「これからしっかりやっていこう、そんな思いを新たにしました」——知事室の椅子に初めて腰を下ろした山野之義新知事は、静かにそう言葉を絞り出した。石川県の新たなリーダーが、最初の一歩を踏み出した瞬間だ。
山野之義・新知事が初登庁 「若い世代が挑戦できる石川に」——まっすぐ県民目線の県政がスタート
今月8日の知事選で初当選を果たした山野之義新知事が県庁に初登庁し、「まっすぐ県民目線」を掲げた山野県政がいよいよ本格的にスタートした。庁舎の玄関前には多くの職員や県民が集まり、盛大な拍手で新知事を出迎えた。能登の復興、若い世代への期待、そして開かれた県政の実現——山野新知事はこの日、さまざまな思いを言葉に乗せて語った。

「晴れやかな表情」で迎えられた初登庁
午前9時半すぎ、石川県庁の玄関前は独特の高揚感に包まれていた。職員や県民が今か今かと待ち構える中、山野新知事が姿を現すと、会場に大きな拍手が広がった。
「山野新知事の初登庁です。その表情は晴れやか、大きな拍手で出迎えられました。」
秋末械人アナウンサーが伝えたとおり、山野新知事はその場に集まった人々の歓迎を受けながら、穏やかな、しかし力強い表情で県庁のエントランスをくぐった。

最初のあいさつで山野新知事が強調したのは、「若い世代への期待」
「これからの石川県政を、みなさんとともに前に進めていきたい。特に若い方が挑戦できる、そんな県をつくっていきたい」

簡潔ながらも力のこもったこの言葉は、今後4年間の山野県政を貫くテーマを早くも鮮明に打ち出したもの。若者が夢を描き、挑戦し、失敗を恐れずに前へ進んでいける——そんな石川県を目指すという決意表明でもあった。
「知事の椅子」に座った瞬間の心境

拍手の花道を通り抜けた山野新知事は、その足で知事室へと向かった。歴代の知事たちが座ってきた「知事の椅子」に初めて腰を下ろしたとき、その胸にはどのような思いが去来したのだろうか。

「これからしっかりやっていこう、そんな思いを新たにしました。先輩方が石川県の歴史をつくってこられた重責を受け止めて、これから後輩たちのためにいい仕事をしていきたいと思います。」
先人たちへの敬意と、次の世代への責任——その両方を静かに背負いながら、山野新知事は知事室に座った。背負うものの重さをしっかりと感じながらも、前を向こうとする姿勢が、その言葉からにじみ出ていた。

前知事は知事室にチャンピオンベルトを飾っていたことから、記者が知事室の棚に「なにか並べたいものは?」と問われた山野新知事。短く「ない。」とそっけなく答えていた。

幹部職員への訓示「去年のやり方を工夫することを常に意識して」
知事室への初入室を終えた山野新知事は、その後、幹部職員を前に訓示を行った。新知事が職員たちに対して真っ先に求めたのは、「挑戦すること、現場に出ること、地域活動に参加すること」を徹底してほしいということでだった。

「去年やってきたことを今年、考え方は踏襲するにしても、やり方を工夫することを常に意識をしてください。同じ思いを持って県の仕事に取り組んでいければと思います。」

単に「変えろ」と命じるのではなく、「考え方の継続性」と「方法の革新」を同時に求めるもの。積み重ねてきた行政の知恵や経験を大切にしながらも、現状に甘んじず、常に工夫し続ける姿勢を持ってほしい——そんな新知事のメッセージが込められていたように思う。

「現場に出ること」「地域活動に参加すること」という言葉も印象的です。県庁という建物の中だけで仕事を完結させるのではなく、県内各地の現場に足を運び、実際に地域の声を肌で感じながら行政を動かしていくことを、山野新知事は職員に求めたのだろう。
「奥能登知事室」「南加賀知事室」の設置を公約に

この日、就任会見にも臨んだ山野新知事。会見の場で注目されたのが、知事選の公約として掲げていた「奥能登知事室」と「南加賀知事室」の設置についての具体的な方針。まずは他の自治体の先行事例を調査するとしたうえで、山野新知事はその意義についてこう語った。

「鞍月から離れている方たちにとって身近な県政という風に感じてもらえると思いますし、特に能登に対しては、能登復興に対するメッセージにもなるんだという風に思っています。」

石川県庁のある金沢市鞍月から物理的に距離のある奥能登や南加賀の住民にとって、「県政は遠い存在だ」と感じてしまうことは珍しくない。だからこそ、それぞれの地域に「知事室」を設けることで、県政の存在をより身近に、より実感できるものにしようという考え方だ。
とりわけ能登については、2024年元日の能登半島地震による甚大な被害を経て、いまなお復興の途上にある。知事室をその地に置くことは、「能登を見捨てない」「県政は常に能登とともにある」という強いメッセージそのものでもあると、山野新知事は述べていた。
「できるだけ速やかに予算も組んでいきながら取り組んでいきたいと思っています」
具体的なスケジュールについては今後の調査・検討を経てのこととなるようだ。
災害公営住宅の家賃「無償化後の負担感をなくすために調査・研究」

就任会見ではまた、知事選で公約に掲げた「災害公営住宅の家賃3年間無償化」が終了した後の対応についても問われたが、これについては…。
「国ともいろいろと相談に乗っていただきながら、その負担感をできるだけ感じることのないような形をするにはどうしたらいいのかということを調査・研究したいと思っています。」

能登半島地震の被災者が入居する災害公営住宅は、前知事の方針で、入居後3年間は家賃を無償とする措置が設けられている。しかし、無償期間が終わった後に突然の家賃負担が被災者の生活を圧迫することへの懸念は大きく、「3年が過ぎた後にどうなるのか」という不安は被災者の間で切実な問題となっている。
山野新知事は、国との連携を図りながら、被災者が感じる負担感をできる限り軽減するための方策を探っていく考えを示していた。
定例記者会見を…「県民に速やかかつ正しく情報を」

就任会見では、知事の定例記者会見のあり方についても言及があった。
「私は定例で記者会見を行っていきたいという風に思います。目的は県民のみなさんに情報をできるだけ速やかに正しく伝えることが必要だと思いますので、そのことに気持ちを合わせて取り組んでいきたいという風に思います。」

定例会見を通じて、県政の動きや決定事項を県民にしっかりと届けること——山野新知事はこれを、透明性ある県政運営の基盤として位置づけているようだ。「まっすぐ県民目線」というスローガンを掲げる新知事にとって、県民への情報発信は単なる義務ではなく、県政の信頼を築くうえで欠かせない営みなのだろう。
初の県議会は今月30日に

山野新知事の任期は、この日からちょうど4年間。選挙で示された民意を背に、能登の復興、若い世代の挑戦を支える環境づくり、そして開かれた県政の実現へ向けて、長い道のりが始まった。
今月30日には、山野知事にとって初となる県議会が開かれる予定だ。選挙戦で山野氏を支持した議員は1人だけ。新知事が、議会対応をどのように進めていくのかが注目される。

「特に若い方が挑戦できる、そんな県をつくっていきたい」——初登庁の日に残したこの言葉を起点として、山野県政は今日から動き始めた。能登の復興、地域格差の解消、若者が輝ける石川の実現。抱える課題は少なくないが、県庁の玄関で大きな拍手を受けながら第一歩を踏み出した新知事の背中には、多くの県民の期待がかかっている。
(石川テレビ)
