2024年10月、北海道江別市で、大学生の長谷知哉さん(当時20)が男女6人から集団暴行を受けて死亡した事件。強盗致死などの罪に問われている川村葉音被告(21)ら3人の裁判員裁判が5月25日、札幌地裁で始まる。

 北海道ニュースUHBは事件から数か月後、勾留中の川村被告を独自取材。裁判を前に、事件当時の証言を改めて振り返る。〈3回シリーズの2回目〉


■事件の概要

 2024年10月、江別市の公園で大学生の長谷知哉さんが遺体で発見された。

 遺体には暴行による無数のあざが残されていた。

 事件から数日後、当時16歳から20歳の若者6人が逮捕された。川村被告もその一人だ。

 川村被告の友人である八木原亜麻被告(21)は長谷さんとの別れ話をめぐってトラブルになっていた。


 川村被告は八木原被告から連絡を受け、当時一緒にいた川口侑斗被告(当時18)と滝沢海裕被告(当時18)ら4人とともに八木原被告らと合流。その後、長谷さんを集団で暴行したとされる。

 「全部出せ、全額」「クレジットカードもな」「銀行カードあんのか」

 暴行の最中、6人は長谷さんからクレジットカードとキャッシュカードを強奪。八木原被告と川村被告は長谷さんから奪ったクレジットカードを使いコンビニでたばこなどを購入していた。さらに、長谷さんは衣服までも剥ぎ取られ口座からは残高のほとんどを引き出されていた。


■2度目の面会

 北海道ニュースUHBは2024年12月24日、再び勾留中の川村被告を取材。川村被告は事件の経緯を静かに語った。

 Q事件前に男らとどこで遊んでいたのか。その後の流れは

 「事件当日、私の車で男4人と新千歳空港に行き、ご飯を食べるなどして遊んでいた。午後10時に、バイトが終わった八木原から電話が来た。私は男4人と遊んでいたので、あまり出たくなかったが、夜遅かったので何かあったのかと心配になって電話に出た。内容は『今の彼氏に1年後に別れると言われた』という相談だった。八木原は『謝ってこない』などと言っていたが、私も遊んでいたので『とりま切る』と言って電話を切った。


 川村被告の強い口調に反応したのか、周りにいた男が次のように声をかけてきたという。

 「一緒にいた男から『どうしたの?大丈夫』などと聞かれたので、電話の内容を話した。18歳の男が『そいつに一回電話をかけて』と言ったため、八木原に電話をかけた。男が八木原と電話をすると、『彼氏と代われ』と言い、その後は被害者と電話をしていた。内容はわからないが、『とりあえず行くわ』という流れになって江別に行くことになった。なんでそうなったかはよくわからない。疑問でしかない」

 その後、八木原被告と合流した川村被告。男らは被害者に何か話しかけていたという。

 「八木原と被害者の2人とは、事件現場とは別の公園で合流した。私は八木原と話し、男4人は被害者と別々に話していたので、被害者の様子はわからない。ここでは普通に話していた。この公園ではトラブルになるようなことは絶対になかった」


■「『移動する』という話に…事件のあった公園に移動」

 Qそこで被害者と初めて会ったか

 「私は2回目だった。男の中では私の彼氏の17歳の男が以前、被害者と会っている。彼氏も2回目。そのほかの男らは初対面。聞いた話によると被害者と男4人は『何歳?』という会話をしていたらしい。その公園でどういう流れかはわからないが、男らから『移動する』という話になって事件のあった公園に移動した」

 Q事件のあった公園への移動の仕方を詳しく教えてほしい

 「私と八木原と私の17歳の彼氏と被害者が歩いて向かった」

 Qあなたの車は使用していないのか

 「車は18歳の男2人が交互に運転して公園に向かった。車は運転した2人を含めて、男3人が乗っていた」

 Qなぜあなたは運転しなかったのか

 「自分の車を他人に運転されるのは嫌だったけど、『俺運転うまいから』『免許持ってるから』などと言われ、『信用するからね』と言って運転を任せた」

 Q歩いて移動していた4人の様子は

 「私が『あれみんな足遅いんじゃない?』などと話したりして。みんなで走ったりして移動した。被害者も笑っていて、楽しそうだった」


■「八木原は『許す気ない、許せない』と言って許さなかった」

 Q事件のあった公園では何があったのか

 「私が被害者に『(八木原に)謝った?』と聞いたら被害者が『謝りました』と言っていたので八木原に『謝ったって言ってるよ』と言った。私は怒って言っていない。八木原は許さなくて、被害者はその場で、もう一度謝っていた。でも八木原は『許す気ない、許せない』と言って許さなかった」

 こうしたやりとりは、公園の階段上にあるロータリー付近で行われたという。

 「男が『降りるべ』と言って階段を下りて公園の中に入った。私と八木原と18歳の男と被害者の4人で話す感じになった。その会話の中で、被害者は『僕は正直に言ったんですよ』と言っていた」

 Qその言葉はどういう意味なのか

 「よく覚えていない。その4人で話している中で18歳の男が急にキレ始めた。被害者に対して急にお腹を蹴り始めた。この男はキックボクシングをやっている。この男が被害者に対して暴力を始めた」

 陰惨な暴力が始まった瞬間だった。その後、周囲にいた川村被告らもつられるようにして暴力を始めた。


■「場の雰囲気はあったと思う。私も3回暴力をした」

 Q最初は一人で暴力していたのか

 「最初はその男だけが暴力を振るっていた。みんな周りから離れる感じだった」

 Qそこからなぜ集団暴行に

 「よくわからない」

 Q場の雰囲気があったのか

 「場の雰囲気はあったと思う。私も3回暴力を振るった」

 Qどのような暴力か

 「最初は18歳の男に『お前もやれ』と言われて結構、焦って蹴った感じだった。でも暴力では何も解決しないと思う。話し合いじゃないと解決しないと私は思っていた。この18歳の男は私にとって逆らいにくい相手だった」

 暴力を振るった理由について、川村被告は、自身の高校時代に受けたいじめの話を持ち出した。

 「私は高校の時にいじめられていた。その影響でやられたら、手が出るようになった。口も悪くなった。高校の前まではそんなこともなかった。大学では手を出したことはない。抑えていた部分もあった」

■『もっとやって』と笑いながら煽る…暴力を指示する感じ

 Qなぜ被害者の服を脱がせたのか

 「わからない。服を脱がしていたのは18歳の男と17歳の私の彼氏で、『女の子は見ない方がいいよ』と言われた。後ろ向きになっていたので、はっきり見ていない。男たちはライターを手に取り、たばこを吸ったり、被害者の髪を燃やしたりしていた。被害者の体にライターを当てたとも聞いた。私はやりすぎだと思っていた」

 陰惨な暴力が続いたあと、さらに信じられないような事が…

 「一度暴力が止まった時があった。18歳の男が八木原に『もういいか?』と聞いてやめた。被害者の顔はまだ血がでてなく、アザができているぐらいだった。でも八木原が『もっとやって』と笑いながら煽っていた」

 Q八木原被告は暴力に加担したのか

 「一切暴力をしていない。どちらかというと、暴力を指示する感じ。笑って煽る」

 Q長谷さんが亡くなったことはわかっていたのか

 「私は八木原を家に車で送るために、一度現場を離れた。離れる前が、被害者をちゃんと見た最後。その時、被害者は会話もできて生きていた。その後、公園に戻ったが、公園の下にはいかず車の中にいたので、見ていない間はわからない」

 「わからない」と何度も繰り返す川村被告。自らの行為が招いた重大な結果をどう考えているのだろうか。

〈シリーズ3回目に続く〉

北海道文化放送
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