「こういう言い方をすると、相手を傷つけやすいよね」
「一般的には、こういう場面では誤解が生じやすいよね」

といった、注意喚起や一般論を教えてもらう存在としては、AIは役に立ちます。

これは、「だから、この人はこう思っているはずだ」と結論を出すこととは、まったく別です。

人の気持ちは効率化できない

人の気持ち。思いやり。相手を喜ばせたいという感覚。

これらは、効率化できないからこそ、人として大切な領域なのだと思います。

AIを使っていいこと、よくないこと。その線をどこに引くのか。それは、子どもではなく、今を生きる私たち大人に突きつけられている問いです。

・最初から答えを出す存在として使うのか
・自分の考えを深めるための補助として使うのか

この違いは、結果以上に、プロセスを大きく変えます。AIは、考える力を奪う存在にもなりますし、考えることを面白くする相棒にもなります。

AIのよさを過度に持ち上げるのでもなく、不安だけを煽るのでもなく、考えることの価値をどこで守るのかを、自分の言葉で説明できる必要があります。それができて初めて、AIは本当の意味で「味方」になるのです。

『「考える力」と「好奇心」をぐんぐん伸ばす AI×学び入門』(日経BP)

安井政樹(やすい・まさき)
札幌国際大学基盤教育部・教職センター准教授。文部科学省学校DX 戦略アドバイザー。デジタル庁デジタル推進委員。

安井政樹
安井政樹

札幌国際大学 基盤教育部・教職センター准教授。道徳教育および教育における生成A I 活用の研究に取り組む、A I リテラシーの第一人者。文部科学省学校DX 戦略アドバイザー。デジタル庁デジタル推進委員。
北海道・札幌市の小学校教諭として20年間勤務の後、2022年より現職。教育用AI「スクールAI」や「ClassCloud」、ARデジタル体育機器「DIDIM」の共同研究、NHK for School 番組監修など、教育とテクノロジーの両分野において実践的な研究を展開。JICA の技術協力としてカンボジアにおける「生成AI・ICT活用による教育DXや授業力向上にかかわる技術協力」プロジェクトのリーダーも務める。Interop Tokyo2025や、衆議院第一議員会館を会場とした教育AIサミットなどにも登壇するほか、児童生徒・教員・保護者などに向けたAI時代の教育のあり方やAIリテラシーについての研修・講演に力を注ぐ。近年の講演実績は年間150回以上、受講者は年間のべ1万以上。著書に『「考える力」と「好奇心」をぐんぐん伸ばす AI×学び入門』(日経BP)、共著に『ChatGPTと共に育む学びと心』(東洋館出版社)などがある。