中東情勢の影響は、これから暑くなる日に欠かせない「保冷剤」にも及んでいます。政府は原料となるナフサは足りているとしていますが、なぜ「目詰まり」を起こしているのか、専門家に話を聞きました。
■苦渋の“有料化”も…ケーキ店悩ます「値上げラッシュ」
岐阜市と北方町に店舗を構える洋菓子店「フランボワーズ」。種類豊富なホールケーキに、メロンなど旬のフルーツが載った見た目も美しいケーキが並んでいます。

しかし、ケーキの持ち帰りに欠かせない“保冷剤”にも中東情勢の影が…。
フランボワーズの小竹末司社長:
「保冷剤なんですけど、1カ月ぐらい前に『5月から保冷剤が値上がりします』とお知らせがありました」
ナフサが使われている表面のフィルムや中身のジェルの価格高騰を受け、5月の仕入れ分から3割ほど値上がりしたといいます。

そのため、無料サービスで付けていた保冷剤を、6月からは小さいもので10円、大きいもので40円の「有料化」に踏み切ります。
客ら:
「ちょっと困ります。今すごく暑いので、保冷剤がないと車の中で心配」
「しょうがないですね。(保冷剤は)食材の買い物でも持ち歩いたりしているので」
店が頭を抱えているのは保冷剤だけではありません。
フランボワーズの小竹末司社長:
「乾かないようにフィルムを巻くんですけど、値上げに加えて今後は入りにくいと。製造が困難なんですね。材料が入らない」
この店で使う、ケーキを包むセロハンやトレー、カップデザートのプラスチック容器など、石油に由来する資材はどれもおよそ3割値上がりしています。

特に、フィルム類や焼き菓子の梱包資材については、今後入手できなくなる可能性も仕入れ先から告げられたといいます。
フランボワーズの小竹末司社長:
「不安だらけです。物が入ってこないことは避けたいので、ケーキに価格転嫁せずに、この夏は維持できるように企業努力していきます」
■「出し控え」と「買い占め」が目詰まりの要因に
「ナフサ不足」と言われていますが、実際は足りているのか、足りていないのでしょうか?
2025年3月と2026年3月のナフサの生産・輸入状況を比べると、国産はほぼ変わりありませんが、輸入は中東分の減少が響いておよそ4割も減りました。
政府は、5月中に中東以外からの輸入量を情勢悪化前の3倍確保できるとして、「必要量は確保されている」としています。

政府は“ナフサはある”としているのに、なぜ”ナフサ不足”なのか?石油化学コンサルタントの柳本浩希さんによりますと「種類による」ということです。
ひとくちにナフサと言っても、実際には「基礎化学品」と呼ばれるさまざまな素材に形を変えて、色々な製品の原料になります。

ポリ袋や食品トレーなどに使われるエチレンやプロピレンは、輸出に回していた分を国内向けに充てるなどして今は足りていますが、インクなどに使われる「トルエン」はもともと製造量が少なく、不足しているといいます。
ケーキを包むフィルムの原材料はエチレンで、トルエンと違い足りているはずですが、なぜ流通の『目詰まり』が起きているのでしょうか?

柳本さんは「メーカーは将来の不安感から、原料が高いので調達を控えて生産量を落とす“出し控え”がある」と指摘するとともに「需要家の“買い占め”も確認されている」としていて、これらがダブルパンチとなり、市場の品薄に拍車がかかっているようです。
