大手医療機器メーカーの「フクダ電子」は、創業家の2代目である福田孝太郎会長が1億5000万円以上にのぼる巨額の会社経費の“不適切利用”を行っていたと発表した。
しかし、フクダ電子の株主であるアメリカの資産運用会社は、福田会長について、「フェラーリなどのスポーツカー・クラッシックカー30~40台を継続的に会社駐車場に駐車していた」「380万円の高級ワイン・ロマネコンティを飲んだ代金について、出席者名を虚偽申告した上で会社経費として処理させていた」「本社ビルには、福田会長の希望でプライベートな寿司用カウンターやバーカウンターが設置されていた」などと指摘。
会社が発表した私的利用金額は過小であり、駐車場の私的利用だけで7億2000万円分に及ぶとしている。
フクダ電子とは
フクダ電子のホームページによると、創業は1948年で、心電図検査などで使用される医療機器やAEDなどを製造している。従業員は3465人で、売上高は1390億円に上り、東京大学に近い東京・文京区の本郷に、本館など複数のビルがある。
福田会長は、創業者の福田孝氏の長男で、1985年に代表取締役社長に就任。2012年から代表取締役会長となっている。
総額1.5億の“不適切使用”
フクダ電子は5月14日、福田会長が2021年7月から2026年4月までの約5年間にわたり、会社(本郷事業所)の地下駐車場を、私用車(最大で28台)の駐車スペースとして使っていたと発表。
また、少なくとも10年間にわたり、会社が業務委託している社用車の運転手を福田会長が私的に使った他、「業務との関係性につき不明又は疑義のある交際費」を会社の経費として計上したという。
さらに、子会社が取得したスポーツ観戦チケットを「業務との関連性につき不明又は疑義のある目的に利用していた」などと明らかにした。
私的な利用に係わる経費としては、駐車場使用は約7550万円、社用車運転手の私的利用が約1700万円、不適切な交際費が約2300万円、スポーツ観戦チケットは約3880万円に上り、総額1億5449万円7155円に相当する額が不適切に使われたとしている。
福田会長は、全額を速やかに一括して弁済する意向を示しているという。
株主の資産運用会社が反発
この発表に対して、フクダ電子の株主であるアメリカの資産運用会社カナメ・キャピタルが不満を表明し、第三者委員会による再調査を要請した。
カナメ・キャピタルによると、福田会長の「私的利用」について内部関係者から情報提供があり、4月7日に「報告書」としてフクダ電子監査役会に提出したという。
今回のフクダ電子の発表内容について、カナメ・キャピタルは「弊社報告書において指摘した事実関係が概ね正確であったことを確認する」ものだと主張しているが、「対象事実・対象期間・認定金額のいずれにおいても明らかに不十分」と強く批判した。
フェラーリにロマネコンティ
カナメ・キャピタルによると、福田会長は、文京区本郷のフクダ電子本社地下駐車場にフェラーリなどのスポーツカーやクラシックカーを継続的に30〜40台駐車していたという。
地下駐車場はセキュリティにより入場が制限され、福田会長と一部の者以外は立ち入りができない構造となっていて、「総額約82億円をかけて2021年に竣工した本社の地下スペース自体が福田会長個人の私用車を保管するために設計された蓋然性が高い」と主張している。
さらに、著名なフレンチレストランで、1本約380万円の超高級ワイン「ロマネコンティ」を飲む私的な会食を行い、代金約400万円について、出席者名を虚偽申告した上で、会社経費として処理させていたとも指摘。
また本社の8階には、福田会長の希望により、プライベートな寿司用のカウンターや、バーカウンターが設置されているという。私的に購入した日本酒の保管場所としても用いられ、福田会長が私的に親しくしている友人・知人を招いた懇親会に用いられていたとも指摘している。
駐車場代金は7.2億円とも
カナメ・キャピタルはさらに、フクダ電子が発表した「駐車場の私的利用の総額約7550万円」についても、過小だと指摘。東京23区の大規模ビル平均賃料単価である1坪あたり月2万8409円を元に計算すると、531坪の地下駐車場を2022年3月以降に専有したなら、利益供与額は約7億2000万円に達すると主張した。
交際費についても、フクダ電子の発表では過去10年間で約2300万円としているが、1回の会食で400万円超の不正利用が確認されているとして、「明らかに過小」と指摘している。
フクダ電子「この調査で十分」
カナメ・キャピタルの指摘について、フクダ電子の経営企画部に話を聞いた。
まず駐車場料金については、近隣の駐車場料金の相場を調べたところ、1カ月4万2248円が平均だったという。それに最大の台数28台と、使用していた月数をかけた結果が約7550万円だったと説明している。
地下駐車場は最大30台駐車可能で、会長と社長の社用車2台も駐車されていたという。また会長が専有していたのかとの問いには、「他の人が入れないわけではない」という事だった。
さらに、本社8階の寿司カウンターなどについては、あくまで会社の業務として招いたゲストをもてなすための施設だと説明。
カナメ・キャピタルが求める第三者委員会による再調査については、「監査役会が外部の専門家による厳格な調査を行い、その結果は5月14日に公開した通りなので、この調査で十分だと考えている」とした上で、カナメ・キャピタルにどう回答するのかは、具体的に決まっていないとした。