アメリカとイランは、交渉期限の日本時間8日午前9時を前に2週間の停戦に合意しました。
トランプ大統領は日本時間8日午前7時半過ぎ、SNSでイランとの停戦交渉を仲介するパキスタンのシャリフ首相との協議を受け、「イランがホルムズ海峡の完全で即時、そして安全な開放に同意することを条件に、イランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに同意する」と投稿し、イランと2週間の停戦に同意したことを明らかにしました。
同意した理由について「アメリカは既に全ての軍事目標を達成し、上回っており、イランとの長期平和、そして中東の平和に関する最終的な合意に向けて大きく前進しているため」と説明しています。
トランプ大統領は、イランから受けとった10項目の提案について「交渉の実現可能な基盤であると信じている」と前向きな姿勢を示したほか、2週間の停戦の間に合意を最終決定できるとの考えを示しています。
アメリカとイランによる2週間の停戦合意について、水面下で一体どんな協議があったのか、イラン側の情報について、FNNイスタンブール支局の加藤崇支局長に聞いていきます。
ポイントは、イランが一転、なぜ2週間の停戦に合意したのか。
そして、ホルムズ海峡の完全開放はどうなるのかについてです。
まずは1つ目です。
――イランは一時的な停戦を拒否していると伝えられていたが、なぜ2週間の停戦に合意した?
FNNイスタンブール支局・加藤崇支局長:
イランはアメリカが出した条件を受け入れる形での一時的な停戦はできませんでした。これは敗北を認める形になるからです。しかし今回、アメリカのトランプ大統領はイランが出した10項目の条件を協議の基盤となるとして、受け入れるとしました。イラン側が、これを「敵が敗北しイランの条件を受け入れた」として、一時的な停戦を受け入れることにしたのです。しかし、実際イランは空爆によって様々なインフラが攻撃され、これ以上の被害は避けたい考えもあったかと思われます。そのため、この協議の間の2週間で体制を再整備したうえで、仮に戦闘が再開してもホルムズ海峡の代替ルートである紅海の船舶を攻撃するなど最後の手段の条件を残したまま、今回、一時的な停戦を受け入れるという選択をしたとみられています。
そして、イランを巡っては最高指導者のモジタバ師が空爆で負傷して意識不明の状態だと海外メディアが伝えています。
――今回の合意に関してはモジタバ師は関与している?
FNNイスタンブール支局・加藤崇支局長:
一部報道では、最高指導者モジタバ師が意識不明の状態でいかなる意思決定にも関与できていないと伝えられています。実際、モジタバ師が3月に最高指導者に就任してから一度も姿を現しておらず、肉声も公開されていません。また、何回か出された声明も強硬派イラン革命防衛隊の主張がそのまま乗っているような状況です。そのため、今回の合意に関してもモジタバ師が合意に関与しているかは疑問で、実際、政権内部の強硬派が主体的に今回の合意を主導したとみられています。そのため、今後行われる協議でもイランが主張を大きく譲歩する可能性は少なく、協議は難航するとみられています。
続いて、2つ目のポイントです。
――ホルムズ海峡は本当に完全開放される?
FNNイスタンブール支局・加藤崇支局長:
トランプ氏の言う「ホルムズ海峡の完全な開放」は、イランとの調整が不要なことを意味しています。しかし、イランのアラグチ外相が出した声明では、イラン軍との調整および技術的制約を十分に考慮したうえでホルムズ海峡の安全な通航が可能になるとの声明を出しています。また、AP通信はイランは船舶から通航料を取ることが可能で、さらにそれを復興予算に充てるという内容も含まれていると伝えています。これらは「完全な開放」とは言わず、円滑なエネルギー輸送が再開するかは見通せていません。また、戦闘終結に向けての協議に関しても、イランはホルムズ海峡に対するイランの主権を認めるよう求めている他、アメリカのトランプ大統領が拒否しているウラン濃縮活動の継続についても主張していて、10日から始まるパキスタンでの戦闘終結に向けた協議は難航するとみられます。