『ゴマザバ』に『味噌漬け』。福岡県民には馴染み深いサバは、安くて手軽に食べられる“庶民の味方”なのだが、いま“高級魚”になりつつある。一体、何が起きているのか。

国産ではなく敢えてノルウェー産

ご飯のトモにも、酒のアテにもなる人気のサバ。栄養価も高い。過去には『今年の一皿』(2018年)にも選ばれ、ブームにもなった。しかし、そんなサバにいま、異変が起きているのだ。

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福岡市中央区の渡辺通りに本店を構える『梅山鉄平食堂』。旬の魚料理を中心に約50種類の定食を提供している。

定番は、ジューシーに焼き上げたサバの塩焼き定食。使用しているサバは、国産ではなく、敢えて“ノルウェー産”だ。

オーナーの梅山鉄平さんは「国産サバは、時期によっては脂が薄かったりするが、ノルウェー産は年中、脂がしっかり乗っている。安定的に供給できるのでそちらを使用しています」とノルウェー産に拘る理由を話す。

国内産のサバが不漁時でもノルウェー産は、手頃な価格で味も良く安定してまとまった量を確保できることから、スーパーや飲食店で主流となってきた。

しかし、ここ最近、そのノルウェー産にも異変が起きている。梅山さんによると「1切れあたり200~300円だったのが、600円くらいのときもあるし、この価格の変動をベースとしてその分を値上げすると、かなり大きな値上げになってしまうので、こちらで吸収している感じ。利幅が少なくなっている」のだという。

2026年1月、塩焼き定食の価格は、100円引き上げられたが、仕入れ価格が約2倍に跳ね上がったため、値上げしてもなお厳しい状況が続いている。

梅山さんは「いまは、業者自体が買えない状況なので、こちらが買おうと思っても在庫がない状態。ノルウェーが上がるとみんな国産に逃げるので、国産もどんどん上がっている。最悪な状態」と話す。

“庶民の味”だった魚が“高級魚”に?

福岡・糸島市のスーパー、マルコーバリュー波多江店。国産のサバは1匹538円(税込み)だが、ノルウェー産は1400円を超えていた。5キロあたり約3500円だった仕入れ価格が、2026年1月には7000円に高騰。販売価格も2倍に跳ね上がった。

割合も、かつては7割を占めていたノルウェー産が、現在は2割程度に減っている。

鮮魚担当の橋川聖矢『Marukai』代表は「いままでは、ここまで値上がりすることはなかったですね。初めてです。本当はノルウェー産の方が、脂が乗っていておいしいので、本当はノルウェー産を並べたいところではあります」と実情を話す。

訪れていた買い物客も「高~い。いまはとても手が出ません」(80代女性)や「残念、高いね。食べる回数が減った感じ」(70代女性)と嘆息気味だ。

このサバ高騰の大きな原因。それはノルウェーなど北東大西洋沿岸諸国による漁獲枠の縮小だ。大西洋サバは前年の半分となる約29万トンに制限された。

さらに世界的な需要の高まりで買い付け競争が激化。価格は過去最高水準まで高騰している。ノルウェー産のサバを中心に扱う水産加工会社、飯田商店(千葉・銚子市)によると、日本は海外勢に“買い負け”ている状況で、今後も価格が下がる見通しはなく、更なる値上がりの可能性もあるという。

またノルウェー産のサバが争奪戦となる中で国産も不漁が続いている。政府の調査では、国内産のサバの漁獲高は2015年に53万トンだったが、2024年には25万トンにまで激減。その大きな要因は乱獲で、10年で半分以下となっている。

庶民の味だったサバは、庶民の味として今後、食卓や料理店に再び並ぶことが、果たしてできるのか?

(テレビ西日本)

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