ハンタウイルス集団感染が疑われるクルーズ船がスペイン・テネリフェ島に到着し、乗客は島民と接触せず移動した。
“ヒトヒト感染”の可能性も指摘される中、現地では不安が広がっている。
集団感染疑いのクルーズ船がテネリフェ島に到着
午前6時3分、スペインのテネリフェ島に、「MVホンディウス号」とみられる船が到着し、船上で動いているような人影が確認できた。

日本時間10日午後3時半過ぎ、「ハンタウイルス」の集団感染が疑われるクルーズ船「MVホンディウス号」が、スペイン領カナリア諸島・最大の島、テネリフェ島に到着した。

現地当局などによると、乗客らは健康状態を確認し高性能マスクを着用して、小型ボートに乗り換えて、島に上陸。
その後、バスで空港に向かい、島民など一般人とは一切接触せずに、飛行機に乗り込むという。
到着に合わせ、前日には、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が現地入りし、「この病気は新型コロナウイルスではありません。地元住民の感染リスクは低いです」と、感染のリスクは低いと訴えたが、住民の不安は高まる一方で…
カナリア議会前には、デモの参加者だろうか、笛を鳴らして多くの人々が向かっていた。

デモの参加者は「島民には情報がなくて、対処方法も分からず、不安と恐怖を感じているわ」、「島の安全を脅かすな!2度目のロックダウンを誰も望んでいない」などと話していた。

大西洋の小さな島に大きな混乱をもたらしている「ハンタウイルス」。

日本感染症学会専門医であり、国際医療福祉大学市川総合病院の寺嶋毅(てらしま・たけし)医師は、「ハンタウイルスの怖い点は、腎臓や肺など重要な臓器の働きが侵されて命に関わることがあること。まだ有効な治療薬がないからです」と警鐘を鳴らす。

日本感染症学会専門医・寺嶋毅医師:
今回、注目すべきは“ヒトヒト感染”が起きた可能性があることです。(ウイルス)症状が出始めた時期、そして症状が強い時期に感染性が高いといえます。
世界が注視「ハンタウイルス」 “感染拡大”の可能性は?
4月1日、アルゼンチンを出発してから約1カ月…

クルーズ船の乗員乗客・6人が感染、感染疑い2人を含む8人のうち3人が死亡した。
WHO・テドロス事務局長は会見で、「本件に関与するのは『北米・南米型』、その中でも『アンデスウイルス』です」と話した。

日本感染症学会専門医・寺嶋毅医師:
北米・南米型の特徴は、発症後、数日で急激に進行して、呼吸が苦しい、酸素が低下する、血圧が下がるなどの重篤な症状に至ります。致死率は30~50%と高い致死率です。
寺嶋医師が危惧するのは、重篤な症状と高い致死率。
さらに、その感染経路については…
日本感染症学会専門医・寺嶋毅医師:
ハンタウイルスはそもそも、ネズミからヒトに感染する感染症です。ですが唯一、アンデスウイルスがヒトからヒトへの感染が報告されています。
ヨーロッパの保健当局などの最新の分析では、一部の乗客が乗船前にアルゼンチンでウイルスに感染、その後、船内でほかの乗客乗員に広がった可能性があるという。
日本感染症学会専門医・寺嶋毅医師:
空気感染ではなくて、基本的には濃厚接触者への飛沫(ひまつ)接触感染です。寝室を共にするご夫婦であるとか、医療従事者が報告されています。
WHO・テドロス事務局長によると、ウイルスの潜伏期間は最大で6週間のため、今後さらに、感染者は増える可能性はあるという。

またクルーズ船の運行会社は、集団感染の疑いが判明する前の4月24日、イギリス領のセントヘレナ島で、12カ国・30人の乗客が下船していたことを明らかにした。
この先、ウイルスの感染はどこまで広がるのか?

日本感染症学会専門医・寺嶋毅医師:
血管の中の細胞に感染して、そこからウイルスが外に出てくるということは多くはありません。インフルエンザ、コロナ等の呼吸器感染症と比較すると、感染率は低いといえます。冷静でいることが大切です。
(「Mr.サンデー」5月10日放送より)
