「イヌやネコの運命を決める」 “殺処分ゼロ”への丁寧なマッチング
2020年に動物愛護管理法が改正され、保護したイヌやネコの「殺処分ゼロ」を目指す取り組みが全国で進められている。
こうした中、新しい飼い主との適切なマッチングで殺処分ゼロを目指す鳥取・倉吉市の動物愛護施設の取り組みを取材した。
「どんな飼い主の方に飼われるかっていうのは、やっぱりイヌやネコの運命を決めるんですよね」…そう語るのは、鳥取県倉吉市にある動物愛護施設「人と動物の未来センター・アミティエ」の高島一昭所長だ。
保護された動物を次の家族へとつなぐため、アミティエは“急かさない”マッチングにこだわっている。
数字が語る成果 保護ネコの7割以上が殺処分免れる
アミティエは2013年9月に開設された動物愛護施設で、約1万6000平方メートル。
サッカーコート2面分を超える広大な敷地を持つ。
天然芝のドッグランやイヌ、ネコの保護室を完備し、鳥取県の動物愛護センターとしても機能している。
2020年に動物愛護管理法が一部改正されたことを受け、鳥取県は保護活動を強化。
その成果は数字にも表れており、2024年度には、県内で保護されたネコ180頭のうち72.2%が飼い主への返還または譲渡によって殺処分を免れた。
この取り組みを現場で支えているのが、アミティエである。

「やっぱりいらない」をなくすために 後戻りしない3ステップの審査制度
現在、施設にはイヌが7頭、ネコが22頭が保護されており、それぞれに新しい飼い主が必要だ。
しかしアミティエでは、希望者に対して即座に動物を渡すことはしない。
まず希望者は審査を受ける。
金銭的な負担への理解や、健康管理を徹底できるかといった「飼い主としての心構え」をチェックリストで確認する。
審査をパスすると、月に1度開催される講習会への参加が求められる。
飼育方法、動物の病気、関連法律など約3時間にわたる内容だ。
さらに希望すれば、2週間から1か月程度のトライアルも体験できる。
実際に動物と生活をともにしながら、「本当に責任をもって飼えるか」をあらためて考える時間を持つのだ。
こうした段階的なプロセスに込められた意図は明快だ。
時間をかけて飼い主としての責任を考えてもらうことで、「やっぱりいらない」という後戻りを防ぐ。
それこそが、イヌやネコの幸せにつながると高島所長は考えている。

性格・年齢・健康…譲渡を阻む見えない壁
丁寧な取り組みを続けていても、すべての動物に新しい家族が見つかるわけではない。
性格や年齢、健康状態が壁になることも多い。
「性格的にやっぱり懐っこいほうが譲渡しやすい。調子が悪くなると鼻水垂らしたり、そういうのがあると、すごくフレンドリーでも難しい」と高島所長は話す。
なかには「猫エイズ」に感染したネコもいる。
発症すれば重度の感染症や悪性腫瘍によって命を落とす恐れのある深刻な病気だ。
アミティエでは、病気のことを正直に伝えたうえで譲渡を試みる。
それでも引き取り手が見つからなかった場合は、殺処分ではなく、最期を看取るまで施設で飼育し続けることを選んでいる。

ピュアな思いに向き合う 命へのまっすぐな眼差し
「さすってもらいたい、ごはんがほしい、一緒にいたい…ピュアな思いでこの子たちはいますから、そのへんはちょっと人と違うかもしれませんね」…高島所長のこの言葉には、動物たちへの深い敬意が滲む。
アミティエでは定期的に動物と触れ合えるイベントを開催し、新しい飼い主との出会いの場を積極的に作り続けている。
殺処分ゼロという目標に向かって、倉吉市の小さな施設は今日も、一頭一頭の命と向き合っている。

