前副市長の上坂展弘さん(64)が、再選を目指した現職の武隈義一市長を4千票余りの差で破り、初当選を果たした。パワハラ問題で揺れた市政の立て直しを最優先に掲げ、「しっかりした厨房をつくって、いい料理を提供していく」と市役所改革への強い意欲を見せた上坂さん。13日には当選証書も受け取り、4月23日からの新市政に向けて歩み出した。

「4千票差」で現職を破る


4月12日に投票が行われた富山県の黒部市長選挙は、前副市長の上坂展弘さんが1万1千票余りを獲得し、自民党黒部市連が推薦した現職・武隈義一市長との一騎打ちを制した。
上坂さんは副市長の職を辞して立候補。自民党宇奈月町支部の推薦を受け、「市政の圧倒的前進」をスローガンに選挙戦を展開した。デマンド交通の拡大、新幹線駅周辺の活性化、小中学校の給食費の無償化といった具体的な政策を掲げながら、特に力を込めて訴えたのがパワハラ問題に揺れる市政運営の立て直しだった。
「どうか今の状況を変えて頑張ってください。私はたくさんの人に言われました。そんなこと言われて厳しい状況でも頑張らないわけないじゃないですか!」と選挙期間中に上坂さんは強く語りかけた。
市民の期待と切実な声
初当選を受け、まちで聞いた市民からは期待と注文が相次いだ。
「過ごしやすいように。どうすれば過ごしやすくなるかわからないが、してほしい」と率直な声を寄せる市民がいれば、「しっかりと立て直してほしい。いい素材があるのになぜこの町が発展しないのか。もっと考えてほしい」と黒部の可能性を信じながら歯がゆさを口にする市民もいた。
「職員1人1人が市長になったつもりで」
当選後のインタビューで上坂さんが真っ先に挙げたのは、やはり市政運営の立て直しだった。

「職員1人1人が市長になったつもりで仕事ができる、そういった職場環境にしていきたい」と語り、さらにこう続けた。「市民にいいサービスを提供するためには市役所自体がうまくマネージメントされていないとサービスが届かない。しっかりした厨房をつくって、いい料理を提供していくというつもりで頑張りたい」。
職員と対話しやすい環境を整え、様々な課題にワンチームで取り組む——その方針は選挙戦を通じて一貫していた。

13日に当選証書を受け取った上坂さんは「責任の重さをひしひし感じている」と表情を引き締めた。また、武隈市長が設置するとしていたパワハラ疑惑の第三者委員会については引き続き進める考えを示し、「就任してから改めて話を聞いて対応は考えていきたい」と述べた。

敗れた武隈市長「次は上坂さんの市政を見守っていく」

一方、再選を逃した武隈市長は、自身のパワハラ疑惑について第三者委員会への調査委嘱を表明しつつ、1期目の実績を訴えたが票は伸びなかった。「私のやってきたことで成果が上がったことについては良かったと思う。次は上坂さんの市政を見守って行くことだ」と述べ、静かに敗戦を受け入れた。

上坂さんの任期は4月23日から始まる。「いまの時代に対応した黒部になるようしっかり進めていく。ぜひ皆さんいろんなアドバイスや助言をいただき、一緒に新しい黒部をつくっていく」——新市長の言葉通り、市民と手を携えた新たな市政が動き出すか注目される。
(富山テレビ放送)
