今年4月に民営化された富山空港で、駐車場の「不思議な現象」が注目を集めている。1日の搭乗者が500人程度にもかかわらず、無料駐車場は常に7割が埋まっているという。
いったい誰が、何のために車を止めているのか。今月から始まった実態調査の行方と、近く発表される新愛称をめぐる議論を追った。

「飛行機に乗らないのに」駐車場が埋まる謎

富山空港の駐車場は、有料エリアが111台分、無料エリアが1531台分。現在、東京と札幌への1日4便のみが運航されており、1日あたりの搭乗者は約500人、空港駐車場を利用する車は1日100台程度と見込まれている。
それにもかかわらず、無料エリアは常に7割が埋まっている状態だという。富山エアポートのオペレーションユニット長・池田直隆さんは現場の状況をこう語る。

「このエリアが空港の入り口に近い便利なエリア。左側も右側も全部車でいっぱい。飛行機の時間が迫る中、空いている枠を探さなくてはいけない」

先月25日の県議会でも議論になった「長期駐車」の問題。富山県航空政策課の小川幸男課長によると、「現在6カ月以上駐車している車両は1台にとどまっているが、数週間にわたり駐車している車両は複数台見受けられる」という。
カメラがナンバーを読み取る「入出庫管理システム」稼働


こうした状況を受け、今月から「カメラ式入出庫管理システム」の運用が始まった。駐車場の出入り口に設置したカメラが車のナンバーを撮影し、どこから来た車がいつ入庫し、どれだけの期間・頻度で駐車場を利用しているかをデータで把握できる仕組みだ。


このシステムは富山空港に先駆け、和歌山県の南紀白浜空港でも稼働している。同空港では一昨年秋に導入し、5カ月間の実態を調査したところ、約47%の車両が飛行機に乗らない人による利用の可能性が高いことが判明した。
さらに、今月3日の時点で、ゴールデンウィークから出庫していない車両が4台確認されたという。池田さんは「空港に出入国管理事務所があるなど、飛行機に乗らない方が来る理由もある。それを勘案したとしても、今の空港利用者の人数に対してこの車の数は少し多すぎるという印象」と話す。
将来的には「有料化」も視野に
今回の調査はあくまでデータ収集が目的だが、池田さんは将来の方向性についても言及している。

「空港に車で来た方々がストレスなく駐車スペースを見つけてすぐ止めて、ストレスなく飛行機に乗っていく、それ自体が空港の利便性を高めることになる。将来的には一定の課金を考えなくてはいけないかもしれない。料金施策を検討するにあたってまず現状の使われ方をデータ的に分析したことがないので、それを分析するのが目的」
利用実態を「見える化」し、段階的に適正利用へと誘導していく狙いだ。
「すし」に「高山」…新愛称が近く発表へ

駐車場問題と並び、いま富山空港でもう一つ熱い話題となっているのが愛称の変更だ。現在の「富山きときと空港」から、「すし」や岐阜県の観光地「高山」を取り入れた新愛称への変更が検討されており、近く発表される見通しとなっている。
「富山にもいいところがあるじゃないかよくわかってます。でもそれだけでは十分なインパクトがないという風に思っている」と新田知事は話す。
この方向性について、観光分野の県政エグゼクティブアドバイザーで立教大学経営学部客員教授の永谷亜矢子さんは「乗っかり戦略」として支持する。

「ゼロのものから1をつくるよりは、あるものを『実はそれ、富山なんです』『そこ富山から行きやすいんです』と言うことでかなりショートカットできるのではないか。東京ディズニーランド、実は千葉だったという話もそう」
インバウンド旅行者の8割が個人手配旅行となるいま、「見つけてもらう」ことの重要性はかつてなく高まっている。永谷さんは今年度を「インバウンド地方元年」と呼び、追い風が吹いていると指摘する。

新田知事は愛称への期待をこう語る。「大いに空港名をアピールしてなんだこれはと。〇〇かと。そうか〇〇があるのが富山かみたいなことに…」。
民営化から3カ月、富山空港は駐車場の適正化から愛称の刷新まで、変わろうとしている。地元住民にとっても、観光客にとっても使いやすい空港への進化に、引き続き注目したい。
(富山テレビ放送)

