家で飼っているペットとどこへ避難するか――災害時の大きな課題の一つだ。
ペットを置き去りにしないためには、どうすればいいのだろうか。
今回の地震では…
4月20日、津波警報が発表された北海道・浦河町。

避難所が6か所設けられ、計939人が一時避難。
一方でペットがいるために避難所に行かなかった人が。
自宅でカフェを経営している太田照子さんは12年前から飼っているトイプードルのホップちゃんを連れて、避難所ではない場所に逃げていた。
「みんな車の中で過ごすと思う、ペットがいる人は。親戚の家が(海から)遠いのでそこに行きました」(太田照子さん)

浦河町では4月20日は「緊急避難」と位置づけているが、この緊急避難についてはペットを同行するルールがなかった。
「避難所によって大きさも違うしスペースが狭い所もあれば広い所もある。動物アレルギーがある人もいる。今後、避難所の在り方含めて考えていかなければならない」(浦河町役場 久保朋也危機管理監)

ペットは大切な家族の一員だ。

札幌市では…
札幌市では現在イヌが8万2000匹余り登録されている。
令和に入ってからは毎年7000匹ほどが新たに飼い主に迎え入れられていた。
しかし、ペットを避難所に連れていくことは今も大きな課題となっている。
「(ペットを)連れて行ける場所があるのかなっていうのは不安ですね」(ペットを飼っている人)

「飼い主にとっては家族の一員なのでしょうが、夜に鳴いたり、ほえたりすると気分が落ち着かない。(被災時は)心に余裕がないので、自分のことで精一杯になってしまうから」(ペットを飼っていない人)
2011年の東日本大震災では飼い主と一緒に避難できず、避難指示区域にいた約1万6500匹が置き去りになった。

またペットと避難した場合ではペットの鳴き声や臭いが避難所で問題に。
札幌市には主な避難所が307か所あり、ペットを連れて行くことはできるが一緒にはいられない。
ペットには別の専用スペースが用意される。
札幌市は各区役所などにケージを約300個備蓄していて、ペットフードはペット関連団体が必要な分を支援することになっている。

2016年の「熊本地震」では
観測史上初めて2度の「震度7」に見舞われた2016年4月の熊本地震。
10年前のあの日、ペットとともに被災した人は…。
「この子のお母さん、余震が多くて私にベッタリくっついて離れなかった。(公民館に)『ペットとの避難はダメか?』と聞いたら『お断りします』と言われた」

「4月いっぱいはこの子と一緒に車中泊で避難していた。なかなかペット連れでは避難できるような場所もなかった」(いずれも熊本地震で被災した人)
大きな災害が起きればペットも日常が奪われ、不安な思いで過ごすことになる。
「迷子犬や警察に届けられるワンちゃんを『ウロウロしているので早く捕まえて』という電話をもらうこともある。土・日返上で迷子犬に対応している」(2016年当時の熊本市 動物愛護センターの職員)
環境省によると熊本地震の発生後、熊本県や熊本市はイヌとネコを計2499匹保護した。
多くのペットが置き去りにされたことで、受け入れに余裕がなくなった施設もあったということだ。

「熊本県内全域が災害救助法の適用地域に指定されていたからとにかく(被災地に)いるイヌやネコを『被災動物』として保護することが当時の方針だった」(熊本県獣医師会 江川佳理子さん)

何から準備すべきか?
飼い主の元に返せたペットは411匹。
全体の6分の1程度だった。
飼い主が見つからなかったペットは譲渡されるなどして生活環境が激変。
飼い主の情報につながる「迷子札」などを付けていたのはわずか15%ほどだった。
「なかなか飼い主が見つからなかったのは(飼い主が)やむを得ず地域を離れないといけなかったり、放浪に近い動物だったり」(江川さん)
被災したとき、ペットにとって大事なのは「餌と愛情と安全な生活環境」だという。
私たちはどんな備えをしておくといいのだろうか。
まずは「餌」だ。
「動物の体重1キロ当たり1日100mを目安に最低7日分あればいいが、まずは3~4日分から備えるとよい」(熊本県動物愛護センター 成富英規さん)

腐りにくいドライフードの他、水や常備薬をそろえておくといいという。
次に優先するのが飼い主とペットの情報が分かるもの。
特に有効なのはマイクロチップ。

「注射器で入れます。針を刺して押し込むことでマイクロチップを入れられる」(成富さん)

マイクロチップには15桁の数字が記録されていて、データベースで飼い主の情報と照らし合わせることができる。
ペットの体に入れることに抵抗を感じるかもしれないが、マイクロチップは直径1.4ミリ、長さ8ミリほどの大きさで、動物に大きな負担はない。
約4年前からペットショップなどでは販売されるイヌやネコにマイクロチップを付けることが義務付けられた。
札幌では5000円で装着できる動物病院もある。
大切な家族の一員が地震や津波などで置き去りにされないよう、事前にできることを考えておくことが重要だ。

災害時にペットを守るもの
災害時、大切な家族の一員であるペットを守るために、何を準備する必要があるのか、ペットの防災対策についてまとめた。
最も重要なのは、ペット用の食料と水。
できれば1週間分だが、まずは3~4日分から備蓄する気持ちで始めるてみてもいいかもしれない。
そして、普段から服用している常備薬やペットシーツなどのトイレ用品。
日頃から遊んでいるおもちゃや使い慣れているブラシなどを用意しておくのが良い。
さらにタグやマイクロチップ。
約4年前からペットショップで販売されているイヌやネコには装着が義務付けられているが、これを読み取ることで飼い主を特定でき、迷子になっても手元に戻ってくる可能性が高まる。
動物の逃げ出し防止のために、洗濯ネットなどを準備しておくのもいいかもしれない。
札幌市では、犬と猫の防災手帳を市のホームページに掲載しているそうなので、参考にしてみてほしい。
