入行式に広がった意外な光景…名刺交換ならぬ“トレカ交換”
島根・松江市に本店を置く山陰合同銀行が、2026年度の入行式でユニークな取り組みを実施した。
新入行員それぞれの似顔絵とキャッチフレーズが描かれたトレーディングカード、“トレカ”が配られ、式の場で「トレカ交換」が始まるという、これまでの銀行のイメージを覆すような光景が広がった。
形式よりも想いを 不安抱えた新入行員を迎える現場のひと工夫
4月1日、令和8年度の幕開けとともに開かれた入行式。
入行者の名前が次々と読み上げられる中、スクリーンに映し出されたのは、新入行員一人一人の似顔絵とキャッチフレーズだった。
「今年は少し雰囲気を変えるみたいで、というお話は聞いていたんですけど」と話す新入行員もいたが、いざ自分のカードがスクリーンに映ると「ちょっと恥ずかしいです」と照れ笑いを浮かべた。
このトレカは、半年前の内定式で実施された自己分析やグループワークをもとに、人事部採用チームが企画・作成したもの。
内定から入社までの間に内定者が抱えがちな漠然とした不安を和らげることを目的とした、初めての取り組みだという。

1枚のカードで自己表現 堅いイメージを一新…新入行員の距離縮まる
さっそく新入行員たちの間でトレカ交換が始まった。
「一人一人の個性が出ていて、とてもおもしろかった」と振り返る新入行員がいれば、「ユーモアがあって気持ちが解けてきたので、みんなと仲良くなれそうでいい」と笑顔を見せる新入行員も。
堅いイメージになりがちな入行式の空気が、和やかな雰囲気へと変わっていった様子が伝わってくる。
「名刺交換」を「トレカ交換」に置き換えるという発想は、新入行員たちにとって自然と互いの個性を知るきっかけになったようだ。

頭取が語る「2つのメッセージ」 思い出と変革への意志
山陰合同銀行・吉川浩頭取は「皆さんにとって、たった一度の入行式を思い出に残るものにしたい。そしてもう1つ、これからは銀行も変わる必要がある、このメッセージを皆さんにお伝えしたかった」とこの企画の背景にある思いを明かした。
入行式をただの通過儀礼にせず、新入行員が「自分たちの銀行は変わろうとしている」と感じられる場にしたい。
そうした意図が、今回のトレカ企画には込められている。
地方銀行を取り巻く環境が変化し続ける中、松江市を拠点とする山陰合同銀行が地域の金融機関としてどのように進化していくのか。
その姿勢を、入行初日から新入行員と共有しようとする姿勢は、組織の本気度を感じさせる。

個性を胸にスタートラインへ 新入行員が踏み出す新たな一歩
2026年度の春、山陰合同銀行に入行したのは91人。
式典後は約2週間の研修を経て、それぞれの配属先に着任する予定だ。
トレカに刻まれた自分だけのキャッチフレーズと似顔絵を胸に、新入行員たちはそれぞれの現場へと踏み出していく。
「銀行も変わる」…その言葉を体現するのは、まさにこの91人自身かもしれない。

