2026年度4月から、国の方針により全国の公立小学校で給食費の無償化が始まった。保護者の負担はゼロになる一方、財源確保や献立の工夫など問題は山積している。栄養教諭たちの地道な努力と、行政が抱える財政的な苦悩を取材した。

保護者負担はゼロ、公費負担は約9300万円

2026年度、国が掲げる「給食費無償化」により、長崎市の小学校の給食費が無償となった。

保護者負担はゼロだが…
保護者負担はゼロだが…
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保護者の負担額はゼロになる。しかし、国の支援額だけでは物価高騰分を賄いきれない見通しで、2026年度は公費負担額が約9300万円となる見込みだ。

公費負担は約2億5000万円
公費負担は約2億5000万円

長崎市の小学校の給食費は2008年度以降、児童1人あたり年間4万1800円を各家庭から徴収してきた。しかし、米の高騰など物価高の影響で徴収分を上回り、2025年度は1人あたり1万4540円、総額で約2億5000万円を公費で負担した。

品数、色どり、栄養 工夫が凝らされた学校給食
品数、色どり、栄養 工夫が凝らされた学校給食

無償化の実現は保護者にとって朗報である一方、財政の厳しさは変わらず、現場は様々な工夫ややりくりが課題となっている。

「少ないかな」子どもたちの本音と影の努力

長崎市立鳴見台小学校。午前11時すぎ、学校給食センターで作られた給食が運び込まれた。

給食係、昔も今も変わらない光景。
給食係、昔も今も変わらない光景。

白衣姿で配膳する給食係、列に並ぶ子供たち。昔も今も変わらぬ光景だ。

栄養を考えられた給食
栄養を考えられた給食

この日の献立はかぼちゃコロッケ、キャベツとコーンのサラダ、やさいスープ、牛乳、コッペパン。タンパク質、炭水化物、脂質など栄養バランスを考えたメニューとなっている。

「足りない」という声も
「足りない」という声も

子供たちは「おいしい」と笑顔を見せる一方、「もうちょっと食べたい」「おかずの数が増えたらいいな」と、物足りなさを感じる声も上がった。成長期の子どもたちの期待は大きく、現場への重圧は増している。

予算内に収める栄養教諭の工夫

その期待を一身に背負うのが、献立を考える栄養教諭たちだ。

栄養教諭による献立検討会議
栄養教諭による献立検討会議

周辺の3つの学校の栄養教諭が集まり、4カ月先の7月の給食献立について意見を交わた。

1食にかけられる費用は、児童1人あたり約340円。2022年9月から段階的に引き上げられているが、それでも十分な栄養を取り入れるには工夫が必要だという。

量やおかずの品数を減らさないよう努める
量やおかずの品数を減らさないよう努める

モヤシなど安価な野菜の割合を増やしながら、量やおかずの品数を減らさないように献立を考える。

栄養教諭は「行事食やデザートがつけば高くなるし、カレーの日は安くなる。1カ月の平均をトータルで見て、子供たちが好きなものは入れられるようにしている」と語る。

予算の範囲でも食育は大切に
予算の範囲でも食育は大切に

上振れを予想し、予算の範囲内に収めながらも、郷土料理や季節の料理を取り入れるなど、食育の観点も忘れない姿勢が貫かれている。

国の「無償化」は2026年度のみ

長崎市の学校給食は、変革期にある。

給食センターで大規模な調理
給食センターで大規模な調理

2022年度から稼働を始めた北部学校給食センターは、市立の小中学校28校分の給食、最大8000食の調理が可能だ。さらに、2026年9月からは市の中部と南部で新たな給食センターの稼働が始まる予定だ。

15年間で、6億円を超えるコストカットに
15年間で、6億円を超えるコストカットに

3つのセンターの給食カバー率は、市立小学校全体の約9割にあたる。市はこの3つのセンターが15年間稼働することで、合わせて6億円を超えるコストカットにつながると見込んでいる。

今後は状況を見ながら…
今後は状況を見ながら…

しかし、現段階で国による小学校給食費無償化が決まっているのは2026年度のみだ。

2027年度以降の継続について、鈴木市長は「国の動向や使用可能な財源を含め、状況を見ながら改めてその時点で対応を検討したい」としている。

給食制度の維持は大切なテーマだ
給食制度の維持は大切なテーマだ

物価高騰が続く中、行政としても難しい判断が迫られている。栄養や満足感だけでなく、食育という観点も含めて、給食制度の維持は大切なテーマであり続ける。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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