定められている。
震度5以上の地震や津波注意報、竜巻注意情報(発生確度2)、高潮警報などで放出を手動停止することが決まっていて、これまで2024年3月の地震、2025年7月の竜巻注意情報や津波注意報、同年12月の津波注意報で手動停止したことがあるが、放射性物質の基準を超えるなど、運用に関する大きなトラブルは現時点で発生していない。

東京電力は2026年度、計8回の処理水放出を実施する計画。合わせて約6万2,400t(タンク約62基分)の処理水を放出、年間のトリチウムの放出量は約11兆ベクレルと予定されている。これまでの運用実績をもとに作業の効率化が可能だとして2025年度よりも1回多い計画となる。また、“処理途上水”についても2026年度中に二次処理を開始するとし、これらは当面の間、二次処理をした年度ではなく翌年度の放出候補にするとしている。

一方、“燃料デブリ”が存在する限り、それに触れた水が“汚染水”となることは避けられない。福島第一原発では、2号機で2024年11月と2025年4月に燃料デブリの採取が行われているが、2回の採取量を合わせても、約0.9gと1円玉1枚にも満たない。
第一原発に残るデブリは約880tと推計されていて、取り出したデブリはその10億分の1程度と、取り出し完了までの道は遠い。
福島第一原発の廃炉は、2024年の燃料デブリ採取の着手をもって最終段階の「第3期」へと入った。一方で、何をもって「廃炉」の判断とするか、明確なゴールは示されていない。

国と東京電力が掲げる第一原発の廃炉完了は2051年。
タンク内のトリチウムがゼロになるのも2051年とされている。

福島テレビ
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