きょう5月15日は、Jリーグの日です。
33年前のきょう、Jリーグが開幕し、これまで数々の日本代表がサンフレッチェから生まれたわけですが…クラブの歴史の原点には、ある一人の男の存在がありました。
その教えは今もクラブに息づいています。

★4月18日(土)VS長崎・試合前★
(黙とう)
先月、行われたホームゲーム。対戦相手・長崎の高木琢也監督。
そして、当初より視察を予定していた日本代表・森保一監督にとって、想像もしていなかった恩師の”追悼試合”になりました。

【森保一監督】
父のように、恩師として温かく厳しく指導をされることもあって本当にサッカー選手として、ひとりの社会人として半人前の自分を育てていただいて本当に感謝しかありません」

【高木琢也監督】
「きょうここでプレーできたこときっと顔合わせをここでしていただいたと感謝してお悔やみ申し上げたい」

サンフレッチェ広島の初代総監督・今西和男さん。
1941年・広島市で生まれ、舟入高校でサッカーを始めました。
サンフレッチェの前身、東洋工業サッカー部でDFとして活躍し、日本代表にも選出。
引退後は指導者となり、Jリーグの開幕に向けて、クラブのプロ化に尽力しました。
森保監督や高木監督らを見いだし、育て上げたのも今西さん。
今も教え子たちの心に刻まれている、今西さんの言葉があります。

【マツダ時代 今西和男さん】
「プロというのは、サッカーの技術だけでプロになるのではない。同時に社会人としても、一人前にならないといかん」

”サッカー選手である前に、良き社会人であれ-”

人間として幅を広げることが、サッカーにも生きると考えていました。
また、この頃から、”フェアでひたむきなプレーがチームのモットー。

【今西和男さん】
「ただ、うまいだけでなく、見ていて、激しいけれどもダーティではないフェアで激しいプレーを要求される」

今西さんが撒いた種は、2012年、花開きます。
クラブ史上初となる、リーグ優勝を達成。
フェアプレー賞も獲得し、戦い方そのものを評価されました。

【森保一監督】
「今西さんがやられてきた中でサッカー選手としてより高みを目指していく一流を目指すというところと人としてしっかり育てるところの2つの促しがあったと思うし。ひたむきにタフに戦い抜くという今西さんの掲げられたチーム作りが優勝につながったということを、そのとき感じた」

当時、選手として3度のリーグ優勝に貢献した青山敏弘コーチ。
広島一筋で21年間プレーし、おととし、現役を引退しました。

【青山敏弘コーチ】
「僕は実際今西さんに教えていただいたことは直接はないが、クラブとして”ひたむきさ”はずっと教え込まれた。選手としても指導者としてもそうかな」

クラブに脈々と受け継がれる、今西さんが築いたサンフレッチェのDNA。
指導者として若い世代に伝えていくことが、自分の使命だと捉えています。

【青山敏弘コーチ】
「少なからず自分がここにいる意味にも繋がってくると思うし、それを繋げられるから自分がここで働かせてもらえていると思っているので今西さんの思いを再確認して」

今西さんは「育成」の面でも土台を作りました。
安芸高田市・吉田町にある、「三矢寮」。
Jリーグで最も早く創設されたユース専用の寮で、槙野智章さんや柏木陽介さんなど、数々の日本代表を輩出してきました。
寮長の稲田浩さんもユースの出身です。

【寮長・稲田浩さん】
「非常に人としてもというところで言われていたので今西さんの前ではすごく緊張する感じはあった。プロになれるのは一握りなので、ほとんどの選手がなれない。サッカーを通して人間的に成長させるというところを言われていた」

今西さんの信念を受け継ぎ、親代わりとして選手たちをサポートしています。
寮母さん「おかえりなさい」
学校から帰ってきてまずやることは、弁当箱の水洗い。調理場に誰もいませんが、感謝を伝えます。 選手「ごちそうさまでした」
また、自分の洗濯物は自分で洗濯。

【岡野キャスター】
Q洗濯はいつも自分で?
【ユース・太田大翔選手・3年】
「自分で全部取り込んだり、干したりしています。(寮に)来るまでは全部親にしてもらっていたので洗濯を初めてするので、来たときは苦労した。(親は)すごいなって思っています」

さらに。

【岡野キャスター】
Q選手たちの部屋の扉があいていますけど、これには理由が?

【寮長・稲田浩さん】
「電気の付けっぱなしとか朝起きたらカーテンを開けて、出るときには片付けて出るということを教えていますので。一番は自立する、自主的に自分で考えて取り組める所が、サッカーも日常でも最終的にはそこがないとだめなのかなと感じています」

サッカー”を”教えるのではなく、サッカー”で”教える。
人間形成を重視する今西イズムは、今もクラブに息づいています。

【岡野キャスター】
Q自分が成長したと感じることは
【ユース・加藤凛太朗選手・2年】
「自立ですかね。親に対しての感謝の気持ちを持つようになった」

★4月18日(土)VS長崎★
(ゴール裏から”今西”コール)
今西さんが亡くなった直後のリーグ戦。
選手を育てチームを強くする、”育成型クラブ”を象徴するように、ユース出身選手・5人が先発で出場します。今西さんへの弔い星をめざすサンフレッチェ。
(鈴木ゴール!)ユース出身東のクロスから先制します。
さらに。
ユース出身・加藤も。
(加藤ゴール!)クラブを築いた恩人今西さんに、白星を届けました。

【加藤陸次樹選手】
Qチームで一つにした思いは?
「正直負けは許されない。勝って、今まで築いてきたサンフレッチェの方の一人をいい思いで送ろうと。その思いで戦いました」
「僕にとっては、実際に話した経験もないが、レジェンドの話をたくさん聞いて、いまのサンフレッチェがあるのも知っている中で、チームでプレーできているので、感謝の気持ちでゴールを決めたいというのは、きょうできてほっとしている」

【森保一監督】
「いち早く、先見の明をもって育成型クラブとしてチーム作りをされたことが今にもつながっている。今西さんの魂が、DNAが、ここに生きているなと思って試合を見ていた」

サンフレッチェの礎を築いた偉大なる功労者。
今西さんが遺した”今西イズム”は、これからもクラブの歩みを支えていきます。

テレビ新広島
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