福島第一原子力発電所に大量に残る高線量の“劣化土のう”回収にあたり、東京電力は5月11日に2つの建屋のうちの1つで、土のうの“集積”が完了したと公表した。ただし、全体の回収完了は2029年度以降と目標は遠い。

土のうが残るのは、地下水などが燃料デブリに触れて発生した“汚染水”を浄化して“処理水”にする過程での通り道になっている建物で、プロセス主建屋と高温焼却炉建屋の2つ。今回集積作業が完了したのは高温焼却炉建屋で、今後、ロボットを用いた“容器封入作業”の2027年度後半開始に向けて準備を進めるという。

この2つの建屋には、事故当時から、高線量の「汚染水」を浄化するため、放射性物質を吸着するゼオライトの土のうと、油分などを吸着する活性炭の土のうが大量に投入された。
ゼオライト土のうの表面線量は1時間あたり最大で4400ミリシーベルトと高く、時間の経過によって劣化して破れるなどして、大部分が地下に流れ込み「汚染水」に浸かってしまっている。2024年11月に採取された燃料デブリの表面線量が1時間あたり8ミリシーベルトなので、単純計算で500倍以上の放射線量。
このゼオライト土のうだけで、2つの建屋に合わせて約1300袋・26tが残されていると推計される。

東京電力は土のうを回収するため第一段階の“集積作業”と次の段階の“容器封入作業”に分けて作業を進める計画で、2025年3月から第一段階を開始し、ロボットで破いた土のうの中身を吸引して集積場所に運ぶ作業を行った。しかし、作業を進める中で、天井から落下した照明や、倒れたロッカーなどが現場に存在することが発覚。
回収作業全体の終了は当初の“2026年度~2027年度”とされていたが、2025年9月に“2028年度以降”に修正。そして同年12月15日に“2029年度以降”と見直された。

“集積作業”は当初、2025年1月から2月の着手を計画していたが、現場が非常に高線量であることから、十分な安全対策をとる必要があるとして後ろ倒しされていた。またこの前段の土のうの“破砕”については、ロボットの設備の不具合により一時中断した経緯もある。
現場は放射線量が高いうえに暗くて狭いため、作業がさらに難航する可能性もある。


国と東京電力は2051年までの廃炉完了を掲げている。

福島テレビ
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