灯油価格1.5倍に高騰 鳥取県が異例の早期クールビズで省エネ強化

エネルギー供給の不安が広がる中、鳥取県庁が例年より2週間前倒しで「クールビズ」をスタートさせた。
県が取り組みを始めた2008年以降では最も早い始動だ。
県営プールでは灯油価格が約1.5倍に高騰し、確保にも頭を悩ませているという。

「悪いシナリオも頭に描きながら先回りをして対策をとっていく」という平井知事の言葉に、事態の切迫感がにじむ。

「半袖のほうが快適」 職員たちから歓迎の声

4月15日朝の鳥取市は厚い雲が広がり、ジャケット姿で職場に向かう人の姿も目立つ肌寒さだった。
そんな中、鳥取県庁の職員たちはすでに半袖姿で業務に就いていた。

鳥取県では例年5月にクールビズを開始しているが、2026年は2週間前倒しの4月15日からのスタートとなった。
2008年の取り組み開始以来、最も早い実施だ。

職員からは「半袖のほうが快適に過ごせる」「徒歩通勤で県庁に着くと暑いくらいなので、私にとってはすごくよかった」と歓迎の声が上がった。

一方で、「全国に先駆けてということで、トップバッターを背負ってやっている。象徴的な取り組みにもなるかなと思うので、ほかの自治体も続いてほしい」と、この取り組みの持つ意味をより広く捉える職員もいた。

鳥取県庁職員
鳥取県庁職員
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先行き不透明な中東情勢に警戒 単なる節電ではなく県民への“手本”に

この異例の前倒しを促したのは、先行き不透明な中東情勢だ。
原油価格の高騰と供給の不安定化が、企業だけでなく県の施設にも直接的な影響を与え始めている。

14日の記者会見で、平井知事は「それぞれの施設ごとに燃油がなくなったら、止まってしまうということになりかねない」と語った。

クールビズの前倒しは、単なる節電の話ではなく、県が率先して省エネの手本を示す取り組みとして位置づけられている。

鳥取県・平井知事
鳥取県・平井知事

利用者サービス守るために…灯油確保に奔走する県営プール

エネルギー問題の深刻さを具体的に示すのが、鳥取市内にある県営の屋内プールの現状だ。
この施設では、温水プールの水温を30℃に保つためボイラーで加熱しており、夏場を除くと1日400から500リットルの灯油を消費する。
真冬には1日1000リットルに達する日もあるという。

鳥取県スポーツ協会の吉岡千春次長は「まさかこんな大変な状況になるとは思っていませんでした」と打ち明ける。

タンクの容量は2万リットル。
通常であれば残量が5000リットル程度になったタイミングで給油するが、今は「灯油が確保できない状況があるといけないので、だいたい1万から1万2000リットルを目安に給油している」という。
常に多めの在庫を確保しておかなければ、施設の運営が立ち行かなくなるリスクがあるためだ。

価格面でも厳しい状況が続く。
5月分の灯油は確保できているものの、価格は2025年末と比べて約1.5倍に高騰。
さらに、5000リットルから1万リットルといったまとまった量を一度に購入できる業者も少なくなってきているという。

吉岡次長は「休館や時間短縮がないように、常に開館できるよう少しでも灯油を確保しながら営業していきたい」と話した。
利用者へのサービスを守るため、スタッフたちの苦心が続く。

鳥取県営屋内プール
鳥取県営屋内プール

県が物資供給確保へプロジェクトチーム発足 エネルギー不安に先回り対応

こうした状況を受け、鳥取県は14日、県内企業や施設への物資供給確保に向けたプロジェクトチームを発足させた。
原油価格の高騰や供給不安定の影響を受ける企業・施設を対象に、支援策を講じていく構えだ。

平井知事は「早期に収拾できることが一番いい解決策だと思うが、ある程度、悪いシナリオも頭に描きながら先回りをして対策をとっていく必要がある」と述べ、楽観視しない姿勢を示した。

クールビズの前倒しという一見シンプルな取り組みの裏には、エネルギー危機への備えという切実な事情がある。
この夏、鳥取県の省エネへの取り組みが、他の自治体や市民にとっても一つの指針となるかもしれない。

県庁で事務作業を行う鳥取県職員
県庁で事務作業を行う鳥取県職員
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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