HCも解説も認めた好ゲーム。気持ちのぶつかり合いが大声援を生んだ三河ダービー

4月25日、26日にウィングアリーナ刈谷で「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズン」のB1リーグ戦 第35節が行われ、シーホース三河は三遠ネオフェニックスをホームに迎えた。

GAME1は87-67で三河が快勝。途中出場の久保田義章と石井講祐がチームを勢いづかせ、後半に一気に突き放して6連勝を記録。この時点で、三河は名古屋ダイヤモンドドルフィンズと勝率で並び、GAME2の結果次第では西地区2位の可能性が浮上した。しかし、相手は昨シーズンの地区王者・三遠。GAME1のような展開が続くほど、勝負の世界は甘くはなかった。

GAME2は序盤から激しい攻防が繰り広げられた。ボールマンに激しい圧力をかける三遠の変則的なゾーンディフェンスに三河は翻弄され、なかなかリズムを掴めない。前半は38-38、一歩も譲らぬ同点で折り返した。

試合が動いたのは3Q残り7分。三遠の大黒柱、ヤンテ・メイテンにアクシデントが発生し、ベンチに退くことに。この日はキャメロン・ジャクソンがロスター外で、これで三遠の外国籍選手はデイビッド・ヌワバのみ。高さで優位に立った三河が一気に主導権を握るかと思われたが、逆境で真価を発揮したのは三遠だった。

三遠・大野篤史HCはサイズのある鈴木悠介を投入し、ダバンテ・ガードナーをマークするように指示。「デイビッドにフィジカル的な負担をかけすぎないように。そして悠介のところで(ガードナーを)ファウルで止める」(大野HC)が狙いだったが、ここでヌワバは「自分が守る」と直訴し、ガードナーとマッチアップを続行。この勝ちへの執念が三遠に火をつける。敵地に集結した三遠ブースターの声援は一段と熱を帯び、ダービーの熱気は最高潮に。逆に三河はプレッシャーからかミスを連発。勝機かと思われた時間帯に逆にリードを許し、52-55で3Qを終えた。

ヌワバについて大野HCはこう評した。
「闘争心というか勝利への欲というか、本当に素晴らしいお手本が近くにいるなと。僕らは若い選手が多いので、彼の姿勢や、勝利に対してどういうものを見せなきゃいけないか、本当にいい勉強になったと思う。近くにいる間にいろんなことを吸収していってほしいと思います」

ヌワバの闘争心で流れを引き寄せた三遠。しかし、ホームの三河も譲らない。4Qに入ると、両者の意地がぶつかり合い、会場のボルテージは高まっていく。メイテンも戦列に復帰し、試合は一進一退の攻防へ。名古屋Dの試合結果を知っていたブースターも多かったのだろう。勝てば西地区2位浮上が見え、三河ブースターのボリュームもさらに上がる。「青援」に後押しされて三河が盛り返し、クロスゲームで一歩前へ。最後は三遠の追撃を振り切り、76-73で競り勝った。

「コントロールできないことに付き合わない。自分のことにフォーカスする」西田優大

試合後、両指揮官は激闘をこう振り返った。
「今日は学ぶ点が多く、自分たちにとって本当に価値のある一戦となりました。ご覧の通りすごくタフな展開でしたが、その中で勝ち切れたっていうところ。選手、スタッフを含めて、全員で勝ち取ったと思っていますし、我々はそれを誇りに思います」(ライアン・リッチマンHC)
「勝敗に関してはヘッドコーチの責任だと思っています。選手たちは、できる限りのことをやってくれたと思いますし、お互いを助け合って励まし合って、アクシデントがあった中でも40分間チームのために戦ってくれたことがすごく素晴らしかったと思います。こういうチームであり続けたいなと思いました」(大野HC)

今シーズン屈指の好ゲームだったのは疑いようもなく、解説を務めた柏木真介氏も「すごい試合でしたね。お互い最後までやり切った感がありますし、見ていて楽しいゲームでした。すごかった」と絶賛していたほど。

勝敗のキーポイントは、流れへの対応だ。今日のような苦しい時間帯にこそ、メンタルの強さが問われる。3Qの劣勢時、ベンチから戦況を見つめていた西田優大は冷静だった。
「(判定など)僕たちがコントロールできないところで戦ってしまった時間帯もありましたけど、ベンチから見ていて僕はそこまで気にしてなかったです。出たタイミングで仕事をこなせばいいや、ぐらいに思っていたんで。終盤にかけて、自らそういった流れを断ち切れたのはすごく良かったなと思います。でも、もっと早くそれはできたかなと思いますが」

こうした西田優大のメンタルの強さは、入団1年目から際立っていた。シュートを外しても下を向かず、次のチャンスで何事もなかったかのように打ち切る。これは簡単なようで難しい。その平然とした態度を尋ねると、彼は笑みを浮かべて話す。

「もともとの性格もありますが、去年あたりからコンディショニングをしっかりやっていて、そのコーチに食事だけでなく、習慣やメンタルのあり方についてもコーチングしてもらっています。しょうがないじゃないですか、シュートなんて。(ベストと思って打った後は)シュートの結果は僕がコントロールできることじゃないし、審判の笛だってコントロールできることじゃない。そんなのに付き合っても仕方がないんで。そういうときに湧き出てくる感情は、本来の自分ではないと。そういう認識を持っておけば、こういう感情が出てきても『あ、これ今俺が思ってるけど、多分俺じゃないな』みたいな。そう思うことで、自分のやるべきことにフォーカスできる状態になってきていると感じます」

この強靭なメンタリティが今の三河を支えている。それは西田に限ったことではない。トーマス・ケネディもまた、同様の静かな闘志を感じさせる一人だ。GAME2でも打つべき場面でしっかりとシュートを打ち、20得点を記録。平然と役割をこなす姿は職人のように映る。

こうした選手たちがコートに立つ三河は、接戦でプレッシャーがかかる終盤に無類の強さを発揮する。今シーズンは幾多の接戦をものにしてきた。4Qの強さについてリッチマンHCは「秘密はありません」と笑いつつ、こう語った。「接戦をこれまでたくさんして、それをものにしてきた経験だと思います。今日の試合でも、流れが良くない3Qにタイムアウトを取らなかった。意図して取らなかったのは、選手たちに解決策を見つけてほしかったから。長い間、選手たちと時間を共にしてやってきているので、そこに対する信頼と期待があります」

強靭なメンタル、積み重ねた経験、そして信頼。これらが終盤の勝負強さの正体だ。レギュラーシーズンは残り2試合。連勝すれば、自力でのCSホーム開催が確定する。

悲願の舞台を目前に控え、西田は感慨深げに語る。「(CSホーム開催を)言葉に出し続けてみるもんだなと。正直、最初のほうは可能性すら見えない状況で。それからコツコツと自分たちのことをやり続け、こうやって積み上げてきたものが結果に現れたことが嬉しい。こういう状況だからこそ、楽しみながら戦いたいと思います」

東海テレビ
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