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「未来の当たり前を自らの手で創る」若き研究員が挑んだ、オーストラリアM&A

2026年1月、ライオン株式会社はオーストラリアのナチュラルビューティケアブランド「Sukin」を展開するPNB Consolidated Pty Ltd社(以下、PNB社)の全株式を取得し、100%子会社化しました。「Sukin」はオーストラリアで認知度が高く、オーガニック成分とその機能にこだわった組成、そして手に取りやすい価格、オーストラリアを背景とした独自の世界観が魅力のブランドです。オーストラリア以外にシンガポール、アメリカ、ヨーロッパなどでも販売され多くの国で愛されている製品ブランドです。


この大規模な新規国参入プロジェクトの最前線に立ち、M&A戦略を現地で牽引したのは、当時入社6年の研究出身の志摩さんでした。未知の国、未知の業務。前例のない挑戦の裏側にあったひとりの若手社員の熱意と、その挑戦を後押ししたライオンの「人を育む」企業文化に迫ります。

公募を見た瞬間に走った「稲妻」

事の始まりは2023年9月。ライオン社内で「海外での新規ビジネス拡大」を担う現地駐在員を募る社内公募が発表されました。当時、国内外の新製品開発を行う研究員だった志摩さんは、募集を見た瞬間に「これだ」と稲妻が走ったと振り返ります。

志摩さんには、入社前から抱き続けているひとつの夢がありました。それは「未来の暮らしの常識(当たり前)を作る」こと。しかし、長年研究開発に携わる中で、ひとつの壁にぶつかっていました。


「研究職の仕事では、国内・海外の新製品の開発を担当し、誰かの役に立っている実感はありました。しかしいくら機能が高い製品を開発してもお客様に受け入れられなければ使ってもらえない。当たり前になるためには使い続けられなければいけないことに気づき、自分には何ができるだろうと当時はとても悩んでいました」


研究と事業の知見を組み合わせられる人材になるためには、技術や製品開発だけではなく、ゼロからビジネスを作り上げる経験が必要だと痛感していた志摩さんにとって、新規国への参入プロジェクトはまさに待ち望んでいたチャンスでした。

挑戦を支えた家族の言葉と、上司の伴走

しかし、挑戦へのハードルは決して低くありませんでした。当時は1歳の息子がおり、妻も働いている状況でした。未知の国への赴任は、家族に大きな負担をかけることになります。「自分はやりたいが、家族はどうしよう」。そう悩む志摩さんの背中を力強く押したのは、妻の言葉でした。「自分がやりたいんだったらいいよ、行こうよ。応援するよ」。その一言で、志摩さんの決意は固まりました。

そして、ライオンの社内にも若手の挑戦を歓迎し、全力で伴走するカルチャーがありました。公募の知らせを聞いた上司たちは、「応募したい人がいたらいつでも相談して」と声をかけ、志摩さんが思い描く「夢」のブラッシュアップにとことん付き合ってくれたのです。


「対話を重ねる中で、ぼんやりとしていた思いは明確なビジョンへとシャープになっていきました。公募の面接では、自分のやりたいことや夢を語る機会が多々あり、終始ワクワクし楽しかったのをよく覚えています。」


ライオンの年齢や年次に関係なく、熱意ある若手を上司や全社でバックアップする仕組みや環境が、志摩さんをオーストラリアへと送り出しました。

白衣からスーツへ。泥臭い現地調査からの学び

志摩さんに会社から与えられたミッションは大きく以下の3つです。

・「参入可否の判断」

・「参入戦略の立案」

・「その実行」 


オーストラリアへ降り立った志摩さんを待っていたのは、泥臭い現地調査と分析の毎日でした。


「オーストラリアは多民族国家のため、日本の習慣は全く通用しません。私自身、研究出身のため、営業やマーケティングの経験がなく、どのように市場調査を進めればよいかが分かりませんでした。営業部門の同期や、製品開発で一緒に仕事をしたマーケティング部門の人など、社内の沢山の方々にサポートいただきながら顧客の視点を学び、購買行動を観察することができました。」

辛かった現地調査帰り。

一緒に赴任した森田さんとオペラハウスをバックに記念撮影


1日に多い時は8件もの店舗を回ることで200社を超える現地ブランドを徹底的にリストアップし、それぞれの市場ポジションを分析しました。現地ブランドは情報が少なく、自分達の足で稼ぐしかありませんでした。この限られた情報から仮説を立てる行動力が、後にPNB社という最良のパートナーとの提携へと繋がる大きな武器となったのです。

研究員としての枠を超え、事業全体を俯瞰する視点へ

このプロジェクトを通じて、志摩さんはビジネスの視点が大きく変わったと言います。


「これまでであれば、『その企業が持つ技術がすごいかどうか』という研究者としての視点だけで評価していたと思います。しかし、M&Aという会社の未来を左右する決断において『その技術がいかにしてライオンのビジネスに活用でき、アジア展開などのシナジーを生み出せるか』という、事業全体を俯瞰する視点に変わりました。」


  財務や経営、人事、税務など、これまで触れたことのない領域の知識も現地で出会った日系や現地企業の方々の優しさに支えていただきながら、プロジェクトを推進。現地ブランドの断片的な事実から全体像を推測し、社内の専門家を巻き込みながら経営陣へ提案する力を身につけていきました。研究とビジネス、その両輪を回すことの難しさと重要性を、身をもって学んだのです。

オーストラリアではランチミーティングが一般的。

現地スタッフとランチミーティングの様子

「世界のどこでもライオン製品が買えるのが当たり前」な世界へ

「グローバルで活躍するには、何かしらの専門性を身に付けておく大切さを身をもって感じました。研究員として自分にはまだまだ学ばなくてはいけないことが、今回のプロジェクトを通して分かったので、研究に戻る決断をしました。一から学び、またPNB社と関わり事業拡大に貢献することが今後の目標です」

PNB社 社長のJohnさんとディレクターのAaronさんと一緒に写る志摩さん

 

周囲の温かい支援と、本人の並々ならぬ情熱によって、志摩さんの抱いた夢はオーストラリアの地でPNB社100%子会社化という形で2026年1月にスタートしました。

現在、志摩さんは日本の研究所に戻り、オーストラリアでの経験を胸に、これまでライオンで蓄積された技術をビジネスへと導き、未来の新たな製品を創り出す研究に取り組んでいます。ライオンはこれからも、若手社員のあくなき挑戦を原動力に、現状に満足することなく、世界に向けて「よりよい習慣づくり」ができる製品を創り続けていきます。


志摩さんの挑戦はまだまだ続きます。


<関連URL>

・ニュースリリース(2026年1月20日公開)

PNB Consolidated Pty Ltd社の株式取得(100%子会社化)に関するお知らせ

ライオン公式note







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