農家の高齢化が進み、担い手が減少する現代。そんな中、農業とエネルギー事業を掛け合わせた「農エネ業」を掲げ、持続可能な農業の在り方を模索する企業が仙台市にある。
「10年後には農業の7割、特に米作りは8割が自動化できる」
2026年3月、宮城県美里町に誕生した新たな設備から、次世代の農業の形が見えてくる。

田んぼに広がる営農型太陽光発電

舞台ファームの営農型太陽光発電
舞台ファームの営農型太陽光発電
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宮城県美里町の田んぼの上に、数えきれないほどの太陽光パネルが広がっている。舞台ファームが2026年3月につくった「営農型太陽光発電」と呼ばれる設備だ。

この設備の最大の目的は、農地に太陽光パネルを設置することで「農業」と「発電」を両立させることだ。
農家にとっては、発電した電気の売電による収入の多角化や、農薬散布に用いるドローンの動力にするなど、自らの農作業に利用することができる。
また針生信夫社長によると、平均気温が年々上がる中で太陽光パネルが植物にとって「日傘」となり、生育にもむしろ好影響をもたらすという。

「営農型太陽光発電」に取り組む農家は近年、全国で増加傾向にあるが、水田で実施するケースはまだ少ない。針生信夫社長が挑戦する背景には、エネルギーを作りながらコメを作るという新しいモデルを全国の農家に提案したいという思いがある。

レタス工場と「農エネ業」の相乗効果

舞台ファームのレタス工場
舞台ファームのレタス工場

舞台ファームが目指す「農エネ業」の構想は、すでに具体的な成果を生み出しつつある。
同社は5年前、この田んぼの隣に国内最大級のレタス生産工場を整備した。この工場では、1年を通して1日に4万から5万株ものレタスを出荷しており、なんと栽培作業の9割が自動化されている。

さらに、今回の太陽光発電設備を組み合わせることで、機械を動かすための電気の8割を再生可能エネルギーでまかなう計画だ。これにより、年間で8000万円もの経費削減が見込めるという。

舞台ファーム 針生信夫社長:
固定費である動力光熱費が異常に上がっていると、どうしても価格に転嫁せざるを得ない。
大きく価格をあげなくても、多くの皆さんに食べてもらえる可能性がある設備がオープンしたのは、価格にもしっかりコミットできる可能性がある。

針生社長が見据えるのは、昨今のエネルギー価格高騰への対応と、消費者への安定した価格提供への意欲だ。

肉体労働の限界と急成長の軌跡

舞台ファーム 針生信夫社長
舞台ファーム 針生信夫社長

舞台ファームの針生社長は、江戸時代から仙台で続く農家の15代目にあたる。彼が「農エネ業」という革新的な挑戦を続ける背景には、若き日に感じた農業という仕事への「限界」があった。

舞台ファーム 針生信夫社長:
地域の中でも最大級の農家として、特に長時間労働。肉体労働が他の家の2倍以上という…。

人の労働力に過度に頼る「労働集約型」の農業の在り方に、「これでは続かない」と感じた針生社長。
国民の食べるものを作る「農業」を持続可能な形にするため、針生社長は利益と効率を求める“産業としての農業”へと大きく方針を転換した。

機械化や大規模化を推し進めながら売り上げを伸ばし、2025年度の売上は47億3000万円を記録。15年前の約10倍と、同社は目覚ましい急成長を遂げている。

全国への拡大を図る成功モデル

ソーラーパネルによって田んぼへの日当たりは通常の7割ほどになるが、大きな影響はないという
ソーラーパネルによって田んぼへの日当たりは通常の7割ほどになるが、大きな影響はないという

日本の農業は深刻な課題に直面している。国内の農業従事者は減少の一途をたどり、2025年時点で103万6千人となった。2005年の時点から実に120万人以上も減少し、平均年齢は67.7歳と高齢化が著しい。

こうした現状に対し、針生社長は近い将来、「農業もあらゆるものが電動化、自動化が進む」と予測している。

舞台ファーム 針生信夫社長:
人間がトラクターに乗って田植えをしたり、稲刈りをしたりドローンを飛ばしたり、徐々に進化していますが、私は10年後に70%、特にコメは80%以上自動化できると思う。

針生社長は世界各地の視察を通じて、自動化が農業を救うと感じたという
針生社長は世界各地の視察を通じて、自動化が農業を救うと感じたという

減少の一途をたどる農家がこれから大幅に増加に転じることはおそらく難しい。その中で、国民が食べる食料を一体だれが作っていくのか。針生社長はアジアやアメリカ、ヨーロッパの視察を踏まえ、その答えは「自動化」であると確信している。
事実、舞台ファームのレタス工場は90%が自動化しており、自社の成功モデルの横展開に自信をのぞかせる。

舞台ファーム 針生信夫社長:
舞台ファームが持っている考え方を多くの皆さんに広げて、社内でも次の経営陣にDNAを移植しながら、より進化しながら次の時代の扉を開けていきたい。

仙台から全国を舞台に、次世代の農業の仕組みを変える挑戦はこれからも続いていく。

仙台放送
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