中国の北京で行われた米中首脳会談。習近平国家主席は、歓迎式典でホストとしてトランプ大統領を出迎えた。両首脳は互いに笑顔で握手をし、言葉を交わした。

中南海での散策の様子(日本時間15日)
中南海での散策の様子(日本時間15日)
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習主席が案内した世界遺産の天壇公園や習氏の執務室もある中南海での散策など、カメラの前での両首脳は融和的な雰囲気を見せていた。

それぞれが重視する「数字」と「ルール」

一方で実際の首脳会談では、厳しいやりとりが行われたようだ。

米中首脳会談(日本時間14日)
米中首脳会談(日本時間14日)

習氏は、最も重視する台湾問題で「対応を誤れば、衝突になる」とトランプ氏に伝えた。この「警告」に「会談は一時緊張感に包まれた」との見方をアメリカメディアは伝えている。トランプ氏は、習氏の「警告」に反応しなかったという。

首脳会談前、ある中国の政治評論家がトランプ氏は「数字」や「目に見える結果」を重視するのに対し、習主席は「ルール」を重視すると解説していた。中国側が今回の首脳会談の成果として強調するのは、習氏がトランプ氏との2日目の会談でカメラの前でも強調した米中関係の新たな位置づけ「建設的な戦略的安定関係」だ。

首脳会談で「節度ある競争による関係安定化」に合意と共産党系メディアも報道(5月15日付)
首脳会談で「節度ある競争による関係安定化」に合意と共産党系メディアも報道(5月15日付)

習氏自身の説明によると、「節度ある競争のもとで安定した関係を維持する」というもので、王毅外相は「対立衝突、さらには戦争になってはならない」と解説している。アメリカ側は、この新たな位置づけに応じていない。ただ、中国からすれば、「世界が注目する会談の成果として、習氏自身が“トランプ氏も同意した”『ルール』として発信したことに意義がある」と習政権の外交に詳しい専門家はいう。

例えば、トランプ氏が自身の承認待ちとなっている過去最大規模の台湾への武器売却を承認し、台湾海峡や周辺が緊張した際にはどうなるか。「誰が『ルール』を破ったのか」を明確にする理屈だという。

これに対し、トランプ氏が会談の成果として誇ったのは「数字」だ。アメリカメディアとのインタビューで習氏がアメリカの航空機ボーイング200機の受注に応じたという。
「ボーイングは150機を求めていた、だが彼は200機を承諾した」とも強調している。

中国が「安定」を優先する背景

台湾問題のほか、不動産不況からの中国経済の低迷、就職難、少子高齢化などの様々な課題を抱え、2027年には4期目に入るとも言われている習氏にとって「安定」が最優先だ。特に外交面では最も重視するアメリカとの安定した関係を望んでいる。

習氏にとってトランプ氏が好む「数字」や「すぐ見える結果」で応じることは、台湾問題での「担保」にもつながると中国の外交専門家は解説する。仮に武器売却を承認すれば「延期やキャンセル」もあり得ると指摘する。ただ、ビジネスマンとして経験豊富なトランプ氏は、そうした中国の思惑も承知かもしれない。

両首脳は2026年少なくとも、あと3回の対面会談の機会があるという。トランプ氏は、2026年9月24日に習氏をホワイトハウスに招待すると発表している。「数字」と「ルール」をめぐる両首脳の駆け引きが続くことになりそうだ。
(FNN北京支局長 垣田友彦)

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垣田友彦
垣田友彦

2024年7月より(株)フジテレビジョン 報道局国際取材部 北京支局長