全国トップレベルの演奏力で存在感を放つ秋田市の明桜高校吹奏楽部。輝かしい結果の裏には、部員数の多さを力に変える組織づくりと、音楽と人に真剣に向き合う姿勢があった。その強さの源に迫る。
全国常連校へと押し上げた「結果が示す実力」
明桜高校吹奏楽部は近年、全国の舞台で確かな足跡を残してきた。

吹奏楽の甲子園とも称される全日本吹奏楽コンクールには、東北代表として3年連続出場。さらに2026年3月に開かれた全日本アンサンブルコンテストでは、秋田県勢として8年ぶりとなる金賞を受賞した。

こうした実績が注目を集め、部員数は年々増加。新1年生を迎えた現在、部員は120人を超える大所帯となっている。
全国でも類を見ない規模だが、その“多さ”こそが、明桜高校吹奏楽部の強さを生む一つの要素になっている。
大人数を強みに変える仕組みと役割
吹奏楽部にとって、人数が多いことは必ずしも有利とは限らない。音程やリズム、表現の方向性がわずかにずれるだけで、全体の完成度は大きく下がってしまうからだ。
明桜高校吹奏楽部では、その課題を乗り越えるため、上級生と下級生が2人1組になるペア制度を取り入れている。練習の中で互いに助言し合い、技術だけでなく考え方や意識も共有することで、学年の壁を越えた一体感を育んでいる。
さらに、音楽的な統率役を担うのがコンサートマスターの存在だ。
指揮者の意図を各パートに伝え、全体の方向性を整える要となる役割で、120人という大編成を一つの音にまとめ上げる欠かせない存在となっている。
音楽以前に大切にするもの
吹奏楽部が大切にしている言葉がある。
「人と音に思いやり」。
演奏技術だけを追い求めるのではなく、仲間にどう向き合うか、相手の音をどう受け止めるかを重視する姿勢だ。
意見がぶつかったときも、一方的に押し通すのではなく、「より良い音」のために話し合い、譲り合う。その積み重ねが、ステージ上の表現力につながっている。
顧問の石崎聖也先生は、部の強みについて「はっきり言って明るさ」と語る。その明るさと前向きさが、本番のステージでも力強さとして表れ、聴く人の心を動かしてきた。
プロと向き合い強さを確信した特別演奏会
その強さを改めて証明する場となったのが、3月27日に行われた特別演奏会だ。
秋田県出身で国内外で活躍するプロ指揮者・佐々木新平さんを迎え、部として初めての本格的な共演が実現した。
プロの音楽家が求めるレベルは高く、練習では細部にまで及ぶ要求が続いた。それでも部員たちは、自分たちの強みであるチームワークを発揮し、短期間で音楽を磨き上げていった。
本番では、これまで数多くの大会で演奏してきた思い入れの深い楽曲『レトロ』を披露。一人一人の奏でる音が一体となり、会場を包み込む演奏に大きな拍手が送られた。
強さの先にあるもの
部長の佐藤里胡さんは、「私たちは個性豊かな集団だが、それぞれが自分の長所で輝ける部活でありたい」と語る。
勝つためだけでなく、音楽を通して感謝や感動を届けること。それが明桜高校吹奏楽部の目指す強さだ。
この夏、部は秋田で開催される第50回全国高校総合文化祭(あきた総文2026)に、吹奏楽部門とパレード部門の両方で出場する予定だ。
音と向き合い、人と向き合い、仲間と共に高みを目指す。明桜高校吹奏楽部の挑戦は、これからも続いていく。
(秋田テレビ)
