鹿児島市から約550キロ。美しい自然が広がる沖永良部島に、日本の空の安全を24時間365日守り続ける航空自衛隊の拠点がある。近年、中国の軍事活動の活発化を背景にスクランブル(緊急発進)の回数が急増するなか、基地のトップが語った現状と覚悟とは。

県内に3つある航空自衛隊の分屯基地

鹿児島県内には、薩摩川内市の下甑島、奄美大島、そして沖永良部島の3か所に航空自衛隊の分屯基地がある。そのうちの一つ、沖永良部島分屯基地は、九州と沖縄を結ぶ南西域の防衛を担う重要拠点だ。

この記事の画像(10枚)

基地のトップを務めるのは大枝慎太郎2等空佐。取材に応じた大枝司令は、この基地の任務をこう説明する。

「南西域の空の防空、警戒監視の任務についている」

基地の中核をなすのが2つのレーダーだ。その監視範囲は防衛上の秘密であるため、取材時の撮影は指示されたポイントのみに限られた。このレーダーを用いて、365日24時間体制で南西域の上空を監視し、国籍不明の航空機などを早期に発見。約190キロ離れた沖縄県の那覇基地へと情報を伝達する役割を果たしている。

約130人の隊員が島で暮らす

基地には現在、約130人の隊員が勤務している。そのうちの約1割、13人ほどが地元・沖永良部島出身だ。島外から赴任した隊員たちは、2〜3人が1部屋で共同生活を送る。三浦拓真総務人事係長は隊員の生活環境についてこう話す。

「隊員の生活の部屋になる。1つの部屋に対して2名から3名が居住している」

基地内には居室のほか、風呂場や食堂といった生活設備も整備されている。大阪出身の隊員は「おいしいです」と島の食に目を細め、高知出身の隊員は「島の人たちが温かくて、自然も豊かなので良いところ」と語った。離島ならではの温かなコミュニティが、隊員たちの日常を支えている。

また、基地は災害時における被災者支援も担っており、消防車や電子機器などの設備も整えられている。地域の安心・安全を守る存在として、基地は島の暮らしとも深く結びついている。

スクランブルは年700回前後に急増

こうした日常の裏側で、南西域をめぐる安全保障環境は大きく変化している。

「中国が台湾周辺で軍事活動を活発化させている。南シナ海や東シナ海で活動しているもので、力による一方的な活動については非常に危惧している」

大枝司令がこう警戒感を示すように、日本の領空を侵犯する恐れがある際に戦闘機が緊急発進する「スクランブル」の件数は、南西域で劇的に増加している。2003年以降は百数十回だったものが、近年では毎年700回前後にまで上昇。その主な要因が、中国軍の活動の活発化だ。

さらに2025年12月には、沖縄県南東でスクランブル対応中の航空自衛隊戦闘機に対し、中国空母から発艦した戦闘機がレーダーを照射するという事案が発生した。その後、中国空母は喜界島の東約190キロメートルの海域を東に進んだ。こうした動きは、空をめぐる安全保障の重要性がかつてなく高まっていることを如実に示している。

「地元の人々の安心安全を守るために」

離島という地理的条件のなか、沖永良部島分屯基地は2つのレーダーと約130人の隊員によって、南西域の空を黙々と見守り続けている。島の豊かな自然と温かい人々に支えられながら、隊員たちは今日も任務に当たる。

「これからも地元の人々の安心安全を守れるように、日々精進をしていきたい」

大枝司令のその言葉は、南西域の空の静けさを守るための、日々の緊張と責任の重さを静かに物語っていた。

(動画で見る▶「スクランブル年間700回前後」南西の最前線・沖永良部島分屯基地が担う“日本の空”の見張り役)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(10枚)
鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。