「この40年の代償が4000万円というのは、果たしてどうなのか」
そう語ったのは、1986年3月に福井市で起きた女子中学生殺人事件で有罪とされ、7年の服役後に再審で無罪が確定した前川彰司さんだ。逮捕から計3185日を費やした末に再審無罪を勝ち取った前川さんは、刑事補償法に基づく約4000万円の補償金を福井地方裁判所に請求した。失われた歳月と自由へと「けじめ」としながらも、いかなる補償も「癒やしきれるものではない」と語る。
事件から再審無罪まで約40年にわたる長い闘い
事件が起きたのは1986年3月。福井市内の団地で女子中学生が殺害され、前川彰司さんはその犯人として逮捕・起訴された。その後、有罪判決を受け、7年間服役した。
無罪を訴え続けた前川さんは、逮捕から38年、2025年7月に再審で無罪判決を勝ち取った。

国家による誤った拘束に対する最低限の補償
再審で無罪判決を受けた場合、刑事補償法に基づき、勾留や服役した期間に対して国に補償金を請求することができる。補償の上限額は1日あたり最大1万2500円だ。

前川さんが逮捕から服役していた期間の合計は3185日。この日数に最大補償額の1日1万2500円を掛け合わせると、3981万2500円となる。今回、前川さんはこの満額を2026年4月28日に福井地方裁判所に請求した。
この補償金制度は、国家による誤った拘束に対して最低限の金銭的な回復を図るための仕組みだ。しかし、失われた自由や精神的苦痛のすべてを補うものではないことは、前川さん自身が語る。
「この40年の代償が4000万というのは、果たしてどうなのかなという思いは正直、あります」
さらに前川さん「福井事件において自分が払った犠牲なり被害は、どれだけ慰謝されたとしても、癒やしきれるものではないです」と続けた。
裁判費用の補償請求も進行中
前川さんは2025年12月には、これまでにかかった裁判費用の補償についても福井地裁に請求している。現在、弁護費用などの算出が進められている

再審に至るまでの長い法廷闘争には、多額の費用が伴う。弁護士費用をはじめとした裁判にかかった経費についても、補償の対象となりうる。その具体的な金額は、現時点ではまだ確定していない。
えん罪事件は、一人の人間の人生を根底から変えてしまう。前川さんのケースでは、1986年に20代で事件に巻き込まれ、3185日という時間を拘束のなかで過ごした。社会とのつながり、日常生活、家族との時間、そのすべてが奪われた。
