大型観光キャンペーンの「ふくしまデスティネーションキャンペーン」は6月30日までの3カ月間で300を超える特別企画が実施される。4月最初の週末に、浜通りでは自転車愛好家が集まるイベントが行われた。
■自転車と一緒に列車へ
「ふくしまデスティネーションキャンペーン」(以降、ふくしまDC)に合わせて、浜通りで本格運用が始まったのが『サイクルトレイン』。
セレモニーではいわき市の内田広之市長が「ふくしまDCをきっかけとして、この福島県浜通りに沢山の方々来ていただいて、おいしいものを食べていただき、各地を巡っていただき、福島県の復興を皆さんと共に盛り上げていきたい」と挨拶した。
運用開始の初日は約60人の参加者が、自転車を持ってホームへ移動。そのまま車内に持ち込む。
いわき市交流推進課の金賀一樹さんは「通常であれば、自転車を分解して、輪行袋という専用の袋に入れる必要があり、かなり手間がかかる。そういった手間もなく、そのままワンストップで列車の中に積み込みでできる大変便利なサービス」と説明する。
■乗車料金だけで利用可
いわき市では2025年5月から6カ月間実証実験を行い、利用者が一定数に達したことなどから本格導入を決定した。
サイクルトレインは、いわき駅から原ノ町駅の区間の普通列車が対象で、乗車料金だけで利用できるのがポイント。
通常利用できるのは土日・祝日限定で、1つの列車に10台まで。専用サイトから事前予約が必要になる。
■被災地の“いま”に触れる
原ノ町駅に到着すると、いよいよサイクリングスタート。
この日はあいにくの雨模様となったが、参加者は、浜通りの沿岸部を颯爽と駆け抜けた。
今回のコースは、浪江町の震災遺構『請戸小学校』や双葉町の『東日本大震災・原子力災害伝承館』などを通るルートで、震災の爪跡や復興する被災地の姿に触れることができる。
東京都から参加した人は「何もなく真っ平らになっているので、本当に大変だったのだろうなと思いながら。でも、ここまで少しずつですけど復興しているのが見えて、本当に良かったです」と話した。
■イベントならでは特別コース
今回のイベントでは、一般の人は入れない特別な場所にも立ち寄った。1周3キロ、自動車部品メーカーが持つテストコースとしては国内最大規模のリンクを走行。参加者は特別な体験を楽しんだ。
茨城県から参加した人は「テストコースを初めて走るので、バンク(傾斜路面)の方まで行ってみたけど、すごく急だった。楽しく走れて、とても良かったなと思います」と話す。
また別の茨城県からの参加者は「まずは電車で景色を楽しみながら来て、自転車で福島の今のまち並みを改めて見ることができて、すごく良い経験になった」と話した。
参加者は心地よい汗を流しながら、浜通りの魅力を満喫していた。
■自転車で盛り上がる浜通り
浜通りの自転車によるまちづくりは「ふくしまDC」だけで終わらない。
今回のイベントのメインで走った、いわき市から新地町を縦断する約178キロの「ふくしま浜通りサイクルルート」は、国を代表する自転車道「ナショナルサイクルルート」の候補に選ばれている。
指定されれば、国から国内外のサイクリストを呼び込むための財政支援や情報発信の支援などが得られ、交流人口の拡大や復興に関する情報発信などにも期待できる。
この指定は大学教授などの有識者による委員会の審査を経て、夏ごろに決まる予定で、過去2回の選考では、すべての候補が指定されている。
国を代表するサイクルルートへ。今後も浜通りのサイクルツーリズムから目が離せない。