雪かき用のスコップとしゃもじで三味線の音を奏でる「スコップ三味線」。かつて富山県射水市で人気を博したグループ「スコッパーズ」が、コロナ禍による活動休止から6年を経て、動き出した。その中心にいるのは、80歳になった米本千加子さんだ。

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「人生で1番輝いていたとき」

スコッパーズは2003年に射水市で結成され、イベントや演奏会に精力的に出演していた。しかしコロナ禍の影響で活動を休止。それから6年が経過した。

現在、米本さんは週に1回、射水市内の福祉施設「でいさーびす和の郷」を利用している。ある日、施設のスタッフが米本さんからこんな言葉を聞いた。「スコッパーズをしているときが人生で1番輝いているときだった」。

その言葉を受けた副施設長の中島勝秀さんは、職員と話し合い、もう一度米本さんの夢を叶えようと決意。昨年12月、米本さんと職員数名で「スコッパーズ753(なごみ)」を結成した。

80歳の体に宿るリズム

現在は米本さんが施設を利用する日に、30分ほどの練習を重ねている。数年ぶりのスコップ三味線だが、体はしっかりとリズムを覚えていた。

「ただ叩いとってちゃプラスチックの音ちゃ出ないけど、こういう具合に叩いたら『パツン!』と三味線の音に合うがやけども」と、米本さんは職員に手ほどきをする。

中島さんは「まだ素人なんで叩くところ間違えても笑ってくれる。時には厳しいんですけど、厳しさがあって私たちも上達できる」と話す。中学・高校で吹奏楽を経験していた職員も、「社会人になってから音楽に携わることが減っていたので、いまスコッパーズの活動ができて嬉しい」と目を輝かせる。

ミニコンサートで笑顔が広がる

取材当日は、施設の利用者の前でミニコンサートが開かれた。演奏したのは、スコッパーズ時代からのレパートリーである「浪花節だよ人生は」。

演奏を聴いた利用者からは「(米本さんは)素晴らしい活気のあるキャラクターの人だからね。元気もらえました」という声が上がった。

米本さん自身も「楽しかったちゃ。間違ごうたけど。嬉しい限り。感謝感謝。みんなの笑顔見られたから良かった」と笑顔を見せた。

80歳になった今も、その気持ちは「生涯現役」そのものだ。「こんな歳になって80歳になって、またこんな時代が来るとは思ってもみなかった。声かけてくれることは、嬉しいことだと思って、ありがたい」と米本さんは語る。

これからのスコッパーズ753

今後は施設内での演奏会に加え、機会があれば他の施設への出張演奏も予定している。米本さんはすでに2月にステージ演奏をこなしており、「身体が動く限り、イベントに呼ばれたら演奏に行きたい」と前を向く。

スコップ一本が、80歳の女性と若い職員たちをつなぎ、福祉施設や地域に笑顔をもたらしている。スコップ三味線は、形を変えながらもいまも確かに鳴り響いている。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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