サンマルコ食品は、コロッケを中心とした冷凍食品の製造販売を手掛ける企業です。“コロッケ王子”の愛称で知られる代表取締役社長の藤井幸大さんは、日本コロッケ協会の設立を通じてコロッケの地位向上に尽力する傍ら、自身の経験から生まれたメディカルフード事業「ドクターディッシュ」を展開し、食を通じた健康課題の解決を目指しています。藤井さんにサンマルコ食品の挑戦と未来への展望について伺いました。
――藤井さんが考える「美味しいコロッケ」とはどのようなものでしょうか?
「私は生まれた時からコロッケの英才教育を受けて育ち、年間2000個以上は食べています。そんな私たちが徹底して研究したコロッケは、素材、製法、そして『どう感じてほしいか』というところまで追求して作っています。香りがどう感じるか、キレがどうだとか、くどさがどうだとか、そういったことを徹底的に追求しています」
厳格な父と海外での経験が育んだ視点
――幼少期はどのような子供でしたか?
「父が厳しく、説得しないと何もやらせてもらえませんでした。ゲーム一つ買ってもらうにも、なぜそれが必要なのかを伝えなければならず、幼少期はハードルの高い道を歩んできたと思います。子供の頃はまだ父親がサラリーマンで、家業を継ぐ意識はありませんでした」
――学生時代はどのように過ごしましたか?
「好きなことだけをやっていました。親の意向もあり、しばらく海外に行ってこいということで、タイやアフリカでボランティアを経験しました。そこで純粋な人の喜びに触れ合い、幸せを感じました。大学では日本大学の工学部に入学しましたが、単位をほとんど取れず、方向を軌道修正しました。その後、自動車関係の仕事に就きたくてアメリカに行きました」
アメリカでの経験と家業を継ぐ決意
――アメリカでの経験が家業を継ぐきっかけになったのでしょうか?
「アメリカで外食産業や車の事業など、様々なことを模索していました。しかし、2007年、2008年のサブプライムローンやリーマンショックで新しい事業を始めるには苦しい時期でした。その時、父から『家業を継いでみるのもいいんじゃないか』と言われ、初めて家業を継ぐことを意識しました。最初はやりたくないと思っていましたが、父の『自分が経営する立場になったら、好きなことを少しずつ増やしていってもいい』という言葉にストンと落ち、帰国して家業を継ぐ決意をしました」
家業を継いでからの改革と「ドクターディッシュ」の誕生
――家業に入ってから、どのような取り組みをしましたか?
「3年間、食品の卸会社で修行させていただき、からあげブームなどを通じてブームの仕掛け方を学びました。その流れから、コロッケの地位向上を目指して日本コロッケ協会を設立しました。コロッケグランプリやコロッケフェスティバルを開催し、少しずつコロッケの地位も上がってきていると思います。また、OEM率が高かった会社で、お客様の要望に応えるだけでなく、これから求められるものを考えていく部署を自分たちで店舗も運営しながら作っていきました」
――社長に就任してから、どのような施策を打ち出しましたか?
「2024年に社長に就任しましたが、その前は天災やコロナ禍で年商が30%近く落ち込む苦しい時期でした。そんな状況で工場の建て替え計画なども狂っていたため、父の優しさから交代が遅れました。社長就任後は、フローズン事業の拡大、直営店舗の強化、そしてメディカルフード事業『ドクターディッシュ』の育成に力を入れています。ドクターディッシュは、私自身のダイエット経験から生まれた、糖尿病患者さん向けに臨床試験で効果が確認されているブランドです。今後は睡眠改善やスキンケア、ダイエットなど、様々な分野で臨床試験を行い、効果を担保したメディカルフードを展開していきます」
食を通じた社会課題解決への展望
――メディカルフード事業について、詳しく教えてください。
「銀座に食事療法のクリニックを作っており、ドクターが診断しながら、その人に足りない栄養分を補い、弊害になりそうな部分を整えるトータルコーディネートを提供しています。サンマルコ食品と連携しながら、この食事療法を推進していきたいと考えています。去年、日本食事療法推進協会を立ち上げ、様々なメーカーさんや小売りさんにも参画いただき、日本の食文化の課題解決を目指しています。ドクターディッシュは、合成甘味料などでカロリーゼロにするのではなく、味の研究によって、例えば飴玉をゆっくり舐めるように、自然と噛む時間が長くなるような味わいの設計技術を取り入れています。我慢するのではなく、美味しい中で健康になれることをロジック化しているのがドクターディッシュです」
――ボスとして大切にしていることは何ですか?
「後ろめたさがない生き方をしたいと思っています。胸を張って売れる商品や、胸を張って誇れる仕事をしていきたいので、一つ一つのことをきっちり真面目に愚直にやることを大切にしています」
――会社の未来をどのように描いていますか?
「日本は亡くなる方の60%が生活習慣病という食事から生まれる病気によって亡くなっています。この課題に我々の事業が一端を担っているという思いから、ドクターディッシュの事業が始まりました。食習慣そのものを変えるという大きなプロジェクトですが、病気で苦しむ方が少しでも減っていく、そのような社会に必要とされる会社になれればいいなと思っています。未来はそこに向かって頑張っていきたいです」
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