28日、財務省の専門家で構成される財政制度審議会の分科会で、医療費の窓口負担を「拡大すべき」と提言があった。生活に重要な医療費だが、なかには3倍になる人も出てくるかもしれない。70歳以上の医療費が「窓口3割負担」に拡大したらどうなるのか、高齢者や専門家を取材したところ、高齢者からは“受診控え”“食事控え”の声、専門家からは低所得者への救済策を指摘する声が挙がった。

「窓口負担3割」の背景は

所得によって負担割合は変わってくるが、現在の医療費の窓口負担は原則として、69歳までが3割負担、70歳~74歳までが2割負担、75歳以上は1割負担となっている。

現在の医療費の窓口負担
現在の医療費の窓口負担
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こうした「年齢による線引き」について、審議会では、70歳以上の高齢者の医療費窓口負担について、「可及的速やかに現役世代と同じ原則3割にすべき」と提言された。

審議会では、現在の医療保険制度を持続していくため、若年層の保険料負担を減らし、可処分所得つまり「自由に使えるお金」を増やす。高齢者でも支払い能力のある人がいるため、負担をお願いするなど、「公平な負担」の必要性を訴えている。

“病院行かなくなった”“節約するなら食費”高齢者の生活への影響

もし一律で3割負担になったとすると、高齢者の人たちの生活にどう影響するのか。街では次のような意見が聞かれた。

「みんなが平等なら3割でもかまわない。2割になってから(体が)痛くても医者に行かなくなった。風邪をひいてもゆっくり寝て治すとか」(83歳女性)

「歯医者、眼科、心臓の病気、不整脈、診察券はいっぱい持っていますよ。若い人の負担が増えたからやむを得ないかな」(82歳男性)

「1割から3割にしたらとんでもないですよ。何の病気になるかわからない未知数の世界だから、それが3割になるのはちょっと不安になる。年金は変わらないからね。(節約するなら)やっぱり食費よね。お肉だったら今までこれを買っていたのをちょっとランク下げようかなとか」(80歳女性)

“受診控え”で重症化リスク懸念

一方、多くの高齢者と現場で接する医療機関にも取材した。

60歳以上が多く通う病院では、負担の割合の引き上げは仕方がないが、それによって“受診控え”が起こり、重症化リスクの懸念もあるとして、もし制度が変更されれば、注意深く見ていく必要があるとしている。

負担増の提言を専門家はどう考えるのか、2人の専門家に聞いた。

公共政策に詳しい、法政大学大学院の白鳥浩教授は「年金暮らしの方は収入が増える見込みがないにも関わらず、『命』に関わる医療費の負担を増加させるのはいかがなものか。受診控えや投薬控えを誘発する危険性がある」としている。

また、高齢者の医療や介護の問題に詳しい東洋大学の高野龍昭教授は、社会保障制度での「高齢者も相応の負担が必要」としながらも「『一律3割負担』は低所得の高齢者の保障がされないので、平等性が損なわれない救済策が必要」と指摘する。

そして、実現可能性については、どちらも「十分あり得る」という立場だった。
(「イット!」4月30日放送より)