街中の野良ネコや公園にいるハト。
“悪質なエサやり行為”を巡り、先月、全国で初めて住民が書類送検される事態となりました。
“悪質なエサやり”の実態とその法的リスクを徹底取材しました。
■“動物へのエサやり”で全国初の書類送検
大阪市住吉区のJR我孫子町駅周辺では10年程前からハトへのエサやりが問題となっていて、2019年に取材した時には数えきれないほどのハトが確認されました。
そこで大阪市は夜間の張り込みなどによって悪質なエサやりを続ける人物を特定。動物愛護法に基づく指導や勧告を複数回実施するも、エサやりを続けたため、大阪府警に刑事告発し、今回、書類送検される事態となりました。
エサやりを理由とした書類送検は、全国で初めてのことです。
大阪市の横山英幸市長は「安易なエサやりについては控えていただき、人も動物も快適に暮らせる社会づくりのためにも、心がけてほしい」と呼びかけます。
■書類送検から約10日後も問題は解決せず
書類送検からおよそ10日後。取材班が現場に向かうと、駅周辺からハトの姿は消えていました。
問題は解決したと思いきや、地元の住民から意外な情報が入ってきました。別の場所でエサやりが続いているというのです。
案内された先で、取材班が目にしたのは、フンのようなもので上から下まで白く汚れた何本ものポール。歩道には、放置されたネコのエサに群がるハトの姿がありました。
■茂みの中に容器と水が入った缶が放置されているのを発見
さらに、付近のおよそ100メートルの道のりには、「迷惑なエサやり禁止」を呼びかける注意書きが、確認できるだけで18カ所に貼られいました。
茂みをのぞき込むと、容器と水が入った缶が放置されているのも見つかりました。
【近隣住民】「この中に(エサを)いれよったんや。この茂みの…」
【近隣住民】「エサは(食べられたので)ないけど、水いれたり、エサいれたりするから」
■「カラスも連れてきてる」“エサやり行為”を見た人
さらに、エサやりをしている人物を見たことがあるという男性に出会いました。
【“エサやり行為”を見た人】「自転車にカゴが袋だらけで。見たのは米みたいなのをまいていく。その人が来るとカラスも来るんですよ。わかってるんですよ、カラスも。自転車こいだらカラスも一緒に飛んでくるんですよ。カラスも連れてきてる」
今回書類送検された人物と同一かは分かりませんが、現在も早朝からエサやりをする人がいるといいます。その情報をもとに、取材班は午前4時ごろに現地へ行ってみましたが、当該の人物に出会うことはできませんでした。
一方、住民がエサやりによって今なお困っている状況について市の担当者は…
【大阪市健康局生活衛生部 天辰健一保健主幹】「『素直にもうやめます』ということをおっしゃったりするということもあるのですが、時間がたったらまた再開されているという感じで、なかなか、本当にイタチごっこという感じで」
■自宅敷地内にエサを置かれる被害を受けた人も
同様の問題は、大阪市城東区の住宅街でも起きていました。門には「猫の置きエサ禁止」、その反対側には「猫にエサを与えないでください」の貼り紙や看板が。
この住宅街では、数年前から野良猫が住み着き、複数の人によるエサやりが問題となっています。
「後片付けをしないから、容器のままで。ハエとかがたかるから嫌がる人も多いです」と近隣住民。
さらに衝撃的だったのが、ある男性の証言です。今年3月、自宅のカーポートの内側に、ネコのエサが大量にまかれているのを発見しました。
【自宅敷地内にエサを置かれた住民】「外だったら仕方ないなと思わざるをえなかったんですが、さすがに家の敷地内ってのはちょっとないなと思って」
男性らは区役所に相談し、エサが頻繁に置かれる場所にポスターを設置。先月からは保護団体の協力でネコに去勢手術を受けさせ、頭数を管理する取り組みも始めました。それでも、エサが放置される状況は続いているといいます。
■エサやりをする女性「ネコを飼っている人から頼まれた」
取材を続けていると、エサやりをする女性が現れました。
「どういう理由でエサをあげているんですか?」という記者の問いに、女性はこう答えます。
【野良猫にエサをやる人】「頼まれて。ネコを飼っている人から(頼まれた)」
(Q:あなたは猫を飼っている?)
【野良猫にエサをやる人】「うちは猫を飼われへん」
(Q:各地でエサやりをしている?)
【野良猫にエサをやる人】「そんなんしてない、ここだけ。待っているからね」
(Q:待っている?)
【野良猫にエサをやる人】「(ネコが)待ってるやん」
女性は「ケガをした知人の依頼で、代理でエサやりをしている」とのこと。近隣住人の苦情があることを伝えると、「後で回収にきますよ。片づけに来ます。ごめんね」と話し、立ち去りました。
女性が立ち去った後、取材班が確認すると、ネコはちくわを散らかしながら食べ続けていました。
■“悪質なエサやり”は法的責任が問われる可能性が
2019年に改正された動物愛護法にエサやりを禁止するとは書かれていませんが、“悪質な場合”は法的責任が問われる可能性があるといいます。
【まこと法律事務所 北村真一弁護士】「今までは(規制の対象に)入っていなかったんですけど、(法改正で)エサをやる行為も周りの環境を害する場合においては規制の対象となるという項目が入った」
具体的には、動物にエサやり・水やりをしたことで周囲に悪影響を及ぼした場合、事態を収拾するよう勧告や命令を受けます。それに従わない場合は、50万円以下の罰金が科されます。
【まこと法律事務所 北村真一弁護士】「エサをやりっぱなしでそこに動物が集まってきて、動物のフンや羽根が落ちているのにそれを掃除しない。そういったことをずっと続けていると、“悪質なエサやり”だということになる」
軽い気持ちで続けた行為が、迷惑行為に。やさしさには、責任が伴います。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年5月12日放送)