”ルール違反”な”勝利宣言”か

アメリカ大統領選挙の開票作業が進み、大接戦となっている中、トランプ大統領は日本時間の11月4日午後4時過ぎにホワイトハウスで、支持者らを前に演説。事実上の勝利宣言ととれるような発言をした。

デーブ・スペクター氏:
まるで勝利宣言みたいなもの。この段階でここまで自信たっぷり言うのは、さすがトランプ大統領という気もしますけれども、ちょっと若干ルール違反ですよね。

木村太郎氏:
ルール違反はルール違反なんだけど、でもジョージア・ノースカロライナ・ペンシルベニア・ミシガンは勝った。しかも数字を言っている。数字が出ているのを止めてる方がおかしいと言っている、これはもう完全に勝利宣言と同じだと思う。

トランプ大統領は演説の中で、懸念されていた郵便投票について、最高裁に訴えて集計をやめるという考えや、郵便投票はこの国に対する大きな詐欺だというような発言もした。

木村太郎氏:
今もう最終段階に入っていて、優位差をつけて自分は残りの州で勝っている。選挙後に、いろんな訴訟を起こされて、裁判が長引くようなことになると困る。だから最高裁に訴えて、今日午前4時の段階で開票を全部凍結しようと言ってると僕は思った

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住田裕子氏:
「不正な投票が行われている可能性がある」「今後の郵便投票で、もしバイデン側に票が上積みされるのであればそれはおかしい。だからこそ、今の間に開票を止めてしまった方がいいのではないか」という意図だと私は思った

デーブ・スペクター氏:
不正ではなく、つまりは自分にとって不利な票なんですよ。だから選挙日以降の開票は認めたくないんですよ。
それはトランプの作戦としては、特に彼を支持している人たちには効果があると思うのですけど。ただ、世間はそれでは納得しないと思うんですよ

加藤綾子キャスター:
その言葉通り受け取ると、トランプ大統領は自身がリードしているという気持ちで発言はしてましたけど、まだどこか未確定要素があると思っているということかと

デーブ・スペクター氏:
まだ確定、確実ではないんですよね

デーブ・スペクター氏
デーブ・スペクター氏

「4時に開票凍結を」の真意は

住田裕子氏:
そうすると、トランプ氏は今の集票作業に対していわゆる圧力をかけていることになるから、そういう形で混乱要因を1つ彼は与えてしまった。本当は、政権の安定的な移行のためにはそこも見守るのが大人の態度だと思ったんですが。

木村太郎氏:
逆じゃないですか。「混乱要素を止めるために最高裁に訴える」というのは、建前じゃなくて本音だと思う。
なぜかというと、今の開票結果で文句言うのは、どちらかというとバイデンですよ。これからひっくり返すためにいろんなことをやるだろうから、それをやらせないために差し止めを、と。

デーブ・スペクター氏:
自信があるんだったら、結果を待ってからでいいのでは?

木村太郎氏:
待っていたら、この話は本当に来年になっちゃう。ずるずると、いろんな訴訟が周辺で起きてくる。それを止めさせるために、とにかく今日でここで終えちゃおうと

デーブ・スペクター氏:
トランプ氏はそんないい人じゃないですよ。訴訟を起こすのはトランプ側なんですよ

トランプ大統領発言のまとめ

榎並大二郎キャスター:
今のトランプ大統領の演説の内容をまとめました。
まず冒頭、支持者への感謝の念を述べました。そして「大きなお祝いの準備をしている」「大きな成功である」「記録的な投票をしてくれた。予想もしなかった」「私に言わせれば、これは既に勝利」と、"勝利目前宣言”のようなことをしたわけです。
ただ発言の中で「ジョージア州も取った、ノースカロライナ州も取った、ペンシルベニア州でも優位に立っている」と話してはいましたけれども、まだ郵便投票などもありますので、確定している情報ではなく、あくまでトランプ大統領の主張です

ホワイトハウスの情報では「大差で勝った」?

木村太郎氏:
マスコミはまだ当確を出していないというだけで、ホワイトハウスはおそらく詳細な票を持っているはずです。それでこれは勝ったなという自信になるから、こう言っているんですよ

デーブ・スペクター氏:
正式にはテレビとかよりは、AP通信が結果を言ってからどっちが勝ったということになるわけですけど、そこまで全然いってないわけですよね。この段階でこれだけの話はちょっと異例。トランプ大統領にしても異例だと思うんですよね。

木村太郎氏:
だいたい開票中に両方の候補者が出てきて、記者会見や声明を発表するなんて今まで無かったことなので、そのぐらいこの選挙は荒れているということでしょう

佐々木恭子キャスター:
先ほどの演説の中でトランプ大統領自身も、「いったい選挙はどうなってるんだ」と、何か高揚したような発言をしていましたけれども、この最終局面において何が起きてるんでしょうか?

木村太郎氏:
予定通り、いろんな問題が出てきたということ。だけど、実は思ったほど問題は起きていないと僕は思う。
トランプにしてみると、うまく事が運んでいるな、このままうまく収めるためには開票にストップをかけちゃう。それがいいんじゃないかっていう作戦だと思う

佐々木恭子キャスター:
接戦州もかなり手応えを感じているようで

住田裕子氏:
トランプ大統領はペーパー見ずにいろんな数字が出てきましたので、もうここは自分は確信していると思われました。逆に言うと、ここでこの大差というような実績を世間に公表したいという気持ちになったのかなというふうに見ていました

住田裕子弁護士
住田裕子弁護士

木村太郎氏:
でも現実に大差なんですよ

デーブ・スペクター氏:
でも、法律で郵便投票の結果までと決まってることですから、早まっても仕方がないと思うんですよね。
気分的に勝ちそうとか、そういう元気なスピーチはいいんですけれども、段取りっていうものがあるわけですから。そういうルールを無視すると、のちのちどうかな…

住田裕子氏:
私としては、実はもう少し差は小さくて郵便投票でひっくり返る可能性があったので、その郵便投票を止めるために用意していた段取りなのに、大差になってしまったんで、余計にこれを数字として言っているのかなというふうに想定したんです

(「イット!」11月4日放送)