東京高裁に解散を命じられた旧統一教会の元幹部らが、新たな団体の設立を検討していることが教団関係者への取材でわかった。教団の役員らは引き継がれるとみられる。
解散命令からまもなく1カ月、異例の「清算手続き」によって法人が消滅に向かう中で、浮上した新団体の設立構想。
教会を使えなくなった信者らは、今も自宅や野外で宗教活動を続けている。現場を取材した。
信者の自宅に集まり礼拝
3月下旬の日曜日、千葉県八千代市の一般住宅に、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信者である9人の男女が集まっていた。
居室内に、総裁・韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏と創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の写真が置かれた祭壇が設けられ、9人が囲んでいた。
「ただ今より式を始めて参ります」。
教会長の男性が仕切り、9人は写真に礼をしたり、歌を歌ったりして、儀式を進めていた。
「なんでこんな仕打ちを」「サタンは強い」
通常であれば、八千代市内にある教会で礼拝をしているが、解散命令の後、教会に入ることが出来なくなり、信者の自宅を使って礼拝を続けている。
毎週日曜日には、教会に70~80人が集まったが、自宅では10人ほどが限界。

「今までみんなで一緒にやれたものがやれないのがすごい悔しいし、なんでこんな仕打ちを受けなきゃならないのか」と1人の女性信者が吐露すると、別の女性は「こんなサタン(悪魔)世界じゃあね」と声をかけた。
「やはりサタンは強いんだなと感じますね」
教団職員も「個人の信仰」として
解散を命じられた教団は、法人として宗教行為はできない。しかし、信者個人の信仰は認められている。
自宅での礼拝を仕切っていた「教会長」は、教団職員でもあるが、あくまでも「個人の信仰」としての活動だとしている。
「法人の職員としては清算業務をするのが仕事。清算業務に支障の無い範囲で、信徒さんの自宅を訪問するなどしています。教会が使えなくなって、信徒さんたちは戸惑っている。家の中で祈祷をするのと、教会の祈祷室でお祈りするのとでは、宗教的な意味合いが全然違うのです」と教会長。
参加していた男性信者は、「献金も礼拝も、神様に捧げるという意味合いがある。それができなくなるというのは、非常につらいです」と胸の内を語った。
教会のライフラインを解約
八千代家庭教会では、どのように「清算手続き」が進んでいるのか。
決定が出た後に訪問してきた「清算人代理人」の弁護士ら3人のうちの1人だった。
教会の事務担当者は、清算人側から賃金明細や出納帳、献金台帳や会員名簿の提出を求められ、提出した。その後は、弁護士の指示を受けながら、ガスや電話など、清算業務に必要の無い契約の解除などの清算作業を進めているという。

「清算を進める弁護士さんたちも本部からの指示を受けて混乱してるようにも見えるが、3人1組で互いの業務をチェックし合いながらやっている。私もいつまでにどうなるのか全体像が見えないので、もどかしい」と話す。
職員は「いずれ全員解雇」
こうした清算手続きは、全国約280の教会で進められている。
解散命令の当日、東京地裁は、教団の資産を管理・処分する「清算人」に伊藤尚弁護士を選任。
伊藤氏は、弁護士や公認会計士ら100人以上でつくる「清算人団」を結成し、全国の教会や教団施設を数日間のうちに訪問する意思を示した。
各地の教会では、鍵や口座、パソコンなどを引き渡すように求めたという。
教団本部では、会長や役員らは全員が退任し、資産管理などの権限はすべて清算人に移った。
ある教団職員の男性によると、職員らは清算業務に必要な職員以外は自宅待機を命じられた。職員については、いずれは全員解雇になると伝えられたという。
「新団体」設立を検討
こうした中、教団の元幹部らが、新たに団体を設立し、宗教活動を継続する方向で検討していることが新たに分かった。
教団関係者によると、信者らはこれまでと同様に献金を続けている。
「信仰上、尊い行為」(現役信者の男性)という献金だが、清算が進む法人では、こうした資金を管理することはできない。
そのため、新団体が資金を管理し、宗教活動の運営資金にしていくという。
旧役員らは、新団体に引き継がれるとみられる。
教団の会長だった堀正一氏は、解散命令の翌日、このような声明を出していた。
「法人格を否定されたとしても、引き続き、天の願いの実現を目指して宗教活動を行っていくことに何ら変わりはありません」

教団側はFNNの取材に、「問題にされるような献金の受領は今後も行われないようにしていく」としている。
教団に元々あった資産は清算人の管理下にあり、すぐさま資産を新団体に移行することは困難とみられる。
しかし、清算終了後に残った財産が、新団体にまわる可能性は否定できない。
