被害額は3億円を超える可能性が出てきました。
宮城海上保安部の巡視船から重油が流出した問題で、塩釜市内で養殖されていたワカメやコンブだけでなく七が浜町内のノリにも大きな被害が広がっています。

この問題は3月25日、塩釜港に停泊していた宮城海上保安部の巡視船ざおうから、重油1000リットル以上が流出し、塩釜港を中心とした直径2・7キロの範囲に広がったものです。

宮城県漁協七ヶ浜支所によりますと、町内のノリ養殖漁場への油の流出は確認されなかったものの、加工施設付近に油が漂着。ノリの加工に必要な海水が使えず、施設が稼働できない状態になったということです。

また、重油が付着した漁船が、漁場を出入りしていたことなどから、28日に、ノリの生産停止と廃棄を決定したということです。

被害は、枚数にして2200万枚、平均入札価格で2億円から3億円ほどになるということです。

記者リポート
「現在、こちらではノリの生産者たちが廃棄するノリの処理の仕方などについて話し合いが行なわれています」

宮城県漁業協同組合 寺沢春彦代表理事組合長
「いままで築き上げてきたブランドを維持するため、みなさんには断腸の思いで。ノリの生産を中止するという判断は県漁協としても重く受け止めている」

午後3時。県漁協七ヶ浜支所で開かれた対策会議。生産者たちからは廃棄のための仮置き場や、焼却施設の確保などの課題があがったということです。
また会議には、宮城海上保安部の担当者も参加し、「金銭的な補償で誠心誠意対応したい」といった旨の報告があったということです。

七ヶ浜支所では、今後被害額をまとめ、状況調査を経て、具体的な補償額が決定されるということです。

宮城県漁業協同組合 寺沢春彦代表理事組合長
「単価や品質に大きな期待を持っていたのでその意味合いでは生産者は落胆が大きい。厳しくて残念な思いでしかない」

影響が出ているのは、ノリだけではありません。
塩釜市では、まもなく収穫予定だったワカメやコンブに油が付着し、塩釜市漁協は、全て廃棄処分にすることを決めました。

その量は1500トンほどに上る可能性があり、収量や入札価格が去年と同程度だった場合、被害額は、およそ6900万円とみられています。

宮城海上保安部は、重油が流出した原因について、船内の発電機を使うため、重油をタンクから別のタンクに移すにあたり、ポンプが停止せずに稼働し続け、移送先のタンクから重油があふれたと発表しました。
ポンプが停止しなかった原因については、機械的な不具合か人為的なミスかも含め調査中としています。

宮城海上保安部は、今回の漁業被害に関して、金銭で補償する姿勢を示していて、4月1日、塩釜市漁協との話し合いがもたれる予定です。

こうした中、補償をめぐり動きが…

塩釜市の佐藤市長や七ヶ浜町の寺澤町長、漁協の関係者などが、31日午後、県庁を訪れ、村井知事に要望書を提出しました。
要望書には、県に対して、国への補償の要請を支援することや、使えなくなった資材の撤去や処分、来シーズンに向けた漁に使う道具の購入資金の支援などが盛り込まれています。

塩釜市 佐藤光樹市長
「(ワカメが)いつもより大変生育が良く、浜値が例年だと1キロあたり300円くらいのものが、現時点では700円、750円になっていた。それが全てダメになっている」

村井知事
「しっかりと被害状況を把握した上で、国に賠償請求をしていくということ、そして来年度以降もしっかりと生産できるような支援をしていくということ、これを求めていかなくてはならない」

漁協の関係者は「物価高騰の影響もあり、全面的な補償がなければ一部の漁業者は廃業に追い込まれる可能性がある」と話しています。

塩釜市漁業協同組合 櫻井悟代表理事組合長
「物価が上がっているので、オイルでも何でも、ロープひとつでも(浮き)玉ひとつでも、値段が上がっている。それを補償してもらうことを確実に認識してもらって、それを(県には)応援してもらいたい」

要望書を受けて、県は、国に対して、適切な補償を求めるとともに、近く漁業関係者向けの相談窓口を設置する予定です。

仙台放送
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