2027年春、広島・海田町に開校予定の歯科衛生士専門学校。将来の進路を考える高校生はもちろん、子育て世代や異業種からのキャリアチェンジも見据えた新たな学びの場として注目されている。
なぜ今、歯科衛生士専門学校なのか
海田町に校舎を構える「広島たいよう歯科衛生士専門学校」。4月18日、開校に先がけてオープンキャンパスが開かれた。
岡本佳明理事長は、開校の背景について“2040年問題”を挙げる。
「われわれの業界で課題になっている2040年問題がある。今後、歯科医師の数が減っていく。人口減少よりも早いスピードで歯医者の数が減るとも言われている。2040年に向けてさらに高齢化が進み、歯科医院に歩いて来られない人も増える。そのとき、訪問診療で患者の口の健康を守る歯科衛生士の役割が歯科医師よりも大切になってくる」
通院が難しい高齢者が増えると予想されるこれからの時代、地域医療を支える歯科衛生士の育成が求められている。
高校生だけでなく子育て中のママも
体験型のオープンキャンパスには高校3年生を中心に多くの参加者が訪れた。
「興味があってきた」
「新しい学校だから気になる」
そんな高校生に交じり、口腔内模型を使った体験プログラムに真剣な表情で取り組んでいたのが、子育てをしながら工場勤務を続ける20代の母親だった。慣れない器具を手に、指導者の説明を受ける姿には、新たな挑戦への期待がにじんでいた。
「ママでもできそうだなと」
高校卒業後は就職を選んだが、再び学びへの思いが強くなったという。
「高校生のときは勉強に自信がなかったり学費の不安があって諦めたが、もう一回挑戦しようと思った」
この学校の大きな特徴は、全国的にも珍しい「午前中のみ」の授業スタイルだ。午後の時間を家庭や仕事と両立しやすくすることで、他職種からのキャリアチェンジや子育てしながらの学び直しを後押しする。
“空白地帯”を埋める新たな拠点
副校長の岩井三賀さん自身も、異業種から歯科衛生士へ転身した経験を持つ。
「私も10年ほど幼稚園教諭をしていた。そこから子育てをしながらもう一度専門学校に3年間通い、歯科衛生士の国家資格を取得した。教職員で手を取り合って、きめ細かく丁寧な授業をしていきたい」
約8年前から構想を進め、海田町に開校を決めた背景には地域的な理由もある。
「広島には5校ほど学校があるが、人口の多い呉市や東広島市、海田町、府中町エリアで歯科衛生士を目指したい人のための学校ができたらいいと思った」と岡本理事長。これまで養成校が少なかった“空白地帯”を埋める存在として、地域医療の底上げも期待される。
広島たいよう歯科衛生士専門学校は、2027年4月の開校を予定しており、6月から総合型選抜のエントリー受付を開始する。
30代、40代も挑戦しやすい専門職
取材した鈴木崇義ディレクターによると、中四国地方における歯科衛生士の求人倍率は約20倍と極めて高い水準にあるという。
歯科衛生士は新卒に限られた職業ではなく、学ぶ時間を確保できればキャリアチェンジしやすい専門職だ。30代、40代、さらには親の介護を意識し始める世代でも十分に挑戦できる。自身のキャリア形成だけでなく、家族の健康を守る知識を身につけることにもつながりそうだ。
人生100年時代。未来の健康寿命延伸に向け、“口の中の健康”を支えるスペシャリストの育成が急務となっている。
(テレビ新広島)
