緊迫の度合いを高める中東情勢が、身近な『住まい』にも影響を及ぼしている。福岡の工務店では、90を超える建築資材で値上げなどが相次ぎ、頭を悩ませている。

「風呂関係が受注停止になりました」

長期化する中東情勢の悪化は、日常生活の身近なところで影響を広げている。

福岡・北九州市に本社を置くTOTOは「原材料の調達が極めて不安定になっている」として、4月13日からユニットバスの新規受注を停止。パナソニックハウジングソリューションズも、バスルームやトイレなどの納期を当面の間、未定としている。

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福岡・大野城市の工務店『アーキテックス』が手がける住宅建設の現場を訪ねた。

「風呂関係の受注が停止になったのを皮切りに、あらゆる資材についてメーカーに尋ねると『枯渇しています』という返事が続く状況」と浮かない表情で話す現場監督。

4月に入り、建築資材を扱うメーカーの出荷停止や値上げなどが相次ぎ、4月15日時点で91もの資材に影響が出ているという。

更に現場監督は「この建築現場は、時期が早かったので、風呂が納入されていますが、風呂の受注が止まっているのは、表面のパネル材の仕上げ塗料が、入手困難になっているのが一因」と話す。

大手メーカーの間でユニットバスの新規受注の停止や納期未定が相次いでいるのは、壁や天井を貼り付ける際に使用する接着剤にナフサなどを原料とした有機溶剤が使用されているためだ。

今後の客への対応に頭を悩ませる工務店

また、現場監督によると住宅の基礎や床下などに使用する断熱材が、全くない状態だという。新規の受注が停止しているうえ、すでにオーダーした断熱材を予定通り確保するためメーカー側との調整が必要になっている。

床や屋根に使用される、家を建てる上で不可欠な資材にも影響は及んでいる。溶剤系の接着を使っているが、入ってこないのだ。溶接機の接着剤がないと「正直建てるのが厳しい」と現場監督はため息をついた。

相次ぐ建築資材の値上げや出荷停止。アーキテックスの栗山浩社長は「顧客の総予算があって住宅建築をやっていますので、価格上昇分を後から『下さい』というのは我々も非常に忍びない」

「ただ余りにも高額になってくると若干、顧客にお願いしないといけない部分も出てくるかなと。長期化されるとかなり厳しい」と話し、工務店は今後の客への対応に頭を悩ませている。

住宅の価格はどうなっていくのか?

先が見通せない建築資材の安定供給。住宅業界にどれだけ影響が出るのか、もはや見えなくなってきているが、今後の住宅価格はどうなるのか。

福岡都市圏を中心に戸建て住宅を扱う会社によると、イラン情勢を受けて建築資材はほぼ全て値上がりしていて、戸建て1棟の最終的な販売価格にこれまでより少なくとも10%余り上乗せすることになるという。

具体的には、土地を除いた建物価格がこれまで4000万円だった物を最低4500万円で客に提示するというのだ。戸建て住宅で一気に10%上がるというのは、業界ではあり得ないことで、メーカーにとっても危機的状況といえる。というのも、実際の建設コストは10%アップどころではなく、メーカー側がかなりコストを吸収して利益を削ることになるからだ。

これは一時的なことではなく、建築資材の価格は一度上がると下がることはない、というのが業界の原則で、情勢が長引けばさらに販売価格が上がり、それが今後の基本価格になるかもしれないというのだ。

(テレビ西日本)

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