新生活シーズンを迎え賃貸物件探しがピークとなる中、札幌市内で家賃の値上げを巡るトラブルが急増しています。市の消費者センターに寄せられた家賃値上げに関する相談件数は、この3年間で4倍に増加しました。

 札幌市内のシングル向け賃貸アパートの平均家賃は、2025年の同月と比べて約19.4%上昇し、全国1位の上昇率となっています。建築費高騰や地価上昇を背景に、上昇傾向が続いています。

 物件を探している人からは「以前住んでいた家を探していた時と比べて、相場は全体的に上がっている印象を受ける」との声が上がっており、予算を8000円オーバーしてようやく物件が見つかったケースもあります。

 こうした中、オーナーから突然家賃値上げの通知を受け取る入居者が増えています。

 SNS上では「ついにうちにも家賃値上げの通知が来た」「世の中値上げラッシュで家賃まで。もう生きていけない」といった投稿も見られます。

 札幌市に住む60代の女性は、15年以上住み続けた賃貸住宅で、管理会社から突然の値上げ通知を受け取りました。家賃は9万円から15万3500円へと、約6万3000円もの値上げを要求されたのです。しかも、手紙の日付は2025年11月10日で、わずか15日後の支払い分から適用するという内容でした。

 女性が値上げの交渉に応じないと伝えたところ、玄関の表札が外される、ひもが切られる、電球が外されるなどの不可解な出来事が相次いで起こりました。「値上げに応じていない階の人たちの部屋の前は、皆さん電球が外されている」と話しています。


 さらに、マンションの入り口に設置されているロードヒーティングが今年は作動せず、除雪もあまりされない状況が続きました。

 それらの出来事を値上げに応じない住民を追い出すための嫌がらせ行為と感じ、女性は「安全面で安心して暮らせる環境ではない」として、引っ越しを決断しました。


 この問題について、元札幌地方裁判所裁判官で、不動産に関するトラブルを数多く解決している内田健太弁護士は「基本的には双方の合意が成立して賃料が上がるのが大原則。増額を請求されたからといって一方的に応じなければいけないわけではない」と指摘します。

 内田弁護士は、値上げを通告されたら「まず不動産サイトなどで賃料相場を確認し、値上げ幅が適正なのか見る必要がある」とアドバイス。「幅が適正で少額の上げ幅であれば、一度合意しておくことで、しばらくの期間は増額請求されにくくなる効果もある」と説明します。

 今回のケースを実際の家賃相場と比較してみると、改定前は共益費、駐車料金、冬季間のロードヒーティングなど込みで9万円。周辺の家賃相場10万5000円と比較すると、少し安いことがわかります。

 ただ、改定後の家賃は12万円、これまでかかっていなかった共益費や駐車料金、ロードヒーティング代などを合わせると、15万3500円と、計6万3500円もの値上げ。さらに、15日後の翌月分の支払いから適用されるという内容でした。


 内田弁護士は「今回のケースは総額も大きく、共益費がゼロだったものが発生するのはかなり大きな変更。それにしては支払いまでの猶予期間が短い」と指摘。「家主側もしっかりと値上げの根拠を示し、猶予期間の相談に乗るなど、誠実に歩み寄る姿勢を見せることが必要」と話しています。

 協議が決裂した場合は、裁判所で調停という話し合いをすることになり、最悪の場合は裁判となります。期間は2年から3年かかり、費用も相当かかる見込みです。


 物価高の時代で、明日は我が身ですが、内田弁護士は「値上げ通知が来たらまず焦らず、それが合理的なものなのか、歩み寄りの余地があるのかを確認し、場合によっては弁護士に相談することが重要」と呼びかけています。

北海道文化放送
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