広がる「ビジネスTシャツ」についてです。ある紳士服大手では、仕事着として着られるビジネスTシャツの売り上げが、この6年で9.7倍に拡大しました。確かに最近は、ジャケットやスーツの下にTシャツというスタイルの人をよく見かけますよね。ビジネスTシャツの最新事情と人気の理由を取材しました。

■広がる「ジャケット+Tシャツ」

クラフトビールメーカー「ヤッホーブルーイング」の御代田オフィス(長野県御代田町)。

社員の服装を見ると、ジャケットにTシャツ姿です。

ヤッホーブルーイング・社員:
「動きやすさもあるのとカジュアルな雰囲気があるので過ごしやすい、仕事しやすい」
「ラフで着心地よく業務に取り組めるし、フォーマルな場でもジャケットを羽織っていると違和感なく仕事ができる」

ジャケットやスーツの下にTシャツ。

このビジネスTシャツのスタイルが、今、広がりを見せています。

■売上9.7倍 ビジネスTシャツ

紳士服大手「洋服の青山」によりますと、ビジネスTシャツの売り上げは、2020年度から右肩上がりに増え続け、2025年度の販売数は16万着以上。

この6年間で約9.7倍に拡大しています。

“ビジネスTシャツ”どう思いますか?街の人に聞きました。

商社勤務(40代):
「良いと思います。楽ですし、通気性も含めて体が楽というのと、単純にきれいですよね」

サービス業勤務(40代):
「スタイリッシュで良いと思います、私は」

法律関係(20代):
「昔とは違ってこういう(ビジネスTシャツの)人も増えたなと。自由な感じがしていいふうに変わっているなと」

建築関係(70代):
「昔はきちんとしなきゃ仕事できないという雰囲気だったけど、今はその(ビジネスTシャツ)格好がちょうどいいんじゃない」

肯定的な人が多い一方で、こんな意見も―。

営業関係(40代):
「1%でも契約の確率が下がったりするのが嫌なので、うちの会社は絶対ワイシャツ」

商社勤務(40代):
「お客さんあっての仕事なので、年配の方はあまりよく思っていない方もいらっしゃるので」

スポーツインストラクター(20代):
「ビジネス的にも、印象も、(ワイシャツ+ネクタイで)びしっとしていた方が、お互いにとって良いのかなと」

相手からの”きちんとした印象“を大事にする声も―。

■Tシャツでも「きちんと感」を

そのニーズに応える動きが、売り場でも広がっています。

洋服の青山 長野南高田店・浜村建司店長:
「こちらが今、需要が伸びているビジネスTシャツになります。生地は肉厚な設計になっているので1枚で着ても透けにくくて、ジャケットを羽織った時には”きちっと感”が増すようなつくりになっています」

襟が高く、ジャケットに肌が当たらない作りです。

洋服の青山 長野南高田店・浜村建司店長:
「ジャケットを羽織った際に、後襟が少し見えるように着用いただくとフォーマル感が増しますし、ジャケットの襟裏を汚さないように着てもらえる」

■着こなしのコツはタックインと靴

記者が試着するとー。

(記者リポート)
「めちゃくちゃ楽ですね。首元がすっきりしているので涼しくて、生地もパリッとしているのできれいに着こなせます」

洋服の青山 長野南高田店・浜村建司店長:
「(着こなしのコツは?)シャツをパンツにタックインしていただく。足元をフォーマル感の強い革靴ではなくてビジネススニーカーを合わせると、もっとすてきなんじゃないかと。(タックインすると)ウエスト位置が高く見えますし、ベルトも見えて、よりビジネスカジュアルのようなきれいな感じが演出できるので、おすすめの着こなし」

就活中の大学院生:
「(就職して)企業できちっとネクタイ締めて首の上までボタンを締めて、デスクにコーヒーとか置いてあったらかっこいいんですけど、さすがにきちっとしすぎると仕事しづらいんじゃないかと。多様化が求められているんじゃないかと思うので、こういうスタイルで働きたい」

■人気の理由は、暑さと働き方の変化

「洋服の青山」では需要拡大を受け、2026年は前年の140%ほど増産し、売り場も拡充しています。

この人気の背景にあるのは、近年の「暑さ対策」と、コロナ禍以降の「働き方の変化」にあるといいます。

洋服の青山 長野南高田店・浜村建司店長:
「コロナ禍以降、ビジネスウェアの多様化がすごく進んでいまして、リモートワークが浸透した後ぐらいからは、比較的ワイシャツだけではなくてポロシャツだったり、Tシャツだったり、幅広いアイテムをビジネスに取り入れる人が非常に増えた」

■シャツメーカーも開発に着手 

長野県千曲市のシャツメーカー「フレックスジャパン」も4月から「ビジネスTシャツ」の販売を開始しました。

襟の高さに加え、シャツメーカーならではの工夫も詰まっています。

フレックスジャパン・小林忍さん:
「速乾性のある、洗ってもシワにならない、すぐ乾く素材を提供できている。きちんと感はもちろん、色落ちがしにくい素材もチョイスしております」

「Tシャツ」自体は2021年から販売していますが、2025年ごろから「ある相談」が増えたといいます

フレックスジャパン・小林忍さん:
「『働き方改革』で服装を自由にするという企業も非常に増えている。ビジネス売り場でも、会社に着ていける服装自由な、最低限マナーを守った商品が欲しいという声が非常に高まってきている」

そこで本格的にビジネスTシャツの開発に着手し、シャツメーカーならではの素材や機能面を充実させた商品を作り上げました。

フレックスジャパン・小林忍さん:
「ビジネスのアイテムとすれば、われわれとすると得意なところなので、地方の企業ですけど、全国にそういったものは発信していきたい」

■会社の「正装」はプリントTシャツ

冒頭で紹介した「ヤッホーブルーイング」では、1997年の創業当初から”服装は自由”。

7年ほど前から、商品をプリントしたTシャツを「正装」としていますが、基本的には、社員の裁量で服装を決められます。

ヤッホーブルーイング・社員:
「Tシャツが正装というのは少し驚きましたけど、働きやすさはある。この格好をすることで気持ち的にも気楽になる。お客さまとも打ち解けやすい雰囲気をつくりやすい」
「これ(自社商品のTシャツ)を着て取引先と会うと、これ大好きですとか、いつも話しかけてくださって、一番最初の会話のきっかけにもなるのでとてもいいと思う。(ワイシャツ+ネクタイ姿に戻れる?)戻れないです」

■「スーツ一択」から多様な選択肢へ

ヤッホーブルーイング総務ユニット・長岡知之さん:
「会社としてはスーツを着なさいとか、そういうルールは一切なくて、基本的には個人でTPOに合わせて、シーンに合わせて、着てくださいということを自分で考えてもらっている」

採用においても、服装を重視する人が増えているといいます。

”ワイシャツにネクタイ”が当たり前だった仕事着。

暑さや働き方、価値観の変化の中で、その常識はいま大きく変わろうとしています。

ヤッホーブルーイング 総務ユニット・長岡知之さん:
「昔はスーツ一択みたいなところがあったと思うけど、多様な表現の仕方とか、清潔感を出すとか、誠実さを出すというのも、いろんなシーンがあって、いろんな選択肢があっていいと思うので、服装のバリエーションも増えていくととてもいいんじゃないかなと」

長野放送
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