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プレスリリース配信元:株式会社三菱総合研究所

商用運航下で自動運転レベル4(※1)を実現、自動運航船の社会実装が新たな段階へ

株式会社三菱総合研究所(以下 MRI)は、公益財団法人日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」(以下 MEGURI2040(※2))に参画しており、2026年3月27日、同プロジェクト第2ステージにおいて4隻の実証船すべてが国土交通省の船舶検査に自動運航船として合格し、自動運航船として商業運航を開始したことを発表しました(※3)。

MEGURI2040は、無人運航船の実現と人や物資の安定的な輸送を目指し、日本財団が2020年より推進しているプロジェクトで、少子高齢化による船員不足やヒューマンエラーに起因する事故など、海事業界が抱える喫緊の課題解決に取り組んでいます。

本プロジェクトの趣旨および社会的意義に賛同した国内企業53社が、DFFAS+(Designing the Future of Fully Autonomous Ships Plus)(※4)コンソーシアムを構築し、それぞれの強みを生かした技術開発および社会実装に向けた取り組みを進めてきました。

MRIは、同プロジェクト第1ステージ(2020~2021年度)に引き続き、第2ステージ(2022~2025年度)でも無人運航システムのリスク評価・コンセプト設計・出口設計(事業モデル・制度検討等)・プロジェクト管理の役割を担っています。特に第2ステージでは、社会実装に必要な新技術が社会に広く受け入れられるための活動を主導しました。具体的には、荷主・船主・運航事業者、損害保険会社、金融機関、離島航路を利用する地元住民等のステークホルダーのニーズや新たな技術に対する懸念事項等を分析し、実証船の安全性を証明するための運航データ取得を設計(実際のデータ取得・評価は2026年4月~9月に予定)したほか、無人運航船の実用化がもたらす社会経済的メリット(物流維持、離島の生活維持・活性化、船員の労務負荷軽減等)を具体化しました。2026年2月末には、岡山県と香川県を結ぶ旅客船「おりんぴあどりーむせと」の商業運航時に一般客を乗せた自動運航を実施。これにより、乗船した皆さんに自動運航船の安全性や社会経済的意義への理解を深めていただくことができ、自動運航技術の社会受容性醸成に寄与しました。

1. 実証実験、開発のポイント

DFFAS+コンソーシアムは、自動運航船を単体の技術としてではなく、船上システム・通信システム・陸上支援システムを統合した運航システムとして設計・開発しました。
実証船は、貨物船や旅客船など、用途や運航条件の異なる複数の船舶を対象に、新造船および既存船へのレトロフィット(既存機器に新たな機能を追加して性能を向上)という形で、自動運転レベル4相当の自動運航機能を有しています。周辺認識、航行状況の統合表示、将来挙動の予測、避航・航路計画の策定などの機能を組み合わせ、自律判断と人による監視・介入を前提とした設計を採用しています。
これらの船舶は、衛星回線および携帯回線を利用した安定的な通信回線を介して、複数船舶を同時に監視・支援可能な陸上支援センター(常設型と移動型の2拠点体制)と連携して運航することで運航の安全性と冗長性を確保しています。





2. 各社の開発・実施内容

【実証船4隻】
第2ステージでは、用途や航行環境の異なる以下の4隻を実証船として自動運転レベル4相当の自動運航機能を商用運航下で検証、国土交通省の船舶検査に自動運航船として合格しました。


新造内航コンテナ船「げんぶ」
新造内航コンテナ船「げんぶ」げんぶは、(株)イコーズが管理し、鈴与海運(株)が運航する全長約134メートル・700TEU型の内航コンテナ船で、神戸から大阪、名古屋、清水、横浜を経由した東京までの航路においてコンテナ貨物輸送に従事しています。無人運航船の普及を見据え、無人運航に必要なすべての機能を搭載したフラッグシップとして設計・建造され、2026年1月28日、「自動運航船」として国の船舶検査に合格しました。




旅客船「おりんぴあどりーむせと」
旅客船「おりんぴあどりーむせと」おりんぴあどりーむせとは、国際両備フェリー(株)が運航する全長約66メートル・旅客定員数500名の離島航路船で、岡山県新岡山港から香川県土庄港を結んでいます。船舶往来が盛んで障害物となる島や岩礁も多い瀬戸内海域において、自動運航機能が適切に動作するか、安全性評価が進められ、2025年12月5日、国内初となる「自動運航船」として国の船舶検査に合格しました。





既存RORO船「第二ほくれん丸」
既存RORO船「第二ほくれん丸」第二ほくれん丸は、川崎近海汽船(株)が運航する、全長約173メートル・総トン数11,413トンの内航RORO船(「Roll-on/Roll-off」という貨物を積んだトラックやトレーラーが自走して乗り降りできる船)で、北海道釧路港から茨城県日立港まで、北海道の生乳を中心とした農産物などの輸送に従事しており、2026年2月9日、「自動運航船」として国の船舶検査に合格しました。




既存内航コンテナ船「みかげ」
既存内航コンテナ船「みかげ」みかげは、井本商運(株)が運航する、全長96.81メートル・245TEU型で、日本で最も普及している749総トン内航コンテナ船です。日本の各地の港を幅広くつないで国内物流を支えています。
日本で最も普及している内航船で自動化の普及促進を進め国内物流の健全性維持に大きく貢献することを目指し、2026年3月25日、「自動運航船」として国の船舶検査に合格しました。
注) 自動運航対象海域は神戸~名古屋




3. 自動運航船を支える2つの陸上支援センター

これらの自動運航船は、船上システムに加え、陸に配置された陸上支援センターからの監視・支援機能が、その安全・効率運航を支えます。
陸上支援センターでは、複数の自動運航船の航海状況や機関状態、周辺環境などの情報をリアルタイムで集約・可視化して監視し、必要に応じて航行支援や判断支援を行うことで、安全性の向上と船員の負担軽減を図ります。
記者会見では、商用運航下にある複数の自動運航船と陸上支援センターをリアルタイムで接続し、複数船舶を同時に支援する世界初(※5)のデモンストレーションが公開されました。


常設型陸上支援センター
常設型陸上支援センター兵庫県西宮市の古野電気株式会社社屋内に設置されており、陸上から用途や航行環境の異なる複数船舶を同時に航行支援する体制を世界で初めて実現しました。船員の負担軽減や船舶の安全性向上に加え、将来的な無人運航船の普及を見据えた運航モデルの確立に貢献しています。




移動型陸上支援センター
移動型陸上支援センター移動型陸上支援センターは、日本無線株式会社を中心に開発されたカーゴトレーラー型の陸上支援拠点です。けん引によって移動が可能で、災害や停電などの非常時においても安全な場所へ移動して複数の自動運航船に対する遠隔航行支援を継続できる点が大きな特長です。全長約7メートルのコンパクトな空間に、航行監視や判断支援に必要なシステムを集約しており、将来的な普及を見据えた現実的な運用形態として位置付けられています。



4. 自動運航技術の「社会受容」獲得

自動運航船のような新たな技術を社会実装する場合、利用者や影響を受けるステークホルダーに「理解」され、さらに「受容」されることが重要です。特に、自動運航船「おりんぴあどりーむせと」は一般客も乗船する上に関係者も多岐にわたることから、MRIでは2023年以降、小豆島(香川県)の住民や同船を利用する事業者等を対象としたワークショップを継続的に開催して理解・受容性を高める活動に取り組みました。2026年2月末には、小豆島にお住まいの方や島外からの観光客向けに乗船体験を実施。体験客計100名のうち、子どもを除いた77名を対象にアンケートを実施したところ、「実際に乗船して、自動運航船には安全な運航ができる仕組み・技術が備わっていると感じた」(97%、N=67)と安全面での評価が得られた他、「自動運航船導入に伴う船員の陸上勤務移行が、船員の労務負荷軽減につながると感じる」(95%、N=65)と社会的意義についても肯定的な評価が得られました。
商業運航の自動運航船における一般旅客の受容性評価は先行事例が無く、MRIは今回自動運航船の理解・受容性を高めるためのプログラムを、自動運航システムの開発内容を正確に分かりやすく伝え、そして社会経済的意義がステークホルダーに理解いただけるよう設計しています。本事例は、今後、他の離島航路に自動運航船を導入する際のモデルケースとなり得ると考えています。


自動運航船「おりんぴあどりーむせと」受容性向上プログラム内容




自動運航船「おりんぴあどりーむせと」受容性向上プログラムにおけるブリッジ見学の様子



5. 今後の展開

本プロジェクトでは、4月から9月まで商業運航時のデータを取得し、自動運航による安全面の評価、および船員の労務負荷軽減等の評価を実施します。その後、自動運航に係るルールや法整備、社会受容性向上、自動運航船の普及を進め、2040年には内航船の50%の自動運航化を目指します。MRIも引き続き、日本の内航海運における労働力不足解消・労務負担軽減、海難事故防止、離島航路維持等の社会的課題を解決し、安定的な国内物流・輸送インフラを支えるため、自動運航船の社会実装・普及に取り組みます。

※1:特定エリアや条件下において、人の介入が不要な完全自動運航が可能な技術段階を指す。(船舶の自動運転定義は現在国際海事機関(IMO)等で議論中。便宜的に自動車の定義を流用)
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf
※2:無人運航船プロジェクトMEGURI2040「無人運航船の社会実装に向けた技術開発助成プログラム」
無人運航船の実用化を推進する技術開発を行うことで、本分野の技術開発への更なる機運を醸成し、その結果我が国の物流及び経済・社会基盤の変革を促進するべく、当該技術開発を支援する助成制度。
※3: 日本財団プレスリリース(2026年3月27日) 世界初 複数の自動運航船の同時モニタリング・運航支援に成功
※4: DFFAS+(Designing the Future of Full Autonomous Ships Plus)コンソーシアム参画企業:日本海洋科学(代表)、赤阪鐵工所、イコーズ、井本商運、ウェザーニューズ、上野トランステック、EIZO、SKウインチ、MTI、NX海運、NTTドコモビジネス、川崎汽船、川崎近海汽船、川崎重工業、旭洋造船、近海郵船、国際両備フェリー、サンフレム、三和ドック、JRCS、ジャパン・ハムワージ、ジャパン マリンユナイテッド、商船三井、スカパーJSAT、鈴与海運、Space Compass、常石呉ドック、常石ソリューションズ東京ベイ、寺崎電気産業、東京海上日動火災保険、東京計器、東洋信号通信社、一般社団法人 内航ミライ研究会、ナカシマプロペラ、ナブテスコ、日本シップヤード、日本無線、日本郵船、阪神内燃機工業、BEMAC、pluszero、藤原造船所、古野電気、本田技研工業、本田重工業、Marindows、丸紅、三浦工業、三井住友海上火災保険、三菱総合研究所、三菱造船、向島ドック、YDKテクノロジーズ。
※5:日本財団調べ(2026年3月時点)。陸上から商用運航中の複数の自動運航船の航行支援が世界初

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