気になる疑問やニュースのなぜ?を解き明かす「どうなの?」です。
安宅晃樹キャスター:
31日はインバウンドについてです。円安などが後押しして2025年、日本を訪れた外国人観光客は4268万人と過去最多を更新しました。今、そんな外国人観光客の受け入れを巡って注目を集めているのが鹿児島県なんです。鹿児島県議会は、25日に外国人客に九州新幹線の片道運賃を補助する経費などを盛り込んだ、本年度の当初予算を可決したんです。
山崎夕貴キャスター:
外国人に鹿児島に来てもらうための助成を税金でやるということですか?
安宅晃樹キャスター:
その点に、この事業を巡って“外国人優遇”というような声も上がっていて、かなり意見が分かれているところなんです。SNSで実際に見ていきますと「税金が外国人に使われてしまう」「外国人優遇では?」というような批判的なコメントもありますけれども、一方で「鹿児島県民が潤うならいいのでは」といった声もあるわけです。
榎並大二郎キャスター:
税金が絡んでくるからシビアな見方にはなるわけですが。
三宅正治キャスター:
外国人観光客が来てくれたら自治体にお金が落ちるわけだから、いいんじゃないかなと思うけれども、あとはどんな内容かですね。
安宅晃樹キャスター:
そもそもどんな事業なのかというところで、まず今回、県が予算を計上した額でいいますと約2億7800万円です。対象となるのは、鹿児島県内で1泊以上する外国人観光客なんですね。博多駅から鹿児島中央駅、この間を新幹線で移動する片道運賃1万円を補助するというものなんです。
山崎夕貴キャスター:
鹿児島から博多はないんですね?
安宅晃樹キャスター:
そうですね、片道ということで。そこに鹿児島の狙いがあるということで、九州の地図を用意しました。北は福岡から南は鹿児島までありますけれども、やはり鹿児島の空の玄関口といいますと鹿児島空港があります。この鹿児島空港、コロナ禍の前は1週間で29便が飛んでいたんですが、現在は1週間で4便しか国際線は飛んでいないということで、やはりコロナからの回復が遅れている状況なんです。では、九州を訪れた外国人観光客はまずどこに行くかというと、やはり福岡空港に来る方が多い。ただ、福岡もやっぱりおいしいものも見るものもたくさんありますので、ここで足が止まってしまうといった現状があるわけなんです。実際データでもありまして、九州の各県の訪日観光客数を見ると、やはり福岡県が圧倒的で791万人。対する鹿児島県はどうかというと70万人。やはり九州の中でも比較的、訪れる観光客が少ない土地ということなんです。ですので、今回の施策で福岡に来る外国人観光客を九州新幹線を使って来てもらおうではないかと、こんな狙いがあるということなんです。
山崎夕貴キャスター:
私とか海外旅行が大好きなので例えば、自分が外国人で「日本に行って博多に行こう!」ってなったとしたら、「博多から鹿児島まで補助が出るらしいよ。じゃあ鹿児島まで行こう」という情報をキャッチできる自信がない。
安宅晃樹キャスター:
その点について、県は旅行の予約サイトなどを通じてアナウンスしていくというふうにしていますがやはり、観光客の受け入れに苦戦している鹿児島県ですが、魅力たっぷりなんです。鹿児島のシンボルといえばやっぱり桜島ですね。本当に地球の息吹を感じられる雄大な自然が広がります。そして、食も欠かせない観光資源として海の幸だけではなく黒豚。そして、私の大好きなお酒も人気ですよね。焼酎おいしいんですよ。
遠藤玲子キャスター:
あとは温泉もあるので、日本の魅力が詰まっているので外国の方、きっと行けば鹿児島の良さが分かると思うんですよね。
安宅晃樹キャスター:
これだけ観光資源が豊富な土地ですので、鹿児島県のこの税金を使った誘致政策はどうなのか、その理由について、塩田知事は「決して外国の方を優遇することではなく、(新幹線の運賃)1万円を配るというよりは、1万円を使うことで8万6000円に増やして、県民の稼ぐ力の向上に役立てたい。県民に認識・理解してもらえたら」と説明しています。
知事によりますと、今回の1万円というある種、投資ですよね。これを投資することによって実際に1人当たり8万6000円ほど消費してくれると。全体でいいますと17億円ほどの経済効果を見込んでいるということなんです。ただ、やはり今回の事業に対して、県にこれまで600件の意見が寄せられまして、期待しているという声もあったそうですが、中でも「外国人優遇ではないか」とか「不公平だ」といった批判的な声も多かったというんです。
榎並大二郎キャスター:
投資という側面があるということですが、事業の意図をよくよく聞くと納得感もありますけどね。
三宅正治キャスター:
税金を使うということで、じゃあそれが観光業以外の人間にもちゃんとした恩恵があるのかなということがやっぱり、具体的に来ないんだろうね、まだ。
遠藤玲子キャスター:
今の意見にもありました「不公平感」。投資という風に考えれば分かるんだけども、なかなかそんな先々まで待てないよという人にとっては、やっぱり自分だけ損している気分になっちゃう気持ちも分かりますよね。
安宅晃樹キャスター:
こういった動きもある中で、海外の有名観光地という所で見ていくとまた別の動きも今あるんです。それが「二重価格」というところで、有名な観光名所ルーブル美術館。皆さんご存じだと思いますが、ここでもつい最近、EUのいわゆるEU圏内の方とそうでない方で値段を変えて、海外からの観光客については入場料を大幅に値上げしているといった実態もあるんです。こういった動きはもちろんルーブル美術館でもそうですがロンドンなどでも行われていて、もっと言いますと日本でも同じようなことが行われているんですね。姫路城では一般市民の方は1000円ですが、市民以外の入場料をこれまでの2.5倍となる2500円にしたんですね。これは当初でいうと外国人観光客には4倍以上の入場料を取るという方針だったんですが、市民から「これは外国人差別につながるのではないか」といった声もあって、線引きするところでいうと市民か市民以外か、となったわけです。
山崎夕貴キャスター:
三宅さんの地元・広島も有名な観光地ですけどどうですか?
三宅正治キャスター:
外国人観光客ものすごく多いですから、そういった方々にお金を落としてもらうのはすごく賛成なんだけども、今回の鹿児島みたいなところだと状況が違うというか、厳しい状況なので話が違うかなと。不公平感をなくすためにも、先々のことを考えたのが政策なんだけども早く結果を出して、それを伝えてほしいですよね。
安宅晃樹キャスター:
専門家はどう見ているんでしょうか。まず、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは「不公平感が広がれば“外国人優遇”の誤解を生む」として、どちらかというと反対の考え。一方で、日本総研の濱本真沙希さんは「生活を豊かにできる事業であり、ただ成果をきちんと測って公表していくことが必要だ」としています。やはりコロナ禍以降、訪日観光客受け入れで苦戦している地域もある一方で、こうした施策を巡っては専門家の中でも意見が分かれているということが分かりました。