指宿市の畜産加工会社・水迫畜産が、牛肉の産地や種類を不正に表示していた問題で、ふるさと納税の返礼品を巡り直接取引していた鹿児島市など4市が、寄付者への補償として同等の商品または金券を準備するよう水迫畜産に申し入れた。「大きく信頼関係が崩れかかっている状態」と危機感を示す自治体側。水迫畜産は5月11日までに回答する方針だ。

「認めがたい」4市が合同で申し入れ

鹿児島市役所喜入支所に頭を下げて入る水迫畜産の水迫栄治社長。部屋には、水迫畜産と直接取引し、不正表示された牛肉をふるさと納税の返礼品に採用した鹿児島市や南九州市など4つの市の担当者が待っていた。

「改めましてここで深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした」

今回の申し入れは、4月20日に水迫畜産が示した寄付者への対応が不十分として、4市合同の形で実施された。会議は冒頭以外非公開で行われ、出席者によると、不正表示の商品を受け取った寄付者に対して同等の商品または金券で対応するよう、水迫畜産側に申し入れたという。

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鹿児島市企画部の石宮聡部長は、申し入れの意図をこう説明する。

「(寄付者への対応について水迫畜産が)出したものが我々としては認めがたい。(寄付のお礼として出している品物と)同価値のもの(を求める)という意図で申し入れた」

ふるさと納税のルールとの整合性

ふるさと納税の返礼品は、寄付額の3割以内に抑える必要がある。今回、水迫畜産が直接寄付者に対応する形をとることで、4市はこのルールに抵触しないとの考えを示している。

返礼品を提供する自治体ではなく、不正を行った事業者が補償の窓口になるという今回の枠組みは、ルール上の問題をクリアしつつ、被害を受けた寄付者の救済を実現するための苦肉の策ともいえる。

「信頼関係が崩れかかっている」南九州市の危機感

4市の中で寄付件数が約2万4千件と最も多い南九州市は、今回の問題が地域のふるさと納税全体に及ぼす影響を重く受け止めている。

南九州市総務課の栫井正人課長は言う。

「大きく信頼関係が崩れかかっている状態なので水迫畜産の対応にかかっている」

ふるさと納税は、地域の特産品を通じて寄付者と自治体をつなぐ仕組みだ。その根幹にある「地域の本物を届ける」という信頼が揺らいだことは、南九州市にとって単なる一事業者の不祥事では済まない問題となっている。

取材に応える4市の担当者
取材に応える4市の担当者

水迫社長「意図的ではない」主張は変わらず

申し入れを受けた水迫栄治社長は、次のように応じた。

「できる限り本日の要望を精査してしっかり対応できるよう考えている」

一方、この不正表示問題を巡っては、県警が水迫畜産の関係先を家宅捜索している。それでも水迫社長は、不正は意図的ではないという立場を改めて示した。

「世間にご迷惑をおかけしたので真摯に全面的に(捜査に)協力して対応したい。記者会見で述べたのが私どもの考えで、それ(不正は意図していないという考え)について変化はない」

5月11日が回答期限

水迫畜産は、今回の申し入れに対して5月11日までに回答する方針を示している。約2万4千件にのぼる寄付者への補償がどのような形で実現するのか、そして地域ブランドへの信頼をどう回復していくのか。この問題の行方を大きく左右する今後の回答に注目が集まっている。

(動画で見る▶水迫畜産の牛肉不正表示問題、鹿児島市など4市が「寄付した物と同等の物を求めた」補償対応を申し入れ)

鹿児島テレビ
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